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【2025年版】神田・神保町・御茶ノ水さんぽのおすすめ9スポット。書店、ギャラリー、喫茶店もこれまでとはひと味違う!

さんたつ

【散歩の達人】STACKS-BOOKSTORE_4

これまで幾度も月刊『散歩の達人』で特集を組んでいるこのエリアは、歴史を感じさせながらも常に変化を続けてきた街だ。でもここ数年、明らかに大きな変化の兆しを見せている。歩けばすぐに分かるはずだ。古書店街にはあれ?と思わず足を止めてしまうような新しい書店が誕生。飲食店も、ギャラリーも、喫茶店も、これまでとはひと味違う。歴史に溶け込みながらも、この街にいい違和感と刺激を与える存在として輝き始めたのだ。それでは、2023年に生まれ変わった『ミロンガ ヌオーバ』を皮切りに、22年以降オープンの気鋭の新店やリニューアル店をご案内しよう。洒脱な雰囲気のなかに、絶妙に偏愛が見え隠れする街の進化を見届けてほしい。

ミロンガ ヌォーバ

新旧混ざり合う空間にタンゴの調べ『ミロンガ ヌオーバ』【神保町】

自家製のココア(アイス)850円、バケットを使ったチョコ味のパンプディングのディプロマットショコラ500円。
約500枚あるタンゴのレコード。
旧店舗から持ってきた大きなスピーカーとバンドネオンをバックに、店長の浅見加代子さん。

1953年創業のタンゴ喫茶が2023年に移転オープン。昭和初期築の建物を活用し、インテリアはほぼ旧店舗のものなので、新しいのにしっくりくる。店長の浅見加代子さんいわく「旧店より狭い分、少しでもお客さまが入れば」と設けた壁際のカウンター席はコンセントも完備。レコードでかけるタンゴのお供には、喫茶メニューでも世界のビールでも、お気に召すまま。

ミロンガ ヌォーバ
住所:東京都千代田区神田神保町1-3/営業時間:11:30~22:00LO(土・日・祝は~18:30LO)/定休日:水/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩2分

訪れる目的はひとつじゃない『STACKS BOOKSTORE』【神保町】

店内がひと目で分かるガラス戸。
書棚をのぞけば、奥に隠し部屋のようなワインセラーが!
本やアートにちなんだ展示も月2回ほど開催。
店の奥にはバーカウンターも。
国内外のクラフトビールが豊富な冷蔵ショーケース。
クラフトジンジャーエール600円、オリジナルのキーホルダー1100円とブックカバー2420円。
しおり型のショップカード。

渋谷の神山町でZINEの専門店として3年、扱う品の幅を広げたいと新天地を求めて2024年に移転オープン。本は、編集業に携わる店主・山下丸郎さんが興味のある新刊をセレクト。毎週のように新入荷本が積み重ねられる大きな平台は要チェックだ。が、それだけでなく、オリジナル雑貨や衣料品、クラフトビールにナチュラルワインも販売し、一杯飲めるカウンターまで! 目的がなくてもふらっと遊びに来たくなる。

12:00~21:00、無休。
☎なし

なつかしいメディア機器が勢揃い『絶滅メディア博物館』【神田】

撮影スタジオを営む川井拓也さんが2023年に開館した私設博物館。家庭用動画カメラを中心に、オーディオ、携帯電話、PDA、パソコンなど1500点、関連書籍と製品カタログ900点を展示。そのすべてを自由に触わることができる。「ダブル8などの古い動画カメラはゼンマイなので今も動きます。使っていたけど捨ててしまった機器たちに再会しに来てください!」。入館料2000円。

11:00~19:00、不定休(HPで要確認)。
☎03-5256-5700

正面はバッグ店、側面に回れば……?『Coquette(コケット)』【小川町】

レザートート ヌメ 3万3000円。
口金財布 ゴブラン 2万2000円。

日本の職人の技術が生かされたレザーバッグと財布のブランドのアトリエショップが、台東区から2023年にお引っ越し。シンプルなデザインながら個性が光る品々は使ってみたくなるものばかり。さらにコーヒースタンドも併設する。「バッグ屋さんは入りにくくても、コーヒーがあれば街の人とつながれると思って」と店主の林きょうこさん。スペシャルティコーヒー豆を使用した神田ブレンド520円~。

11:00~19:00、日・月・火休。
☎03-5941-6613

“書く”を楽しむなら万年筆!『BUNGUBOX』【神保町】

「書くほどにペン先が手になじみ、力を入れずに書ける。インクのにじみ、字の表情、そんな魅力に取りつかれました」と店主の山岸薫さん(上写真の中央)が営むオリジナル万年筆とインクの専門店。表参道から2023年に移った店舗で目を引くのは、何十色も並んだ独特な形のインク瓶。ご当地インクも人気で「カルチェラタン神保町」3300円は古本の活字やコーヒーの色を表現。

12:00~18:00(土は11:00~)、水休(祝の場合は営業、翌木休)。
☎03-6434-5150

本に手を伸ばしたくなる喫茶空間『サロン クリスティ』【神田】

ミステリやSFといえば早川書房。その本社1階の喫茶店は創業1988年だが、2023年の改装でシックな空間に生まれ変わった。席には書籍が常備。メニューは、クリスティ風スパゲッティナポリタン1200円(ランチ)、パフェポアロ850円など出版作品にちなんだものが多い。ランチドリンクは数量限定のハヤカワ珈琲牛乳が人気だ。

11:00~20:00LO(ランチは~14:00LO・ディナーは17:00~)、土・日・祝休。
☎03-3258-3800

思わぬフレーバーと出合えるかも⁉『SR coffee & ice cream Jimbocho』【神保町】

みかん杏仁と赤しそりんごのダブル750円
コーヒーフロート800円

2022年開店のアイスクリームスタンドでは、ホワイトミルクや赤しそなど、約60種類もあるフレーバーから日替わりで8種類登場する。素材には農家から直接仕入れたものや規格外の果物や野菜を活用。「今食べたいと思う味をこの場で考えて作る、臨場感の中で生まれるアイスを楽しんでいただけます」とスタッフの清武茉莉恵さん。

12:00~17:45LO、月休。
☎080-7369-7026

スペインのお酒、満タンで!『元島給油所』【小川町】

スペイン料理店で働いた元島悠豊さんが2024年から営むカウンター9席の酒場。スペイン生ビール「マオウ」は800円、スペインワインやシェリー酒は700円~と良心的価格で楽しめる。スペインオムレツ650円、タコのおじや1380円など料理もスペインの味が基本だが、油や塩分は控えめの優しい味わい。給油するように立ち寄りたい。

16:00~22:00LO、日休。
☎090-9080-4443

昼と夜、楽しみはそれぞれあるガラスのハコ『POLARIS(ポラリス) Tokyo』【神田】

かとうみほさん(手前)と『間借りカレー香織る』の北川淳さん。
週替わりカレーのダルバート1100円(パキスタン式無水ほぐしチキン)。

音楽や障がい者支援の仕事に携わってきたかとうみほさんが「どんな立場の人も音楽を楽しめる場を」と、2022年に開いたバリアフリーライブスペース。ライブ会場には珍しくガラス張りの路面店だが、一体感が格別。昼は『ポラリス食堂』として『間借りカレー香織る』のスパイスカレーが味わえる。

11:30~16:00(なくなり次第閉店)、土・日・月休。
ライブは日時、料金ともに異なり、1ドリンク700円。
☎なし

営みと地続きの街に開かれる新しい扉

御茶ノ水駅の工事で神田川には仮設桟橋。神保町交差点では岩波ホールが空き地になり、並びにも大きな土地にビル建設中の囲いがある。変わることはさびしさもあるけれど、これも生きてる街の証し。新陳代謝も楽しまなきゃ。

JR御茶ノ水駅の新しい聖橋口と駅前広場。

無機質そうに見える神田のビル街で出合ったのは、コーヒーが香る革小物のアトリエショップ『Coquette』。「飲食ができる物件を探してここに。老舗も古い建物も残っていて、街の人と『こんにちは』を交わせる、ちょっと下町感があるのが好きですね」と、林きょうこさん。店の一角には革漉(す)き機やミシン。職人の街・神田に、ものづくりの灯が一つともった。

2025年3月に整備された錦華公園。人工芝の広場ができ、より開放的になった。

「江戸時代は江戸城や武家屋敷の道具や建具などを作る職人が集まっていた歴史があります。ちなみに、和製ハッセルブラッドとして一世を風靡(ふうび)したゼンザブロニカは神田の写真機店が発祥なんです」。そう教えてくれたのは『絶滅メディア博物館』の川井拓也さん。多彩な機器を見て触れて感じるのは、記録することに対する企業の挑戦と愛情だ。興奮したりしみじみしたり、時間を忘れて長居してしまう。

街の変化と言えば、週末の人出が増えたとも聞く。「店舗を借りるとき、『土日は来ないよ』と不動産屋さんに言われましたが、週末の集客は平日よりもはるかに多く、サラリーマンや女性のお客さまがとても増えています」とは、『STACKS BOOK STORE』の山下丸郎さん。店内には厳選された本が並ぶ中、意外にもSF、ホラー、ミステリーも!?

「うちでは売れにくいのですが、好きなので(笑)。でも、Tシャツ目当てに来た若者が何を思ったのかミステリーも一緒に買ってくれたりするんです。そういう、誰かの新しい扉が開けばいいなと思って」

東スポがプロデュースした冷凍餃子の自販機!?

ガラス張りでライブハウス?と驚いたのは『POLARIS Tokyo』。即興演奏が多く爆音も出すと聞けば気になるのが音響だが、「これが結構いいバランスで音を鳴らすことができるんです」と、かとうみほさん。ライブ中、道行く人が演奏に気づいてのぞいたり聴き耳を立てたりする姿を何度も目にできるのが面白い。

「普通のライブハウスは地下にあるとか薄暗いとか、非日常感がいいのかもしれない。でも、自分がやるなら閉塞感や息苦しさのない所がいい。このハコは、現実の街や人が見えるし、演者さんとお客さんとの境目がないのがいいんです」

書泉グランテの裏、『ラドリオ』のある名路地。

そんな話を聞いて、この街を想(おも)う。ハレの繁華街や観光地とは違い、商いや営み、学びといった日常と地続きの街。地に足の着いた浮かれさせ過ぎない空気のおかげでいつでも平温で歩ける。それがすこぶる楽で心地よい。街が新陳代謝を繰り返しても、その根底はきっと揺るがない。

取材・文=下里康子 撮影=逢坂 聡
『散歩の達人』2025年5月号より

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