スパイスは食べる漢方!! 毎日食べても罪悪感ゼロ【くろねこ3】南砺・井波の門前町の古民家で営むネコのカレー屋さん
木彫りのまち、富山県南砺市の井波。
600年以上前に開かれたとされる瑞泉寺が火災で焼失した際、再建のために派遣された宮大工や彫刻師の技が地元で根付いたことから彫刻が盛んになりました。今でも門前町には数多くの工房が残り、風情あるまちなみやクラフトマンシップを求めて人が集まることから、近年は若い人の移住や特色ある店の創業も増えています。
そんな個性あふれる魅力的な店のひとつが、古民家を改装した店舗でスパイスカレーを味わえる「くろねこ3(さん)」。
「毎日食べても罪にならないカレー」と店主が語る多彩なカレーを紹介します。
木彫りの町のカレー屋さん
風情漂う石畳と伝統家屋のまちなみ
「井波別院 瑞泉寺」の表参道にあたる八日町通り。
石畳に伝統的な家屋が立ち並ぶ風情あるまちなみが広がります。瑞泉寺を中心に井波に根付いた木彫刻は今でも盛んで、全国から集まる作家の工房が数多く軒を連ねます。通りのあちこちから木槌を叩く音が響き、おだやかなまちの景色に文化の香りが漂います。
その八日町通りの一角にあるのが「くろねこ3」。木の格子戸に、スパイスカレーと書かれたのぼり旗が目印です。
店舗はもともと、神社やお寺の設計、保存修理などを手掛ける建築会社が古民家を改装した建物だそうで、玄関にはその会社の表札でもある木彫りの看板がかかっています。
古民家を改装した静かな場所
店内は門前町の町屋らしい、奥に長い造り。
清潔感がありながら、昔懐かしい日本家屋の雰囲気が漂っていて、しっとり落ち着いています。
見上げると、ふすまや障子が宙に浮いたような光景が広がっています。
店舗の真上にあった部屋の床を取り払い、1階と2階を部分的に吹き抜けにしているようです。
古い日本家屋の閉塞感に開放感をあわせ持った不思議な雰囲気。
ちょっとした異空間を体験できます。
2~4人用のテーブル席のほか、1人でもくつろげるカウンター席もありました。
奥のガラス戸の向こう側は建築会社の事務所になっているそうです。
スパイスをふんだんに使ったカレー
チキンカレーはレギュラーメニュー。そのほかにキーマ、魚介系、辛くないカレーと、常時あわせて4種類のカレーをラインナップしています。約20種類のスパイスと旬の食材を組み合わせ、変化に富んだ多彩なカレーが並びます。
チキンカレー以外は仕込んだ分がなくなったら他のメニューと入れ替えているそう。寄るたびに新しいカレーと出会えそうです。
単品の値段に+300円であいがけにできるので、定番のチキンカレーとエビ出汁カレーを頼みました。
中央のごはんはターメリックライス。猫の形でかわいらしいです。
ちなみにこの猫はレギュラーサイズの180g。小盛(100g)にするとやや小さめの猫になって、大盛り(300g、+100円)にすると2匹並んで猫の親子になるそうです。
あいがけにしてもらった右半分が、ゴロゴロの肉が入ったチキンカレー。
ひと口目はまろやかに感じますが…ガツンと辛みが! 体の内側からポカポカにあたたまって、食べ進めるうちに汗が出てくるほど。スパイスの粒感も楽しいカレーです。
左半分はエビ出汁カレー。しっかりエビの風味を感じられて、ぷりぷり食感のエビもおいしく食べられます。辛さはほのかに感じる程度で、チキンカレーよりはまろやかです。
皿の奥の方には副菜がいくつも盛り付けられています。
りんごのアチャール(インドの漬物)、にんじんのクミン炒め、春菊のココナッツ和えなど、どれも野菜や果物とスパイスを組み合わせたもの。
そのまま食べてもおいしいですし、カレーと混ぜ合わせるのもオススメです。
「毎日食べても罪にならないカレー」で体を整えて
「食べないことは老化の一歩。しっかり食べて未病対策を」と語る店主。南砺市のレンタルキッチンでの出店やイベント参加を経て、2024年8月に「くろねこ3」をオープンさせました。
調味料として使われるスパイスの多くは漢方の原料としても使われているもの。
ということで、店主いわく「カレーは食べる漢方」なんだそう。スパイスいっぱいのカレーなら、罪悪感なく毎日おなかいっぱい食べられる、しっかり食べて体を整えてほしい…そんな想いが詰まっています。
カレーはテイクアウトもOK。
落ち着く空間で、日本人好みのスパイスカレーを味わえる「くろねこ3」。風情ある井波のまちを散策していると、芳しいスパイスの香りに引き寄せられそう。歴史感じるまちなみで“食べる漢方”に癒されるのもいいかもしれませんね。