男性の発症が特に多い!よく耳にする「腰椎椎間板ヘルニア」とはどういう病気なの?【専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話】
自然に症状が消えるのが9割以上
腰痛を起こす疾患で、みなさんがよく耳にするのが「腰椎椎間板ヘルニア」ではないでしょうか。20~40代で多発し、女性よりも男性のほうが2~3倍起きやすいとされています。
症状としては腰、お尻の痛みをはじめ、下肢へのしびれや痛みの広がり、脚の力が入りにくくなる、筋力が低下するなどがあります。また、発症のメカニズムは腰椎に過度な負荷がかかることで椎間板が劣化変性し、椎間板の髄核が組織から飛び出して脊髄(背中)の神経を圧迫。刺激された神経によって、痛みやしびれが生じます。
ヘルニアの原因はまだ明らかになっていませんが、いくつかのリスクは挙げられます。その1つが喫煙。たばこを1日10本吸う人は、たばこを吸わない人と比べるとヘルニアになるリスクが20%アップするともいわれています。これは、喫煙のもたらす血流の悪化や活性酸素の過剰発生が、椎間板の変性を促すと考えられているからです。ほかにも、親がヘルニアだと子どももヘルニアになりやすいとの研究報告もあるので、遺伝的な要因も無視できません。
つらい時期もありますが、投薬や理学療法などの保存的治療を行ううちに、9割以上のケースで自然にヘルニアがしぼんでいき、症状もなくなります。ただし、2~3ヵ月経っても痛みが治まらず、生活に支障が出る場合は、医師と相談しながら手術を検討してもよいでしょう。
腰椎椎間板ヘルニアが起こる仕組み
過度な負担によって椎間板が変性し、組織内の髄核が飛び出して神経を障害している状態がヘルニア。神経が圧迫されることで、腰やお尻、下肢に痛みやしびれが生じます。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔