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待機児童ゼロの次は…保育園が過去最多ペースで閉鎖 少子化だけじゃない“二重苦”

Shizuoka

写真はイメージ

■今年上半期に閉鎖した保育園22件 前年同期から約7割増加

「待機児童ゼロ」が叫ばれた時代から一転、保育園の経営を取り巻く環境が大きく変化している。今年上半期に閉鎖した保育園は前年同期比で7割増となり、過去最多のペースで倒産・休廃業が進んでいる。背景には少子化に加えて、保育士不足や運営コストの増加といった課題がある。

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保育園の経営破綻や事業停止が相次いでいる。帝国データバンクが発表した「保育園の倒産・休廃業解散動向(2025年上半期)」によると、今年1~6月に倒産や休廃業、解散により閉鎖した保育園は22件に上った。前年同期(13件)から約7割増となり、昨年1年間の件数(31件)を上回るペースとなっている。2023年、2024年に続き、3年連続で件数が増加しており、過去最多を更新する可能性が高い。

保育園経営の難化には複数の要因が重なっている。政府は2019年に幼児教育・保育の無償化を実施し、さらに「こども誰でも通園制度」によって保育の門戸は広がった。しかし、9割近い自治体で待機児童数がゼロとなるなど、保育施設の増加と少子化の影響で、入園児童の獲得競争が激化している。

また、保育士の人手不足も深刻化しており、慢性的な人材難により定員を減らさざるを得ない園もある。特に給食を提供する施設では、食材価格の高騰も運営コストを押し上げている。こうした中、財務体力に乏しい中小の保育園では経営を維持することが困難となり、撤退を余儀なくされるケースが増えている。

■業績悪化した保育事業者54% 多角化に活路

2023年度の保育園事業者の損益状況をみると、赤字は29.1%、減益は25.2%を占めて、業績悪化の事業者は全体の54.3%に上った。前年の2022年度(65.6%)に比べれば改善傾向にあるものの、依然として約半数が厳しい経営状況にある。

一方で、生き残りを図る動きもある。英語や音楽、スポーツといった専門プログラムの導入や、認定こども園への移行、あるいは発達障害児の支援や高齢者施設など、保育以外の分野への参入といった多角化の試みが進んでいる。

そうは言っても、かつて社会問題となった待機児童は一部地域で解消傾向にあり、施設の「余剰感」は今後さらに高まると見られる。立地やサービス内容で差別化できない施設は淘汰が進む可能性があり、保育業界は今、大きな転換点を迎えている。

(SHIZUOKA Life編集部)

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