「スポーツの秋」に観たい映画5選!ボート競技に魅入られた女性描く『ノーヴィス』ほか”狂気から号泣まで”注目作続々
スポーツの秋はスポーツ映画で決まり!
ローイング(ボート競技)の世界に魅入られたある女性の、情熱という名の狂気を纏った“激浪”の物語『ノーヴィス』が、11月1日(金)より全国順次公開となる。
本作は、デイミアン・チャゼルの『セッション』、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』など錚々たるハリウッドメジャー作の音響で活躍してきた、ローレン・ハダウェイによる満を持しての初監督作。大学時代にローイング(ボート競技)に自ら没頭した体験を基に作り上げられ、自身で脚本と編集も担当。第20回トライベッカ映画祭で作品賞・主演女優賞・撮影賞を受賞した。
そんな『ノーヴィス』を筆頭に、この秋は様々なスポーツ競技を題材にしたバラエティに富んだ映画が相次ぎ公開される。日本人アスリートの挑戦を追うドキュメンタリー、オペラ座のバレエ学校に通う少女が抱く夢、ボクシング金メダリストを題材にしたドラマ、そしてあの名作青春映画のデジタルリマスター公開……。競技との関わり方は人それぞれなように、映画での描かれ方も様々。ぜひそれぞれ見比べてみてほしい。
スポーツとの熱烈ラブストーリー!?『ノーヴィス』
大学のボート部に入部したアレックスは、「困難だからこそ、挑戦するのだ」というJ.F.ケネディの言葉を胸に、己の限界に打ち勝ちたいという一心で過酷なトレーニングに身を投じていく――。
ハダウェイ監督が「この映画は、本質的にアレックスと、彼女が偶然引き寄せられたスポーツとのラブストーリー」と語るように、本作はいわゆる<スポーツ映画>とは明らかに一線を画す。たちまちローイングの魅力に取りつかれてしまったアレックスは、周囲の助言にも耳を貸さず記録に異常なまでに執着し、ライバルでもあるチームメイトより優位に立ちたいと執念を燃やすあまり、心身ともに追い詰められていき……。観る者は、そんな彼女の異様なテンションや感覚を、斬新なショットや劇伴などでありありと体感することになる。
主演は『エスターファースト・キル』のイザベル・ファーマン。撮影前の6週間、毎朝4時半に起き、1日6時間の水上トレーニングを行い過酷な撮影に耐えられる精神と肉体を手に入れたというファーマンの、妥協のない迫真の演技にも注目だ。
『ノーヴィス』は11月1日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
『The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。』
10月18日より全国公開
6年連続で世界ランキング2位に輝いた車椅子テニスプレイヤー・上地結衣。 その挑戦と覚悟の日々を追ったドキュメンタリー。
20歳で世界ランキング1位を獲得し、テニスの四大大会では何度もシングルスで優勝。10年以上にわたって世界の車いすテニス界を牽引してきた彼女だったが、まだ手にしていないメダルがあった。彼女にはどうしても勝てない選手がいたのだ。負けず嫌いの彼女は、練習方法を変え、車椅子の改造に乗り出す――。
この映画は彼女が、パラリンピックの金メダルに向けて、世界一に向けて、日々戦いつづける姿を3年間にわたって密着していく。そんな上地を日本から明るく見守る母。彼女に寄り添い、最適解を一緒に導き出そうとするコーチや車椅子エンジニア。さらには車いすテニス界のレジェンドで昨年引退した国枝慎吾さん。それぞれの立場から彼女を支える姿も同時に描いていく。
『ネネ エトワールに憧れて』
11月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開
世界最古の歴史と格式を持つパリ・オペラ座のバレエ学校でエトワールを目指す少女ネネの物語。
パリ郊外の団地で育った労働者階級の12歳の黒人少女ネネ。何よりもダンスが大好きで、自宅近くや駅で伸びやかに踊る喜びを感じさせる彼女のダンスには人を惹きつける“華”があった。彼女はパリ・オペラ座バレエ学校の入学試験に合格、日々熱心にレッスンに励むネネは才能を花開かせていく。しかし、彼女が憧れている校長は伝統を守ることに固執し、“バレエは白人のもの”とネネを邪険に扱い……。
バレエシーンにはパリ・オペラ座の最高位“エトワール”を務めたレオノール・ボラックなど豪華バレエダンサーが参加していることも注目。
『草原の英雄ジャロロフ 東京への道』
11月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2021年に行われた東京オリンピック2020のボクシングスーパーヘビー級の決勝でアメリカの選手に勝利し、金メダルを獲得したウズベキスタンの国民的英雄バホディル・ジャロロフ選手の挑戦と闘いを描いた人間ドラマ。
ウズベキスタンの美しい農村出身の青年ジャロロフは、家族のために天性の恵まれた体格を活かしボクシングのスーパーヘビー級の道を選ぶことでのしあがっていく。だが活躍を期待されたリオデジャネイロ五輪で惨敗し、代表の座を追放されてしまう。やがてジャロロフは、父の教えを胸に再起を図るが――。
ウズベキスタンが制作を担当した日本とウズベキスタンの合作映画として、初めて日本で劇場公開される作品となる。日本からは加藤雅也などが出演。
『リトル・ダンサー デジタルリマスター版』
新宿ピカデリーほか全国公開中
1984年、イングランド北東部の炭鉱町。母を亡くした11歳の少年ビリーは、炭鉱労働者の父に言われ、ボクシング教室に通わされている。ある日、偶然目にしたバレエ教室のレッスンに興味を抱いたビリーは、女の子たちに混ざってこっそりレッスンに参加するようになり……。
2001年に日本公開され、主人公の少年ビリーが偏見や環境に負けず、夢に突き進む姿に多くの観客が胸を熱くし、第73回アカデミー賞監督賞・脚本賞などにノミネートもされた不朽の感動作が23年振りにデジタルリマスター版としてよみがえる。
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』や『愛を読むひと』など上質ドラマの名手として知られるスティーヴン・ダルドリー監督の長編デビュー作。主人公のビリーを演じたのは、『ロケットマン』や『異人たち』など今や世界的な実力派俳優となったジェイミー・ベル。当時13歳だった彼は、2000人を超える候補者の中からオーディションで選ばれた。