博多の静寂に新たな文化発信地が誕生。「SABOE HAKATA」「BASE GALLERY HAKATA」がオープン
2024年11月、博多区御供所町に新しい文化の拠点が誕生しました。名刹に囲まれた歴史深いこのエリアに、日本茶専門店「SABOE HAKATA」とアートギャラリー「BASE GALLERY HAKATA」がオープン。茶とアートが融合した特別な空間で、博多旧市街ならではの静寂と深みを体験できる場として注目を集めています。
2024年11月3日(月・祝)、博多区御供所町の歴史的な町並みに「SABOE HAKATA」が新たな日本茶の文化発信拠点として開店しました。
「SABOE HAKATA」は茶祖とも称される栄西により創建された聖福寺や、聖一国師創建の承天寺など由緒ある寺社や古い町並みが残る博多旧市街と呼ばれる地域に誕生しました。
>>博多旧市街についてはこちらの記事をどうぞ。
この地は鎌倉時代、宋より茶の種を日本へと持ち帰り、茶の薬効を伝えて喫茶を奨励し普及させた栄西、そして饅頭や羊羹などの製法を宋より日本へと伝えたとされる聖一国師に縁のあるエリア。
同店は、東京・日本橋茅場町の現代美術画廊であるベイスギャラリーが新たに開店するアートギャラリー「BASE GALLERY HAKATA」に隣接し、茶とともに、さまざまな文化芸術に親しめる拠点となることを目指しています。
1階から2階につながるガラスファサードが印象的な同店は、1階に売店、2階に茶房が併設されています。
入口付近には聖一国師にちなんで、同店の限定商品として蒸したての饅頭を販売。
ファサードに設けた小さな窓からテイクアウトにて購入できます。
T., Collectionのほか、福岡県八女の煎茶や抹茶を取り揃えた売店奥の階段より2階へと進むと、白い漆喰の空間にコの字型の黒いカウンターが置かれた茶房が現れます。
茶と向き合うひと時を演出する白と黒で構成された茶房では、九州各地より厳選した希少な茶も愉しめます。
なお、店内に配した諫早石は古くから貿易の拠点として栄え、幕末から明治にかけて日本茶の輸出が盛んだった長崎において、石畳や石橋などに用いられてきたもので、日本茶を世界へと広めていきたいとの願いが込められています。
日本茶の魅力を提案する「SABOE HAKATA」
「SABOE HAKATA」は、茶文化の普及を目指す「茶方薈(さぼえ)」が運営する日本茶専門店です。
「T., Collection」とは?
「T., Collection」は、さまざまな日本茶と果実や穀物などを合わせた独自の製法によるブレンド。
一日の始まりにふさわしいさわやかな味わいから、お菓子や食事にもよく合うもの、睡眠前にも安心して飲めるものまで、簡単な淹れ方で美味しく愉しめます。
また、土に還る天然素材でつくられたパッケージは三つの役割をもち、お茶の容器のみならず、お茶を淹れる茶器、お茶を飲む湯呑としても利用できます。
観光客の方が、ホテルでお茶を愉しむこともできそうですね。
茶方薈(さぼえ)とは?
「SABOE HAKATA」を運営する「茶方薈(さぼえ)」は、茶を通して世界とつながり、茶の発展に貢献していくことを目的に緒方慎一郎氏が設立。
その原点は2003年、中目黒に開店した「HIGASHIYA」にあります。
緒方氏は「櫻井焙茶研究所」の櫻井真也氏、福岡は赤坂にある「万 yorozu」の徳淵卓氏とともに、現代における喫茶の様式を創造し、次世代へと継承する活動を続けています。
日本茶専門店としてこのたび開店する「SABOE HAKATA」、「SABOE OKAYAMA(11/26オープン)」のほか、東京・麻布台ヒルズに「SABOE TOKYO」を構えています。
この「HIGASHIYA」は、同店の茶房を監修している徳淵卓氏が運営する「万 yorozu」でしかいただけなかった、熱烈なファンの多いお菓子。
これからは、「SABOE HAKATA」で購入が可能ということで、すでに期待値も高まっています。
>>「万 yorozu」についてはこちらの記事もどうぞ。
さらに、「SABOE HAKATA」にだけ、2階でお茶をいただけるスペース:茶房があるという、福岡の人が喜びそうなスペシャルな空間になっています。
SABOE HAKATA 店舗情報
開店日:2024年11月3日(日・祝)
住所:福岡市博多区御供所町5-27 グラムビル御供所町
営業時間:売店 11:00~19:00 / 茶房 13:00~23:00
定休日:水曜
ホームページ:https://saboe.jp/
開廊記念展「清寂のかたち」でBASE GALLERY HAKATAがスタート
11月8日には、隣接する「BASE GALLERY HAKATA」が開廊し、記念展「清寂のかたち」を開催します。
「SABOE HAKATA」の一階の廊下の先にある「イサム・ノグチ」の彫刻「Pylon」を眺めながら先へ進むと、そこが「BASE GALLERY HAKATA」です。
今回の展示作品は、浅野弥衛、ジョルジョ・モランディ、ハリー・キャラハン、ロバート・メイプルソープなど、静寂と成熟を湛えた作品が並び、博多の趣に深みを加えます。
この展覧会は「清寂」という静けさの中にある清澄さをテーマにしており、茶道の精神とも通じる美しさが感じられます。
展覧会情報
開催期間:2024年11月8日(金)~2025年2月11日(火)
開館時間:12:00~18:00(休廊:水曜)
会場:BASE GALLERY HAKATA(福岡市博多区御供所町5-27 グラムビル御供所町1F)
入場:無料
ホームページ:http://basegallery.com/basegallery-hakata-seijakunokatachi/
編集部視点のポイント:茶とアートが響き合う博多の特別な空間
「SABOE HAKATA」と「BASE GALLERY HAKATA」が位置する御供所町は、栄西や聖一国師ゆかりの地・博多旧市街のエリアにあり、古来から文化の交差点として栄えてきました。
この地で展開される新たな茶とアートの拠点は、博多を訪れる方が日本の伝統と現代の文化を感じることのできる絶好のスポットです。
秋の風情が漂う御供所町で、静けさに包まれた深い文化体験を愉しんでみてください。