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【ミリオンヒッツ1994】CHAGE&ASKA「HEART」90年代チャゲアスの伝説的な快進撃!

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1994年08月03日 CHAGE&ASKAのシングル「HEART / NATURAL / On Your Mark」発売日

リレー連載【ミリオンヒッツ1994】vol.15
HEART、NATURAL、On Your Mark / CHAGE&ASKA
▶ 作詞:飛鳥涼(HEART)
▶ 作曲:飛鳥涼(HEART)
▶ 編曲:十川知司(HEART)
▶ 発売:1994年8月3日
▶ 売上枚数:114.3万枚

90年代の大衆文化におけるひとつの特徴となった “タイアップ”


近年は “コラボ” という表現が主流になりつつあるが、1990年代は “タイアップ” という言葉が一般的に使われていた。とりわけテレビドラマのタイアップは強力で、新ドラマ放送の時期になるとテレビ局だけでなく音楽業界も大いに活気づいた。視聴者はドラマの印象的なシーンと共に流れる楽曲に心奪われ、CDショップに足を運んだものだ。

この時代は、ドラマの放送に合わせて新曲が発表され、音楽番組やラジオでも頻繁に取り上げられるなど、メディアを横断した大規模な宣伝活動が展開された。こうしたタイアップ戦略は、テレビドラマと音楽産業の両方に多大な影響を与え、90年代の大衆文化におけるひとつの特徴となった。

アジア全域で人気を博したチャゲアス


その中でもタイアップ曲のビッグヒットによって音楽業界の頂点に登り詰めたのがCHAGE&ASKA(現:CHAGE and ASKA / 以下:チャゲアス)だった。91年「SAY YES」、93年「YAH YAH YAH」は、共にドラマの主題歌に起用され、社会現象とも言えるほどのメガヒットを記録。ダブルミリオン連発という前例のない快挙によって、彼らは音楽シーンを代表するアーティストとしての地位を確立した。チャゲアスの成功は、タイアップ戦略の威力を示す好例となった。

94年に入っても彼らの勢いは衰えることなく、むしろさらに加速していった。前年10月から続く全国25カ所70公演にわたる大規模ツアー『史上最大の作戦 THE LONGEST TOUR 1993-1994』を大成功のうちに締めくくると、直後の4月から5月にかけて今度は『ASIAN TOUR 1994』と銘打ち、香港、シンガポール、台北での全5公演を開催した。このアジアツアーは、チャゲアスが日本国内にとどまらず、アジア全域で人気を博していることを示す画期的な出来事となった。

デビュー15周年を記念したトリプルAサイドシングル


そして、全てのツアーを終えた後の8月、待望のニューシングルが発表された。デビュー15周年を記念したトリプルAサイドシングル「HEART / NATURAL / On Your Mark」が、実に9ヶ月ぶりのオリジナル楽曲として世に送り出されたのである。

メイン楽曲「HEART」と「NATURAL」は、映画『ヒーローインタビュー』のために書き下ろされ、それぞれ主題歌とオープニングテーマとして起用された。大ヒットドラマ『101回目のプロポーズ』や『愛という名のもとに』を世に送り出した脚本家の野島伸司と、フジテレビの敏腕プロデューサー・大多亮がタッグを組んだ『ヒーローインタビュー』。その話題性は公開前から絶大だった。

また3曲目の「On Your Mark」は、幕張メッセで開催された大規模な科学博覧会『アメリカン・フェスティバル'94』のテーマソングとして制作されたが、この楽曲はその後思わぬ展開をみせる。翌95年、「On Your Mark」をモチーフにした短編アニメーション作品が公開されたのだ。制作はスタジオジブリ。驚くべきことに、アニメ界の巨匠・宮崎駿が自ら原作、脚本、監督を手がけた。この短編作品は、公開後に高い評価を得ることになり、一部の熱心なアニメファンの間では “宮崎駿の最高傑作” と評されるほどだ。

シングルの “顔” として積極的にオンエアされた「HEART」


ただ、シングル全体のプロモーションという点では、やはり映画主題歌の「HEART」が中心だった。当時のテレビやラジオでは「HEART」がシングルの “顔” として積極的にオンエアされていたのを覚えている人も多いだろう。「YAH YAH YAH」を彷彿させるアップテンポでキャッチーなメロディ、サビへと向かって盛り上がるドラマティックな展開は、多くのリスナーに感動を与え、心をつかんだ。

歌詞の中に散りばめられた “愛” “僕” “君” “すべて” というフレーズは、いわば “劇場版トレンディドラマ” とも言える映画のテーマとも見事に一致。またしてもチャゲアスは、タイアップの名手としての実力を世に知らしめたのである。

一方で、この頃からASKAの書く歌詞は純粋な恋愛模様を描くにとどまらず、哲学的な比喩を用いる傾向が顕著になった。翌年、ソロ名義で発表した「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」ほどではないが、「HEART」も一見しただけでは理解の追いつかない難解な表現が登場する。

 貨物船のように運ばれる街ですれ違う
 言葉の船底をこする思いで語り合う

という一説は、まさしくASKAの真骨頂と呼ぶべき詩的表現だ。国内屈指のトップアーティストでありつつ、芸術性を追求する姿勢は、チャゲアスの魅力を一層深めることになった。

「ミュージックステーション」では1時間丸々チャゲアス特集


当時のチャゲアスがいかに規格外の存在だったか。「HEART」リリース後の9月2日、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)は “Anniversary 15th CHAGE&ASKA” と題し、なんと1時間丸々チャゲアス特集を組んだのである。当日は「HEART」「NATURAL」「On Your Mark」に加え、「LOVE SONG」や「天気予報の恋人」といった人気曲を惜しげもなく披露。またファン投票による “歌ってほしい曲ランキングTOP30” という企画が放送され、見事1位に輝いた「PRIDE」を生演奏した。

この『ミュージックステーション』特別編は、チャゲアスが並の人気アーティストの域を超えた、アジアの音楽界における巨大な存在であることをあらためて印象づけた。さらにこの年の暮れ、彼らはドラマ『妹よ』の主題歌「めぐり逢い」でまたしてもミリオンヒットを記録。その勢いは他の追随を許さないものがあった。

あの頃、チャゲアスが築いた伝説的な快進撃は、日本の音楽史において輝かしい一章として永遠に語り継がれていくだろう。​​​​​​​​​​​​​​​​

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