NPO法人ロクマル 食を通し、地域に活力 60代以上の居場所提供
「人生100年時代」といわれる現代。都筑区の「NPO法人ロクマル」(有澤厚子理事長)は、食を通した活動や関連するセミナー・講座などの開催で、60代以上の高齢者が地域社会と交わり、元気に過ごせるための場を提供。地域の活性化につなげる活動を続けている。
シニアでもない高齢者でもない
「ロクマル」は2011年、事務所が入るビル2階の厨房付きコミュニティースペース「みんなのキッチン」を使い、食を通した地域交流をきっかけに活動を開始した。
理事長の有澤さんは、元々雑誌社で働いた経験を持ち、1999年に地域コミュニティー紙を創刊。地元の主婦から企業の社長まで、さまざまな人々を取材する中、注目したのが、地域で活躍する、特に60歳前後の女性の「働き方」だった。「経済的な理由で働く人がいる一方、女性は子育てや介護などで働く機会が少なかった人もおり、自分らしさや生きがいなど、若い頃には『したくてもできなかった』働き方を追い求める人たちがいる。そうした女性たちの働き方を支援できないか」と思案。「食べて・語って・仕事が生まれる」をコンセプトに「食」を通じた地域のつながりを生む場として、60代の調理チームを結成。これが「ロクマル」へと発展していく。
有澤さんは「60代は子育ても終わり、会社や家計のために働くことから解放される『人生最高の時期』」と定義。高齢者でも、シニアでもないことを表現するため、数字の60を「ロクマル」と読み、自分の力を生かし柔軟に働く60代を「ロクマル」、50代を「プレロクマル」とネーミングした。
得意を生かし作る活躍の場
コロナ禍を経た現在の主な活動は、「みんなのキッチン」での食堂運営と弁当販売(毎週水曜、4月から弁当販売は毎週木曜)のほか「IT」「健康」「世代間交流」「居場所づくり」など「ロクマル世代」と一緒に喋りたい、知って欲しい、といったテーマでの講座やセミナーなどの開催。地域活動への参画につなげるための場を提供し、60代以上が地域社会と交わり、活躍し、心豊かな人生を送ることを応援している。
「みんなのキッチン」では、毎月1回(第2土曜)、定年後の男性がパン作りを学び、販売する「パンじいちゃんのパン食堂」を実施。食堂の開店日に合わせて行う「健幸体操」教室やコロナ禍を機に一人暮らしの高齢者などに一言添えて弁当を届ける「お手紙弁当」なども人気の活動だ。
セミナーや講座では東京大学名誉教授で、『おひとりさまの老後』の著者としても知られる上野千鶴子さんや「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さん、世界最高齢のプログラマーとして知られる若宮正子さんなどが講師として登壇している。
多様化する活動70、80、90も
コロナ禍がきっかけで始まった「お手紙弁当」は、「手書き」の良さを見直し、「古くて新しいコミュニケーション」として新たに手紙書き講座や交流会にまで発展している。また昨年、自転車で横転。骨折し、杖をつく生活を強いられた有澤さんは、「今後は杖をつく人が増えるかも」と「杖の輪談義」を開催。好評で4月23日(水)には、第2弾を開催。当日は杖アドバイザーによる杖の選び方指導も行われる。
時代と共に活動も多様化。「今のロクマルは元気。70(ナナマル)、80(ハチマル)、90(キュウマル)になっても元気でいるために、今からできる準備を」と有澤さんは笑った。
ロクマルの活動について知りたい、参加したい人のために4月12日(土)午後1時30分から「みんなのキッチン」(エルドラード横浜2階)で活動説明会が行われる。
問合せはロクマル事務局【電話】045・944・1714、メールminna@dassama.com