神奈川電設 脱炭素の国際認証を取得 世界水準の排出削減図る
電気通信工事などを主な事業とする神奈川電設(大森竜太郎社長・茅ヶ崎市萩園)がこのほど、パリ協定の求める水準に見合う温室効果ガスの排出削減目標を策定したとして、脱炭素の国際認証である「中小企業版SBT」を市内で初めて取得した。これを受け、「気候非常事態宣言」を行うなど二酸化炭素の排出量実質ゼロに向けた取り組みを推進する茅ヶ崎市から感謝状が贈呈された。
「中小企業版SBT」とは企業が設定する「温室効果ガス排出削減目標」の指標の一つで、パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2度を十分に下回る水準に抑えることなどを目指す国際的枠組み)の実現にかかわる国際認証を指す。取得すると、その進行状況を外部に公開することが必要になるという。
同社は2021年からSDGs(国連が採択した持続可能な開発目標)の取り組みを開始。23年には新築した本社社屋が建築物の省エネ性能の評価基準とされるZEB認証を市内で初めて取得した。SBTについては同社の温室効果ガスの排出量の測定や、削減目標の設定に向けた数値のデータ収集などに当たった浜銀総合研究所の協力のもと、認証の取得を目指してきた。
同認証を取得したことにより、同社が排出している1年間の温室効果ガス排出量約444トンを2030年までに約42%削減する目標を達成することが求められる。工事などの際に業務用トラックを使用するケースが多い同社では、ガソリンや軽油が温室効果ガス排出の主な要因とされる。そのため、同社ではガソリン車から電気自動車や低燃費ハイブリッド車への切り替え、軽油からバイオディーゼル(コーン油などを原材料とした液体燃料)への転換に加え、軽油を使用する機器を電動機器に置き換えるなどの対策を行うことで削減につなげるとしている。
14日に行われた感謝状の贈呈式で、佐藤光市長は「今回の認証取得が市内企業の節電などの意識醸成につながれば」と期待を寄せた。感謝状を受け取った大森社長は「排出量の削減目標が具体化され、イメージとしてとらえられるようになった。削減目標は社内で共有し各部門で数値化して取り組みたい」と展望を示した上で、「他の事業者もこうした認証を取得すれば市内の排出量削減にさらにつながっていくのでは」と話した。