祝・小学校入学 うちの子「早起き」「身支度」「トイレ」できないかも? 元小学校教員のインフルエンサーが対策伝授
フォロワー12万人超の元小学校教員ママ・アキさんが“やさしい小学校入学準備”をレクチャー。第1回は、身支度ができない! トイレはどうする? など生活に関するQ&A。全2回。
【写真➡】ホワイトボード勉強法は220円! 子どもはスラスラ&親もイライラ解消の“宿題革命“!めでたく小学校入学! だけど、うちの子「早起き」「身支度」「トイレ」できなかった、どうしよう! “入学準備“で検索すると、ママパパの心配事ワードがたくさん上がっています。でも「実は入学前にできなくても大丈夫なケースも多いですよ!」と心強いエールをくれるのは、小学校教員10年の経験と小6女子と小4男子の現役ママでもある人気インスタグラマーのアキさん。入学に関する「不安」に答えていただきました。
「早起き」「身支度」「トイレ」…できないだらけの新1年生どうすれば!?
【生活面に関するQ&A】
Q.1 朝なかなか起きられなくて困っています
A.1 “朝起きる楽しみ”を作りましょう
──回答:アキさん(以下同)
やはり基本は早寝早起きを意識すること。私が担任の先生だったら、低学年の場合は体力もないので21時ごろには寝てくださいと伝えますね。
さらに、お気に入りの目覚まし時計を使ったり、朝食においしいパンや好きなフルーツを用意するなど、“朝起きる楽しみ”を作ってあげるのもおすすめです。徐々に習慣化させていきましょう。
アキさんの長男が1年生のときに使っていた目覚まし時計。「我が家は今も声かけをしてやっと起きてきますよ」(アキさん) 写真提供:アキ
Q.2 一人で身支度ができません。どこまで手伝えば?
A.2 「手伝って」と言うまで見守って
──とくに朝は忙しいので、大人が着せてしまうことも多いと思います。しかしここは、手伝いたい気持ちをぐっと堪えて、まずは見守ることが大切です。
本人が「うまくできない」「手伝って」と言われて初めて手を貸しましょう。少しずつ、自分のみだしなみは自分で整えるのが当たり前という感覚が養われていくはずです。
また、学校では体操着は「立ったまま」着替えます。簡単に練習しておくといいでしょう。とはいえ1年生時には担任に加えて補助の先生も入るので、着替えが難しい場合などは、フォローしてもらえるので安心してください。
Q.3 挨拶ができません
A.3 挨拶されたときに返せれば十分です
──恥ずかしい、初対面、タイミングがわからないなど挨拶できない理由はさまざまだと思います。とくに初めて会う人には、大人でもちょっとハードルが高かったりしますよね。
まずは「おはよう」と言われたら「おはよう」と返せることを目標にしてみてください。自分からできなくても、挨拶をされたときに返せればそれで十分。それも難しそうなら挨拶してくれた人に、ちょっと頭を下げるなどでもOK。その後は「挨拶できたね」と、ちゃんと褒めてあげてくださいね。
Q.4 一人で登校させるのが不安ですA.4 親子で登校ルートを確認! 付き添い登校もアリ
──入学前に学校までの道を何度かいっしょに歩いておきましょう。横断歩道など交通の危険がある場所や、万が一のトイレの場所などのチェックも忘れずに。近所の小学生が、朝は何時ごろに家を出ているのかを見ておくのもいいかもしれません。
登校班がない場合はとくに、入学直後は付き添う親御さんも多いです。なかなか一人で行けず付き添いが長くなってしまっても、あせらず気長に付き合いましょう。
Q.5 食べるのが遅い、好き嫌いがある……給食が心配A.5 令和に“居残り給食”はありません
──食べ終わるまで居残りをさせられるといったイメージをもつママパパもいるかもしれませんが、今はそのようなことはありません。近年は「学校給食を無理に食べさせない」という指導に変わりつつあります。
給食の時間は、おおむね準備に15分、食事に20分、片付けに5分程度確保されています。ただし1年生の最初のころは、給食前の授業で準備の仕方を学んだり、授業を早めに終わらせてその分、準備時間に当てるなど、配慮されると思います。成長とともに、時間内に食べられるようになる子どもも多いですよ。
もし居残り給食をさせられているようであれば、親から担任に「無理に食べさせないでほしい」と伝えていいと思います。
Q.6 お箸を上手に使えませんA.6 スプーンでもOK! 「給食をおいしく食べられる」ことに目を向けて
──親世代は先割れスプーンをメインに使っていたかもしれませんが、今は小学校のほとんどで箸を使用しています(※)。しかし、箸を上手に持てるかどうかよりも、スプーンでもいいから「給食をおいしく食べられること」を大事にしてあげてください。
先生から「箸の使い方が……」と指摘されることはまずないですし、成長とともに指先の器用さが増していずれ使えるようになるので大丈夫。豆をつまむ練習などを授業で取り入れている学校もありますよ。
学校を円滑にするためのルーティンと声がけ そしてママ友!?
Q.7 自分で「明日の準備」ができるようサポートできることはありますかA.7 帰宅後のルーティンを整えましょう
──帰宅後に「準備の時間」を組み込み、ルーティンにしましょう。我が家の場合は、帰宅したら①プリント類を出す→②宿題をする→③明日の時間割りを調べて準備する→④自由時間としていました。
慣れるまでは親が伴走する必要がありますし、時間もかかるかもしれません。最初は大変ですが、一度ルーティン化してしまえば、一連の流れとして進められるようになるので、のちのちすごく楽になります。
遊びに行くときもすべて終わらせてからと約束。「やるべきことが身についたので、今は本人たちのペースにまかせています」(アキさん) 写真提供:アキ
Q.8 学校でちゃんとトイレに行けるのか不安ですA.8 先生が頻繁に声かけしてくれるので大丈夫
──最初のうちは、休み時間ごとに先生が声をかけてくれたり、トイレまで補助の先生がついてきてくれることも多いです。声かけの機会が多いので、まずは安心してください。もし失敗してしまっても1年生ですから大丈夫。先生が上手に配慮します。
あとは、「和式問題」ですね。小学校のトイレの洋式化が進んだとはいえ地域差は大きく、例えば、娘が今春から通う中学校は和式のみです。和式がいやだからと便意や尿意をがまんすれば体にも悪影響。1年生はまだ体幹が弱い子も多いので、まずはしゃがんで姿勢をキープできるよう練習しておくと安心です。
Q.9 「学校行きたくない」と言い出したら……
A.9 いっしょに登校して担任の先生にバトンタッチ
──1学期に登校渋りをしたなら、それは初めての環境に対する漠然とした不安や心細さによることがほとんどなのかなと思います。教室で「寂しい」と言ったり、「ママが心配だ」って泣いている男の子もいましたから。
まずは教室まで付き添い、「お願いします!」と先生にバトンタッチしてみてもいいかもしれません。ちょっと強引かもしれないけれど、とりあえず学校に預けてしまい、様子を見ましょう。
もし「先生が怖い」と言った場合は、どんなときに怖かったのかを聞いてみます。例えば怒鳴っていたのなら、怒鳴ったこと自体ではなく、「もしかしたら先生は、こうしてほしいからそう言ったんじゃないかな」と、なぜそうしたのかにフォーカスを当てて説明してあげるといいでしょう。
その際に、「それは向こうが悪い」と先生を否定するような言葉がけはしないように気をつけてください。子どもって、すごく言葉を吸収するので、一度マイナスのイメージをもつと払拭するのが難しく、さらに苦手意識が増すと思います。
もし、1年生後半などに登校を渋る場合は、「今こういう状況で、何か原因として思い当たることはないか」と、担任の先生と連携を取って対策していく必要があると思います。
うちは、息子が2年生の夏休み明けに登校を渋ったことがあります。行きたくない明確な理由は見受けられなかったため、「行きたくないんだね」とまずはその気持ちを受け止めてあげることを意識しました。車で送っていったり、朝、家まで友達に迎えに来てもらうようお願いしたりと、あの手この手を試しました。結果、長引くことなく無事に登校できるようになりました。
Q.10 学区内に知り合いがいません。ママ友パパ友は必要ですか
A.10 いなくてもなんとかなります
──困ったときに聞ける人がいればありがたいくらいで、必ずしも必要なわけではないと私は思います。私もほとんどいませんから。本当にわからなかったら先生に聞けばいいんです。いなくてもなんとかなりますよ!
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「ママパパの不安は、子どもにダイレクトに伝わります。まずは、『学校は楽しいところだよ』『給食もおいしいし、新しいお友達もできるし、勉強も楽しいよ』と、子どもがプラスのイメージを持てるような声かけを心がけてほしいなと思います」(アキさん)
我が子が大切だからこそ、心配に思うのは当たり前です。親も子どもも前向きな気持ちで小学校入学を迎えられるよう、「いいな」と感じたり、簡単にできそうなことからぜひ取り入れてみてください。
次回は引き続きアキさんによる、新1年生の学習に関するQ&Aをご紹介します。
●アキPROFILE
フォロワー12.7万人を持つインスタグラマー。小学校教諭として10年働き、子どもが小学校入学と同時に退職。小学校生活や勉強方法などについて、学校の担任には聞きづらいママのちょっとした悩みを解決する情報を発信する。
取材・文/稲葉美映子