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戦地からの便りに見る戦争 有年考古館で展示

赤穂民報

久保良一さんがビルマ出征を前に長男の良道さんに宛てた郵便

 太平洋戦争に赤穂から出征した兵士が家族に送った郵便物を紹介する企画展「戦争ーある兵士の手紙から」が有年楢原の赤穂市立有年考古館で開かれている。入館無料。

 1943年(昭和18)3月に有年村原(現在の赤穂市有年原)から出征した久保良一さん(1911ー45)が出征先から息子や妻などに送ったはがきを中心に展示構成している。

 小学教員だった久保さんは妻や2人の息子などを残して32歳で徴兵され、姫路第54師団衛生隊に配属。南方戦線に送り込まれ、戦局が厳しくなったビルマ(現在のミャンマー)で45年6月に戦病死した。その間、戦地から届いた便りは約50通に及ぶ。長男の良道さん(1937ー2017)は2006年に『父と歩んだ六〇年ー戦地からの便りに想うー』の題名で一冊の本にまとめたのを機に原本を有年考古館へ寄贈した。

 企画展では終戦80年にあわせ、次男・昭臣さん(82)の了承のもと寄贈資料を6年ぶりに展示。初公開資料を含むはがき約30点と関連資料の計約50点を年代順に並べている。

 ビルマへ上陸してからしばらくの間に書かれた便りには、子どもたちに向けに現地の風景を描き添えるなど当地の様子をやさしく伝えているが、連合国軍との交戦が本格的になった時期からは小さな字でびっしりと書き込まれ、手紙を出せる貴重な機会にできるだけ多くのことを伝えようとする緊張感がうかがえる。

 山中良平学芸員によると、部隊の行動や経路といった軍事情報が漏れないよう、手紙に日付は書かれていないが、「義士会の日」「今日は周世のお祭りの日です」などと家族には手紙を書いた日が伝わるように記しているという。

 出征前夜に長男のために書き、翌春に良道さんが国民学校に入学する日の朝に読み聞かせるように妻に言い渡した書簡、良一さんの最期を看取った戦友の手記なども展示。山中学芸員は「手紙には当時の世相や人々の心情がつづられ、地域の人々が戦争にどのように巻き込まれ、どのようにとらえたのか知ることができる。展示を通して当事者の方々の心境を感じてもらえれば」と話している。

 10月13日(月)まで午前10時〜午後4時(入館は3時半まで)。火曜休館。Tel49・3488。

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