初めての食体験を幸せに!トウモロコシ由来の食器「iiwan(イイワン)」(愛知県新城市)
“人生ではじめての体験を最高のものに”
そんな思いで開発された、ママもパパも子どもも、食事の時間が楽しくなるような食器シリーズ「iiwan(イイワン)」。そのヒミツは、植物由来の安心安全な素材と、ディテールにこだわった使いやすさにありました。
手がけたのは愛知県新城市にある豊栄工業。本業は金属加工業でありながら、どんな経緯でiiwanが誕生したのかーー。
開発に携わった美和敬一さんと販売企画を担当する近田佳乃子さんにインタビュー。商品に込めたこだわりや開発秘話を教えてもらいました。
バイオプラスチック製でオンリーワンを
もともと音響機器のプレス加工を手がけていた豊栄工業が樹脂用の型作りに取り組んだのがiiwanにつながる発端。樹脂型作りでは後発だったため、「植物由来の樹脂でオンリーワンを生みだそう」と試みたのだとか。
2007年から3年かけて研究開発に取り組み、iiwanの材料でもある「ポリ乳酸」を樹脂型で成形し、量産することに成功。ちなみにポリ乳酸とは、産業用に栽培されるトウモロコシのでんぷん(糖)に乳酸菌を加え、化学プロセスを経て作られる素材のこと。「成形するのに難しい素材。ちゃんと形になり、量産することができるか。ここが1つめのハードルでした」と美和さん。
ポリ乳酸は有害物質が出ることなく地球に還るため、土壌や大気に影響を与えることなく、赤ちゃんにも無害無毒。当時美和さんとともに開発に携わっていたお兄さんである副社長(当時は常務)に小さな子どもがいて、子ども向け食器を探していたところいいものが見つからず、「それなら開発した樹脂型を使い、自社で作ろう」と、ポリ乳酸の成形技術を使ってiiwanを商品化。
安全性が高く耐熱性のあるポリ乳酸の射出成形技術が、CO2削減に貢献する技術として2017年に文部科学大臣表彰 科学技術賞(技術部門)を受賞。そしてそれを一般消費者に広めたことも含めて評価され、2018年に第7回ものづくり日本大賞で最高賞となる内閣総理大臣賞を受賞しました。
それだけでなく、子ども食器において世界で最も厳しい基準が設けられているヨーロッパ規格(EN STANDARD)に準拠した試験を受け、物的安全性と化学的安全性の両方からその保証を受けています。
思わず触れたくなるデザイン
環境や体にやさしいポリ乳酸が素材であること以外にも、iiwanがママに支持されているポイントがあります。それは「形状の工夫」。
プラスチックの定説は均一な厚みにすること。「しかし、それだとチープさを感じてしまう」と考え、重厚感がでるよう下のほうの厚みを増したデザインに。また、プロダクトデザイナーに「本能的に触りたくなるデザイン」とのオーダーをし、小さな子どももふと手を伸ばしたくなるような、丸みを帯びた形状が特徴です。
また、プレートの縁はスプーンにフィット。おかずを取りこぼすことなくすくい上げることができるんです。
「子どもって自分でうまく食べられなかったりこぼしちゃったりすると、癇癪を起こしてしまうことってありますよね。するとスプーンや食器を投げてしまったり、机にぶちまけてしまったり…。親も子どもも大変です。“子どもが食事の達成感を得られること”も、子ども食器の役目としてあるのではと思っています」と美和さん。
小さな子どもがスプーンやフォークを取る際に「上からつかむ」特徴があることから、持ち手の下に隙間を作って取りやすいデザインに。
また、一般的なプラスチック商品は上から塗料が塗られていることが多いなか、iiwanは材料そのものに天然鉱石から抽出された成分がベースとなった顔料を練り込んでいるため、色がはがれ落ちる心配もありません。
思いが伝わるブランドコンセプトに
誕生した当初は「エコ」推しだったiiwanですが、2015年にリブランディング。プロダクトはそのままに、“人生ではじめての体験を最高のものに”というコンセプトを打ち出し、イラストやロゴを刷新しました。
「当時はまだプラスチックの安全性が疑問視される以前の時代でしたので、環境や体にやさしいという売り方では広まりきらなかった。子ども食器を作るに至ったポリ乳酸の安全性を生かしながらも、もっと多くの人に認知してもらえるよう、ロゴやカラーバリエーションをブラッシュアップし、“思い”が伝わるような工夫を施しました」と美和さん。
出産祝いにもぴったり
現在は、トウモロコシ由来の素材をイメージしやすいイエローをメインに、ホワイト、グリーン、ブルー、ピンクの5色展開。仕切りのあるプレートからお茶碗、カップ、スプーン、フォーク、お箸まで揃います。
自宅使いはもちろん、贈り物にもピッタリなアイテムもラインナップ。
ファーストスプーンは“卒乳記念”をイメージして、卒業証書のようなパッケージに入っているのがユニーク!
食器シリーズの主要6アイテムがセットになったギフトセットは出産祝いの贈り物にぴったりです。
育児に寄り添うプロジェクトも
iiwanが誕生してから10年ちょっとになりますが、誕生してすぐに購入したお客様のなかには「子どもが小学校高学年になっても愛用している」という方がいたり、「なぜかiiwanの食器だと好き嫌いが減る」という意見もあったり。ファン層はじわじわ拡大しているそう!
また、iiwanを使う離乳食時期のパパやママにも寄り添う取り組み「iiwan OYAKO PROJECT」も。
「乳児院にiiwan食器を寄贈する活動をしているのですが、そのなかで産後うつにより母子が切り離されてしまうケースがあることを知り、夫婦や家族で前向きに育児に取り組めるようなイベントを企画したり、そのヒントを詰め込んだワークブックを制作したりしています」と近田さんは話します。
iiwanは食事シーンだけでなく、子どもを取り巻くママやパパの心にも幸せを届けているようです。
(写真:岩瀬有奈、文:広瀬良子)
豊栄工業住所愛知県新城市川田字新間平1-369TEL0536-22-0696(代表)iiwan窓口0800-300-1115(平日9:00~17:00)
iiwanオンラインショップ
iiwan公式サイト
The post初めての食体験を幸せに!トウモロコシ由来の食器「iiwan(イイワン)」(愛知県新城市)first appeared onHIROBA!.