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ゴールデンウィークに観たいアニメ「機動戦士ガンダム」日本のポップカルチャーの象徴!

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1979年04月07日 テレビ朝日系アニメ「機動戦士ガンダム」放送開始日

サンライズのオリジナル作品第3弾として登場したガンダム


テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の放映が始まったのは、1979年4月7日。この作品はもともと、それまで下請けの仕事が多かったアニメ制作会社のサンライズが、自社の著作権を持つ作品を作りたいとして企画したものだ。『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』に続くオリジナル作品であり、単なる勧善懲悪ではない物語の下地は、これらの作品からも見て取れる。監督を務めたのは前2作に続き、富野喜幸(現:由悠季)だ。

ガンダムはさらなる飛躍を目指し、『宇宙戦艦ヤマト』のように映画化を視野に入れて企画された。当初の仮題は “宇宙戦闘団ガンボーイ” 。ロボットものではなく、ジュール・ヴェルヌの小説『十五少年漂流記』をイメージしていたという。スーパーヒーローではない、少年たちの人間ドラマを描こうとしていたのだ。

巨大ロボットものの衰退を感じていた冨野は、やられメカが出てきて主人公ロボがやっつけるだけの話を脱するべく、1本の長いストーリーとした。6畳ひと間の会議室で冨野が出した企画書をベースに進められ、『機動戦士ガンダム』の設定書が完成した。作品テーマは “自由と義務”。この時点ですでに、スペースコロニーの詳細な大きさや、戦争に至るまでの経緯が考えこまれており、それが、後のさまざまな作品の礎となったといえよう。

根暗でメカオタクというアムロ・レイの存在


人類の宇宙進出を可能にしたスペースコロニーのひとつがジオン公国を名乗り、地球連邦軍との独立戦争が始まる。主人公は、スペースコロニーに住む15歳の少年、アムロ・レイ。ジオンとの戦いに巻き込まれたアムロは、偶然乗った “モビルスーツ” と呼ばれる人型の大型兵器ガンダムで、ジオン軍と戦うことになる。新造の戦艦・ホワイトベースで出会った仲間と共に、アムロは人として、また人を超えたニュータイプとして成長していく。

キャラクターデザインは、安彦良和。それまでのロボットアニメの主人公と言えば、かっこよくて熱血漢の人気者という人物像が当たり前だった中、根暗でメカオタクというアムロの存在は当時、画期的かつ異例であった。そんな描き方もまた、この架空の物語にリアリティを感じさせる大きな要素となった。そしてメカデザインは、こちらも前2作に続き大河原邦男。ガンダムのデザインは “超合金” などの商品化を前提としていたためスポンサーの意向も反映されたが、“敵ロボットは商品にはならない” という前提であったため、大河原は好きなようにデザインをした。ここで、あのザクの造詣が出てきたのは、大河原邦男ならではの天才的なセンスとしか言いようがない。

ⓒ 創通・サンライズ

初回放送では打ち切り。しかし再放送を重ね大ブレイク


初回放送時の視聴率は名古屋地区で平均9.1%、関東地区で5.3%と人気は振るわなかった。中高生向けのリアルな設定はおもちゃの販売にも結びつかず、おもちゃを売るために登場したメカが、Gファイターだ。そうしたテコ入れの甲斐もなく、全52話の予定が43話に短縮され、打ち切りとなってしまった。しかしそんな不人気作品は、見事にブレイクを果たす。

その理由は再放送が重ねられ世間一般に浸透していったことと、放映終了から半年後にバンダイから発売されたプラモデルによる部分も大きい。“ガンプラ” の愛称でそれは当時の小中学生を中心にブームとなり、全国の模型店やおもちゃ売り場では品切れが続出。そして、1981年から1982年にかけて劇場版が公開される頃には、ガンダムの人気は不動のものとなる。実は、初回放送の段階で、一部の熱狂的なファンがついているという手応えをスタッフたちは感じていた。結果として、これほどの支持を得た理由はどこにあったのだろうか。

壮大な歴史物語の中の1年間だけを描くという、かつてない組み立て


テレビアニメは基本的にファンタジーではあるが、ガンダムの世界はどこかで、自分たちが住んでいる世界から歩いていけるような感覚を覚えた。第1話の冒頭では “宇宙世紀0079〜” というナレーションが入り、物語は始まる。つまり、ここは未来の話であり、少なくともこれから描く世界の手前に79年間、視聴者の知らない歴史があり、そこで積み重なったものがあるということになる。物語自体はアムロ、あるいはシャアを中心にカメラを向けているだけであり、周りにはものすごくでかい世界があるということだ。

キャラクターやメカのリアルさも含め、ガンダムの世界は当時の中高生にとって、1979年の地球に住んでいる自分たちともつながっているように感じられたのだ。またガンダムの敵であるジオン軍は決して地球を征服したいわけでも、人類を滅ぼしたいというわけでもない。対する地球連邦軍との双方に戦う理由があるリアルな “戦争” をガンダムは描いている。

今では “ファースト” と呼ばれる『機動戦士ガンダム』の物語は、0079年から0080年までの1年間を描いたものだ。宇宙世紀という大きな世界を最初に用意したことで、その後の物語を “これは0087年のお話で、これは0093年の話ですよ” と次々に作ることができた。これが『機動戦士Zガンダム』や『逆襲のシャア』などの作品だ。アニメだけでなくマンガや小説などさまざまな表現方法で、この壮大な年表は埋められており、歴史として矛盾が無いよう、これらのストーリーは綿密に物語が練られている。

時にまったく別の世界を、時に宇宙世紀の前後の物語を描きながら、ガンダムは約半世紀にわたって新作が発表され続けてきた。その人気は国内だけに留まらず、今や日本のポップカルチャーを象徴する存在だ。これからも、まだ誰も見たことのない新たなガンダムは登場し続けることだろう。

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