エッグショックの再来!?救世主の液卵とは
モノの値上がりが続いていますが、去年、値上がりで注目されたもののひとつが「卵」です。
今年に入って、価格は落ち着いたんですが、いままた異変が起きています。
詳しいお話しを東京都にあるスーパーマーケット「アキダイ」の秋葉 弘道社長に伺いました。
エッグショックの再来!?
スーパーマーケット「アキダイ」の秋葉 弘道社長
一言で言えば異常な高値ですね。
年末の値段が本体価格で237円だったんですけども、2Lサイズの10個入りですね。それが年始になって1回値段が下がるんですよ。市場の方が流通が止まっていて、ニワトリは卵を産むんで市場が飽和状態になるんで、年始はいつも下がるというのが当たり前のこと。それで193円ですかね。まだ下がりました。それが今の段階では250円ぐらいになってますかね。1月の状態で、12月の年末の一番高いときの値段を超えるっていうのは、異例の状態ですね。
2年前にエッグショックですか、というようなことになりましたけど、今回は鳥インフルエンザだけじゃなく、そもそも生産コストが上がってる土台から高い状態なんですよ。それに鳥インフルエンザがその2年前のエッグショックのときを超える勢いの被害が出てるっていう状況になってきてるんで今後だいぶ心配な状況ですよね。
・今まで一番高い時で280円位だったのが、もう既に250円くらいまでに・・・!
・輸送費の高騰。また、ニワトリの餌は海外のもの使っている所が多いので餌代、健康なニワトリから卵を産ませるため、夏暑い時は冷房で冷やし、寒い時期は温度を下げないように暖房で随時温めるので、電気代の高騰。様々な経費が高くなっていて、それに加え鳥インフルエンザの被害の拡大。
・例えば3カ所ぐらいの農場と付き合いのあるスーパーが、その内の1か所が鳥インフルエンザでダメになった場合、残りの2つで賄うと66%しか供給できない。2カ所ダメになると33%。そうすると卵が並ばないスーパーも出てきてしまう。まさに2年前のエッグショックのような事態
・高値が続く、卵不足になる、となると卵メニューの多い飲食店はもちろん一般家庭も悩みどころ。いつ復活するかも目途が立たないと言う状況。
そんな中、飲食店にとっても一般家庭にとっても救世主になるかもしれない、「液卵(えきらん)」が注目を集めています。
丸鳥鶏卵株式会社 白井宏昌社長のお話しです。
液卵
丸鳥鶏卵株式会社 白井宏昌社長
殻がついた卵を割って液状にしたものが液卵になります。それをチルドで業務系に販売したり、冷凍にして販売しております。また小売り用のものについては、凍結したもので販売させていただいてます。
夏場でどうしても消費が落ちる際に液卵を製造して、殺菌されて凍結して弊社の場合ですと、製造日から約2年の保存できますので、ある意味、卵が不足したときにでも備蓄といいましょうか、保存したものを定期的にお出しするるっていうことはできますのでなくなるってことは基本ないと思います。
2年前のエッグショックのときには一般消費者向けの液卵に関しては、すごく伸び始めました。この2年間で約1・5倍ぐらい安定して、少しずつ伸びている状況ではあります。
・業務用の液卵は、40年前位からあるそうですが、白井さんがヨーロッパに行った時に、普通にスーパーなどで売られているのを見て日本では何故売られていないのだろうと思い、自社で研究を重ね5年前に小売り販売を開始。
・2年前のエッグショックをきっかけに売り上げが伸びてきているとのこと。
・殻を割ったり、殺菌したり、色々手間がかかっているので、普通のパックの卵より少し割高ではありますが・・・、卵の消費、需要が落ちて価格が落ちたタイミングで一気に製造する為、安定価格、また冷凍のものは2年の保存が可能なので、卵不足の危機に役立つとのこと。
また、実際、小売り販売してみての一般消費者の方達からの実際の反応はどうなのかも伺いました。
再び白井さんのお話しです。
丸鳥鶏卵株式会社 白井宏昌社長
お客様からいろいろお話は聞いてるんですけどもやっぱり朝忙しいときに、もう濾してある卵というものはすぐ調理時間ができるというのと、お年寄りの方とか障害者の方が片手しか使えなくて、卵を割ることができない人にとっては、解凍してはさみでビニールを切っていただいてそのまま卵焼きとかできるのでとっても便利ですということは喜びの言葉をいただいてます。そういった意味で凍った液卵を使う飲食店さんはすごく増えました。
一つの要因としては卵の安定的な供給というものもありますけども実際、人手不足という面では、卵を割らなくても済むということで、そういう面でも消費はどんどん伸びてます。殻付き卵の良さもありますし液卵は液卵の良さもあるもんですから、それをうまく用途に合わせて使い分けていただけると大変、鶏卵業界としては助かると思います。
安定供給や代替として便利と言う他にも、手間がかからない、時短になると言う声も。
また、多くの卵を扱う飲食店でも殻を割る手間がかからないので人手不足の面でも役立っているそう。まさに救世主・・・
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:竹内紫麻)