旬な季節と食材、そして事件。フランソワ・オゾン最新作『秋が来るとき』ほか『犬の裁判』などを5作品紹介
毎週・木曜日の深夜1時30分から北海道・札幌のエフエムノースウェーブで放送されている、矢武企画制作・映画専門ラジオ番組「キャプテン・ポップコーン」の内容をSASARU movieでも配信!
キャプテン・ポップコーンこと矢武企画が映画の情報はもちろん、映画に関係するまちの情報をお届けします。
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※この記事では6月5日(木)放送の内容をお届けします。
※公開される映画館名や作品情報は上記日程の放送時点のものになりますのでご留意ください。
【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画
矢武企画ことキャプテン・ポップコーンが最新映画をご紹介っ!
映画『か「」く「」し「」ご「」と「』
京・ミッキー・パラ・ヅカ・エルの5人の高校生の話です。
「自分なんて」と引け目を感じている高校生・京は、ヒロインじゃなくてヒーローになりたいクラスの人気者、ミッキーが気になって仕方がない。ミッキーの親友で予測不能な言動でつかめない存在のパラと、明るく楽しそうにしている彼女を、京はいつも遠くから見つめるだけ。そんなミッキーの幼馴染で京の親友のヅカを通し、卒業するその日まで“友達の友達”として一緒にいるはずだった。ある日、内気な性格のエルが学校に来なくなったことをきっかけに、5人の想いが動き出す。
「君の膵臓をたべたい」などで知られる作家・住野よるの同名小説を『カランコエの花』(18)の中川駿が監督。
『MOTHER マザー』(20)の奥平大兼が京を。『赤羽骨子のボディガード』(24)の出口夏希がミッキーを演じています。みんなには隠している、少しだけ特別なチカラ。それぞれの“かくしごと”が織りなす、もどかしくも切ない青春物語です。
矢武:無垢な10代の感情が、変に誇張されることなく純粋に描かれていました。画面に感情や考えのエフェクト表現が出現しますが、セリフなどの説明を下手に補うのではなく、映像作品としての面白さを表現していたと思います。
映画『か「」く「」し「」ご「」と「』(G)は、TOHO シネマズすすきの、札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌のほか、旭川、小樽、江別、釧路、北見、苫小牧で5月30日(金)から公開中です!
映画『秋が来るとき』
80歳のミシェル。パリでの生活を終え、人生の秋から冬に変わる時期を自然豊かなフランス・ブルゴーニュの田舎でひとりで過ごしている。秋の休暇を利用して訪れた娘と孫に彼女が振る舞ったキノコ料理が引き金となり、それぞれの過去が浮き彫りになっていく。人生の最後を豊かに過ごすために、ミシェルはある秘密を守り抜く決意をする。
監督はカンヌ、ベルリン映画祭の常連で『すべてうまくいきますように』(23)などのフランソワ・オゾン。
本作は2024年サン・セバスティアン国際映画祭で脚本賞と助演俳優賞を受賞しています。この映画、秋の景色や旬の食材など一見シンプルで穏やかな作品に思えるのですが、サスペンス要素が強い作品です。
矢武:試写で1度観ましたが、公開されてすぐ映画館へも観にいきました。2度観ると1度目では気づかなかった不穏な空気が、物語の序盤から主人公の何気ない行動に現れていたことに気づきます。あれ、このおばあさんもしや…と考えてしまうのです。
観客のみなさんはその行動“どちら”の解釈と考えるのでしょうか??
ちなみに、この映画で描かれている事件は、監督の幼少期の思い出が着想になっているとのことです。
映画『秋が来るとき』(G)は札幌シネマフロンティア、イオンシネマ釧路で5月30日(金)から絶賛公開中!
苫小牧シネマトーラスは6月13日(土)に公開予定です。
映画『ぶぶ漬けどうどす』
京都の老舗扇子店の長男と結婚し、東京から引っ越してきたフリーライターのまどか。450年の歴史を誇る老舗の暮らしぶりをコミックエッセイにしようと、夫の実家や街の女将さんたちの取材を始めるが、「本音と建前」を使い分ける京都の文化を知らず、女将さんたちを怒らせてしまう。京都の正しき伝道師になるべく奮闘するまどかだったが、事態は街中を巻き込んで思わぬ騒動へと発展していく。
世界中の人々を魅了する古都・京都。そんな京都が大好きすぎて、京都のいちばんの理解者になろうと暴走した主人公が引き起こした大騒動を描くシニカルなコメディ映画です。
監督は『南瓜とマヨネーズ』(17)の冨永昌敬。主演は元乃木坂46で『嗤う蟲』(25)などの深川麻衣。映画『そばかす』(22)の脚本家・アサダアツシが構想に7年をかけて完成させたオリジナル脚本がもとになり、噂で聞く京都人の「なんでも言葉通りに受け取ったらアカンで」を見事に映像化しています。
矢武:着想はとてもおもしろいです。全体的に京都の方を、悪者にしていたり、ディスっている映画ではなく「郷に入っては郷に従え」ですよね・・・と思いました。ちなみに、タイトルの「ぶぶ漬けどうどす」は、京都の人が早く帰ってほしい客に対して遠回しに使う言葉のこと。さて、結末はハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか?そして、オープニングとエンディングが珍しいのも特徴です!
映画『ぶぶ漬けどうどす』(G)は札幌シネマフロンティア、イオンシネマ釧路で6月6日(金)から絶賛公開中です!
映画『MaXXXine マキシーン』
『ミッドサマー』(20)などのA24にとって、最大のヒットシリーズとなる『X エックス』(22)『Pearl パール』(23)に続く最新作。物語は、実在の連続殺人鬼ナイト・ストーカーの恐怖に包まれた1985年のハリウッドが舞台に、シリーズ1作目『X エックス』で描かれた猟奇殺人事件から生還し、女優を目指すマキシーンの6年後から始まる。マキシーンの、ハリウッドスターへの夢が現実になる時が近づく中、連続殺人鬼や、謎の私立探偵、FBIと、邪魔をする者たちに立ち向かいながらハリウッドの頂点を目指す姿を描く。
監督・脚本は、『X エックス』『Pearl パール』に続き、タイ・ウエストが務めます。同シリーズで主人公のマキシーンと、映画史上最も無垢なシリアルキラー・パールの両方を演じてきた、ミア・ゴスが今回も主演。80年代のハリウッドの暗黒面をも描く、スターダム・スリラー・エンターテイメントです!
矢武:個人的にこのシリーズは大ファンで、とても楽しみにしていました。映画業界内にもシリーズのファンが多く、それはハリウッドも同じで、今回は、Netflixの超人気ドラマ「エミリー、パリへ行く」(20~)シリーズのリリー・コリンズ、名優ケヴィン・ベーコン、『ミッション:インポッシブル』シリーズ(06~25)の主人公・イーサンの妻でもあるミシェル・モナハンらが出演しています。キャストも豪華ですが、舞台となったハリウッドも大規模撮影で、もともとはインディーズ系スタートでしたが、あからさまに予算が増えています。さらに音楽も編集も日本のポスターもめちゃくちゃセンスが良い!
このシリーズは、バイオレンス要素が強いですが、3作品の中でも『MaXXXine マキシーン』は苦手な人でも観やすかったと思います。どちらかと言うとマキシーンは、ヒーロー的な要素でした。ハリウッドが舞台ということで、映画界への決意表明、メッセージを感じました。
映画『MaXXXine マキシーン』(R15)はTOHO シネマズ すすきの、イオンシネマ旭川駅前でで6月6日(金)から絶賛公開中です!
映画『犬の裁判』
負け裁判ばかりで事務所から解雇寸前の弁護士アヴリルは、次の事件では必ず勝利を勝ち取ろうと決意する。そんなときある男から、ある犬「コスモス」の弁護を依頼される。アヴリルはどうしても見過ごせず、またも勝ち目のない犬を弁護するという不条理に飛び込んでしまう。犬の命がかかった裁判が、賑やかに、ときにコミカルに展開する。わんこが被告となった前代未聞の裁判の行方を、実話に着想を得て描いたフランス発の法廷コメディです。
フランスの俳優、レティシア・ドッシュが主演かつ監督と脚本も担当。本作が初監督作品とのことです。
矢武:コスモス役のわんこは、サーカス犬で2024年・第77回カンヌ国際映画祭にてパルム・ドッグ賞を受賞。本当に名優犬でした。予告編では、コメディタッチな印象を持ちますが、テーマは動物の権利です。動物愛護的な考えや、女性の権利を訴えるデモ隊がぶつかるなどカオスな社会も描かれ、役者犬のかわいさなど映画的な楽しみの反面人間のエゴでどうにもできない状況にも直面します。本編は81分で非常に観やすい尺になっています。
映画『犬の裁判』(G)はシアターキノは6月7日(土)、苫小牧シネマトーラスは6月21日(土)に公開です。