NTR Jr.主演の新作映画『デーヴァラ』の濃いインド成分 / 「そうはならんやろ」の連続と、ハードなバイオレンスアクション、そして残る謎
期待の新作インド映画『デーヴァラ』が、2025年3月28日から公開となった。主演は映画『RRR』の成功で世界的に知名度が高まったNTR Jr.。
公開に先駆け、試写で視聴させて頂いたが……期待通りのインド成分が濃厚な仕上がりだ! そして戦闘のバイオレンス感は期待越え。最後にガチなサプライズ演出も仕込まれた、週末のお供にお勧めのインド映画となっているぞ!
・インド
国内における近年のインド映画への注目度は『バーフバリ』から始まったように思う。
唐突に始まる、西洋のミュージカルとは異なる感のあるダンスや歌。「そうはならんやろ」としか思えない展開を、勢いと筋肉で押し通すアクション。クセ強めなカメラワークと多用されるスロー。
これらがトリウッドやボリウッドなどインド映画全般に共通する特徴なのかは不明だが、とりあえず日本の一般視聴者の多くは “インド映画=そういうヤツ” というおぼろげな認識を持っていると思う。
そしてインド映画を見る時は、そういうヤツを無意識的に期待している感がある。それ等を便宜上まとめて “インド成分” と呼称させてもらうが、『デーヴァラ』のインド成分はかなりの濃度だ!つまり望みのものが見られるということ。
・バイオレンス
さて、これまで国内でバズった『バーフバリ』や『RRR』では、まるでスーパーマンシリーズのように正義サイドと悪サイドがはっきりしていた。
主人公はもちろん正義サイドで、悪い奴らはもう顔からして悪そうな感じである。そして徹底した勧善懲悪からのハッピーエンド。
『デーヴァラ』もおおむねそのタイプなのだが、舞台設定および展開はダークなものとなっている。例えるなら、今までのインド映画がスーパーマンなのに対し、今回はバットマンみたいな。
まず舞台となる主人公デーヴァラの住む村「赤海」がヤバい。武器を礼賛するモノモノしい価値観があり、男たちは特殊な訓練を受けている。そして犯罪組織からの委託で海上での密輸を請け負い生計を立てている……的な背景がある。
つまり法的に正義か悪かというと、主人公も含めて全員悪なのだ。そしてデーヴァラは、ほぼ屈強な男しかいないと思しき「赤海」でも、ぶっちぎりの腕っぷしと戦闘センスを持つレジェンド。
ネタバレ無しでストーリーにも触れよう。ある日、いつものように密輸に携わるデーヴァラら一行。しかし色々あってブツの中身が武器だと知ってしまう。ワケあって武器の密輸だけは許せないデーヴァラは、全員に密輸自体から足を洗わせることを決意。
密輸業を続行しようとするものにはデーヴァラの容赦ない裁きが下される。誰も逆らえないため、密輸業は終焉を迎えるかと思えたが……というのが導入だ。
今回の主人公に敵への容赦はなく、同胞であっても道を違えれば徹底的に殺戮していく。飛び交うインドマッチョと噴き出す血しぶき。
このダークな感じは、日本に上陸してくるインド映画的に新しいのではなかろうか。ストーリー的にも終始暗めでシリアスな展開が続く。
では遊びは無いのか? 否。意味不明な腕力や、物理法則を無視できる体幹の良さから繰り出されるアクション。ホホジロザメで海中ロデオをキメるなど、インド映画特有の「そうはならんやろ」感あるムーヴはシリアスな顔のまま実行されるので、心配しなくていい。
そしてラストに明かされる衝撃の真実。いや、わかりますよ。私自身、この手の記事で煽られる “衝撃の真実” が本当に衝撃だったことは1度も無い。
そう書いてある映画レビュー記事は、今日まで100%が飛ばしのハッタリだと、少なくとも私は読者目線でそう思っているが……いやマジで、今回は本当に衝撃だった。そして生まれるだいぶデカい謎。
皆さんも普通に驚くと思います。そしてすでに製作中だという続編。なるほどね。続編への誘導も巧みだ。まずはデーヴァラ伝説の序章ということなのだろう。
参考リンク:デーヴァラ
執筆:江川資具