内田雄馬が音楽を通して届けたいポジティブなエネルギー|12thシングル「シンギュラリスト」&13thシングル「ハートエイク」の新たなケミストリーに迫るインタビュー
声優として数々の作品に出演する一方で、アーティストとしても昨年に日本武道館ワンマンを成功させ、対バン企画“VS YUMA”を始動するなど精力的に活動する内田雄馬。そんな彼の新たな挑戦が詰め込まれたのが、4月2日に2枚同時リリースされた12thシングル「シンギュラリスト」と13thシングル「ハートエイク」だ。
TVアニメ『クラシック★スターズ』のOPテーマとなる前者はElements Gardenの上松範康と竹田祐介、TVアニメ『#コンパス2.0』のED主題歌となる後者ではボカロPのバルーンこと須田景凪が楽曲を提供。初顔合わせのクリエイターとの制作、そしてバラエティに富んだカップリング曲を含め、これまでのアーティスト・内田雄馬像をいい意味で刷新する今回の2作品について、たっぷり語ってもらった。
【写真】内田雄馬 12th&13thシングルの新たなケミストリーに迫るインタビュー
「シンギュラリスト」は作品と音楽の融合
──12thシングルの表題曲「シンギュラリスト」はTVアニメ『クラシック★スターズ』のOPテーマ。作品のどんな部分に寄り添った楽曲になりましたか?
内田雄馬さん(以下、内田):『クラシック★スターズ』を企画された上松範康(Elements Garden)さんと、同じくElements Gardenの竹田祐介さんが制作してくださった楽曲なので、作品との親和性はすごくあると思います。
『クラシック★スターズ』はクラシック音楽をテーマにした作品で、作中でもクラシック音楽を現代のサウンドに落とし込んだ楽曲がたくさん出てくるのですが、「シンギュラリスト」にもそういったメロディーのフレーバーが取り入れられていて、音楽としてのパワーがある楽曲になりました。
──内田さんは本アニメに主人公のベートーヴェン役で出演されています。作品自体の印象や魅力についてお聞かせください。
内田:クラシック音楽というテーマは、人によっては敷居が高い印象があると思うのですが、この作品の根底にあるのは、音楽が持つパッションや人を動かす力で、Elements Gardenの皆さんが作られる楽曲の力が作中で遺憾なく発揮されているので、普段あまり音楽に触れていない人でも「すごいものを観た!」と感じることのできる、前向きなパワーが詰まった作品だと思います。
僕が演じるベートーヴェンももともとは音楽ではなくボクシングをやっていたのですが、怪我で辞めざるを得なくなって絶望していたところ、ベートーヴェンのギフトへの適合性を見出されて私立グロリア学園に編入。最初は消極的だったけど徐々に心変わりして真剣に音楽に取り組むようになる。その他のキャラクターにもそれぞれのドラマがありますし、気になる要素もたくさんあるので、みんなでわいわい言いながら楽しんでもらえると嬉しいです。
──「シンギュラリスト」にも、音楽そのものが持つパワーと音を全力で楽しむ気持ちが詰まっているように感じました。最初に楽曲を受け取った時はどんな印象を受けましたか?
内田:ものすごくエネルギッシュかつ華やかで、パワーのある楽曲だと感じました。ラウドロック的な曲調なのですが、その中にクラシック的なメロディーからラップまでいろんな要素が入っていて。自然と口ずさみたくなるキャッチーさがあるのに、勢いで歌い切るにはあまりにもヘビーウェイトな楽曲なので、最初に聴いた時はどう歌うべきかを考えました。
──内田さんはレコーディング前にしっかりと組み立てるタイプ?
内田:基本的にはファーストインプレッションを大切にしているので、最初に聴いてパッと思い浮かんだ形を持ってレコーディングに臨むことが多いのですが、技術的なことは事前に考えたりしますし、楽曲自体を覚えるために練習するなかで「こうした方が聴き応えが出るかな?」と考えていたりします。ただ、あまり前準備はしすぎないようにしていますね。(歌い方が)まとまってしまうと、あまり面白くないものになってしまう可能性もあるので。
──この楽曲の場合は、どんなイメージで歌ったのかを聞いてみたいです。
内田:楽曲自体に巻き込まれるようなイメージで歌ったので、音楽が持つパワーに乗っかっていく感じでしたね。その意味ではとにかく嵐のような楽曲でした。歌詞の世界観もかなり広い。その広大さに向かっていく意味でもエネルギーが必要で。特に2番のサビ前は、嵐の中を進んで行くようなパワーを意識して歌いました。
ただ、例えばサビの“nanana”の部分とか仕掛けがたくさんある楽曲でもあるので、そのフックにしっかり足をかけていくと自然と進んでいける印象もあって。なので収録自体はあまり時間をかけることなく、楽しく歌うことができました。
──上松さんからの楽曲提供は内田雄馬としては今回が初ですが、どんな印象を受けましたか?
内田:「シンギュラリスト」に限らず上松さんの楽曲がすごいと思うのは、歌うと難しいけど耳にするとメロディがすごくキャッチーなんですよね。世の中には複雑で覚えるのが大変な曲もあれば、簡単でも覚えにくい楽曲もありますが、上松さんの楽曲は難しいのに耳に残ってくる。
でも、歌うとなると技術的なことをしっかり考えないと歌えないし、いろんな要素や仕掛けが詰め込まれている。それは頭の中にいろんなビジョンが浮かばないと作れないわけで、その意味で上松さんは音楽を楽しんでいる方なんだろうなと思います。
物語を“歌う”アプローチで挑んだ「ハートエイク」
──そして13thシングルの表題曲「ハートエイク」はTVアニメ『#コンパス2.0』のED主題歌。内田さんは塵(ジン)役として出演もしていますが、作品の見どころについてお聞かせください。
内田:原作のゲーム(『#コンパス 戦闘摂理解析システム』)は8周年を迎えた歴史のある作品で、きっと自分のもうひとつの居場所や世界として楽しんでいる方がたくさんいらっしゃると思うのですが、『#コンパス2.0』では原作ゲームとはまた違った視点から、プレイヤーとヒーローたちの繋がりや絆が描かれます。
僕が演じる塵とその相棒になる13(サーティーン)だけでなく、原作ゲームのキャラクターたちもたくさん登場して、それぞれの見どころがしっかりと描かれるので、初めて『#コンパス』を知る方にも原作ゲームからのファンの方にも楽しんでいただける作品だと思います。
──原作ゲームでは、さまざまな有名ボカロPの方たちが楽曲提供していることがトピックですが、内田さんが歌うED主題歌「ハートエイク」も、ボカロPのバルーンこと須田景凪さんが楽曲プロデュースされています。
内田:今回はもともと塵役で出演することがが先に決まっていたなかで、アニメ制作サイドから「EDは塵をモチーフにした演出にしたい」ということでオファーをいただいたんです。それで楽曲を制作するにあたってどなたにお願いするのがいいか、チーム内で話し合う中で、バルーンさんのお名前が挙がって、お願いしたら快諾してくださった流れです。ただ、塵のキャラクターソングというわけではないので、作品とは離れた部分でも独立して楽しめる楽曲にしていただきました。
──たまたま気付いたのですが、内田さんと須田さんは同い年らしいですね。
内田:そうなんですよ。しかも須田くんが音楽を投稿し始めた時期と、自分が仕事を始めた時期も近いみたいで、その意味でも距離の近さを感じました。ただ、僕はボカロをあまり聴いてきたことがなくて。
それこそ僕が高校3年生だった2010年頃はボカロがすごく流行っていたのですが、合唱をやっていたこともあって音楽は人の声でと、逆張りしていてたんです…。「いやいや、フォークが最高だぞ」みたいに思っていました。でも、今回お願いするにあたってバルーンさんの楽曲が今回の表現にマッチングすると感じましたし、オファーを引き受けていただけて嬉しかったです。
──この楽曲、素晴らしいですよね。
内田:いいですよね。この楽曲自体がひとつの物語として映像が浮かんでくるような印象があって。僕は役者なので、普段から「物語を追う」ことを仕事でやっているなかで、それが自然と見えてくる感覚をこの楽曲に感じました。なので音楽的な話というよりも、ひとつの物語としてどう表現するかを考えたうえで収録に臨みました。
──確かに物語性の高い楽曲で、個人的には別れの情景や喪失感を感じましたが、内田さんはどのように受け止めて歌いましたか?
内田:おっしゃる通り、失ったものに対する想いが強く描かれた楽曲だとは思いますが、僕はその経験や感情を踏まえたうえで、それをこれから先にどう活かしていくか、ということを大切に表現しました。失ったものへの想いを整理して、その気持ちを昇華する。
「ハートエイク」は前向きにも後ろ向きにも解釈できる言葉が多いと思うのですが、僕はそういうぐちゃぐちゃした想いを出し切ることで整理して前に進む、ということを表現したかったんです。
僕は基本的に「マイナスな気持ちもどうしたら前向きになるのか?」ということを自分の楽曲に入れたいし、聴いた人の心の何かが解けて前に進めるピースになってほしい想いがあったうえで音楽をやっていて。その意味で「ハートエイク」は、過去の“痛み”もまた自分を作る一部であり、その傷を刻んで理解することで次に進むことができる、ということを前提として歌を歌っています。もちろん人によって受け取り方はそれぞれでいいと思うのですが。
──これは内田さんのライブを観ていてもいつも感じることですが、ポジティブなマインドを届けたい気持ちが、ご自身の音楽活動の芯にあるのでしょうか。
内田:もちろん自由に解釈してもらいたいのですが、「どうやったらポジティブに考えられるか?」というのは常に意識しています。ただ、能天気に「ポジティブです!」みたいな感じでは届けられないものもありますよね。“痛み”も含めて全部が自分の経験なので、その経験を痛いままにしておくか、次のエネルギーにするかはその人次第となった時に、その人のエネルギーになるような楽曲にしたいし、そういうものをみんなに届けられたらと思っています。
──その意味では、いままでもいろんなタイプのポジティブを届けられる楽曲を歌ってきたなかで、「ハートエイク」はいま“痛み”を抱えている人の気持ちにも届く新たな楽曲になりそうです。
内田:そうですね。やっぱり“痛み”に対して目をつぶるよりも、どう自分で整理していくのかが大事だと思っていて。見ないふりをするよりも、それとどう向き合うかを考えることによって、新しいチャレンジに繋がると思うんです。逃げるのではなく向き合えば、それを置いておくのか、抱えるのかを自分で選ぶことができる。
もちろんすべてに対してそう生きていくことが難しいのはわかっていますけど、それもわかったうえで「そうありたい」と思うことが大事だと思っていて。だから「弱さや痛みも含めていまのあなたである」ということを“強さ”に変えられるような提案をしたい。それが僕の基本的な考え方なんですよね。
──そういった内田さん自身の信念を重ねることのできる楽曲なのかもしれないですね。
内田:どうなんでしょうね。でも、そのエネルギーを自分の音楽に乗せられるようにいろいろ試している中で、すごく良い出会いだったと感じています。
もちろん「痛みは見ないふりをして気持ちのいい場所で過ごそう」というのもあっていいとは思いますが、自分の届けたいものはそこではないんですよね。痛みも含めたうえでいまがある。それを力に変えられる仕組みは何かないかな?と考える中で、いろいろ挑戦させていただいたのが今回の2枚のシングルになります。
──内田さんの歌声も感情豊かで、まさに喪失感を出し切って気持ちを整理するような爆発力を感じます。特にラスサビ前の“あまりに胸が痛いよ”というフレーズは本当に心からの叫びのようで。
内田:こういう表現も今回の楽曲にはあいますよね。レコーディングにはバルーンさんも来てくださったんですけど、一緒に作ることができてすごく楽しかったです。
普段役者として表現することをやっているので、音楽活動でもそこを大事にした方が良いと思っていて。「ハートエイク」はそれが出た楽曲になった気がしています。
歌の技術力って上を見ればキリがないし、自分もまだまだだと思うことばかりなのですが、表現というのはその人にしか出せないものなので。その意味でこのCDに入っている「ハートエイク」はちゃんと僕の「ハートエイク」になった感じがします。
──両シングルのカップリング曲もそれぞれ違った表情を持った充実作になっているので、ここからは各楽曲の制作エピソードをお聞かせください。まずは12thシングルから浮遊感あるUKガラージ調の「春の夜風」。
内田:この楽曲は、僕が以前から好きで聴いているシンガーソングライターのtonunさんに制作していただきました。tonunさんの楽曲は自分の心に寄り添ってくれる感覚があるし、サウンドとしても好きなんですよね。聴き心地が良くて日常でもかけていたくなるような楽曲ばかりで。こういう曲調は自分も聴いていたいし、内田雄馬としても新しいチャレンジになりました。
まさしく「春の夜風のような楽曲」というテーマでお願いしていたのですが、自分の中でごちゃごちゃしているものやささくれていたものにも寄り添ってくれるような楽曲になっていて。音楽から人が見える感じと言うか。きっとtonunさんは優しい人なんだろうなと思いましたね。
──歌詞を紐解くと、自分を見つめ直すような情景が描かれていますが、内田さんもそういう時間を大切にしていますか?
内田:大事ですね。“考える時間”は大切にしたいと思っています。声優って自分じゃない人のことを考える仕事ですから。それに、アーティスト活動に対しても、どういう風にすればいいか悩んでいたことがあって……そういう自分に寄り添ってくれる楽曲をいまの自分は求めているんですよね(笑)。その意味でtonunさんの楽曲はすごく刺さるんです。
僕に限らず聴いてくれる方にもそういう時間が必要な人はいると思うので、自分の音楽でもそういう寄り添い方のできる歌を歌いたい、と思っていた中で出会えた楽曲になりますね。
「自分らしさ」を探す旅、2作品に込めた想い
──12thシングルのもう1曲「Color Your Life」はブライトかつソウルフルなナンバーで、これこそアーティスト・内田雄馬の真骨頂だと感じました。
内田:明るいエネルギーが詰まっていて、すごくポジティブな楽曲ですよね。それこそ「自分らしさは何だろう?」というのを探し続けるなかで、自分の色を大切にしたい気持ちがあって。ひとつの色だけでなく、いろんな色を重ねていくことで生まれる“自分だけの色”を大事にしてもいいのではないか。そういう思いを重ねて歌った楽曲になります。
歌っていてもすごく気持ち良くて、ライブで皆さんと一緒に歌っている画が想像できましたし、聴いていてハッピーな気持ちになれる楽曲だと思います。
──そして13thシングルのカップリング曲「アトリエ」は、ラップも交えながら疾走していく最新型のダンスポップといった装いです。
内田:この曲のテーマはシンプルで“現状を変えていく”です。「静寂を打ち破るような楽曲が欲しい」ということでオーダーさせていただきました。さっきの話に繋がるのですが、今回の2作品は迷いに対して挑んだシングルなんです。
──傍から見るとアーティスト活動も順風満帆な印象ですが、そんなに迷っているんですか?
内田:アーティスト活動ってやっぱり難しいんですよね。これまでに、「内田雄馬」というのが自分の中で乖離していると感じた瞬間もあって。分離している分には「(アーティストとしての)内田雄馬を客観的に見る」という話なのでいいことでもあるんですけど、その分離が乖離し過ぎるとよくわからないことになるので、そこに対して何か芯が必要だなと思って、いろいろ試しているのがいまなんです。
──アーティスト活動の核になる部分を模索している、と。
内田:世の中はいつもキラキラしているとは限らないですよね。その中で生きていくために、自分にとって、どんなことでも力に変えていけるような考え方が大事だと思っていて。そういう意味で、キラキラした部分だけを見せるような活動になってはいけないとずっと思っているんですね。考えることをやめて気持ちのいい場所でだけ過ごしていたら、いつのまにか自分の生きる力が弱まっていくと思うんです。
そう考えた時に、いままでやってきたことが崩れることを恐れるのではなく、いまとは違う場所に行くことで新しい自分が見つかるかもしれない。そのために、現状を変えられるような、アグレッシブなパワーがないと見つけられないものもある。necchiさんの楽曲を聴いた時に、そういうポジティブなエネルギーが詰め込められそうだと感じて生まれたのが「アトリエ」でした。
──なるほど。現状打破からの再構築、スクラップ&ビルドですよね。
内田:ひとところに留まらないことを大事にしたいんですよね。時代や時間は流れていくものなので、自分は変わらなくても世界は勝手に変わっていく。なら、それを楽しんでいくためのエネルギーが大切になってくると思うんです。もちろん変わらないのも一つの正解だと思います。
でも、僕はそれはもったいないと思うし、前に進めば新しい出会いや何かを得られる可能性が生まれやすくなると思っているんです。「アトリエ」はそういうエネルギーを届けられる楽曲だと感じていて、今まで以上に攻めた表現もあった方が伝わる部分もあるなと思ってチャレンジした曲ですね。
──いまのお話は、もう1曲のカップリング曲「Chemi-story」と内田さんが2024年に立ち上げたライブシリーズ“VS YUMA”にも繋がりますよね。対バン形式でのライブや新しい人との出会いを自ら作ることで何かを変えていこう、という精神が根底にあると思うので。
内田:そうですね。やっぱり誰かと何かをするのはすごく良い刺激になって、自分の中にないものをもらえたりするんですよね。特に3月に開催した“VS YUMA 002”では岡崎体育さんと対バンしたのですが、体育さんとは初めての出会いでライブのスタイルも全然違うのに、あの日、体育さんのお客さんも、僕の音楽を聴いてくださっているお客さんも、みんながあの会場でひとつになったと思うんですよね。
──自分も現地で拝見していましたが、間違いなく会場が一体になっていました。
内田:それは形ややり方のアプロ―チは違えど、僕と体育さんに同じエネルギーがあったからだと思うんです。「楽しんで欲しい」とか「今日をいい日にしたい」という気持ちが、僕と体育さんの中で一緒になっていて、お客さんもそれを感じて一緒になれた。それは出会わなければわからなかったことですし、そこからさらに新しい出会いがどんどん広がっていくことで、たくさんの人たちがいいものに出会って、世の中がいい方向に向かっていくかもしれない。僕はそう感じるので、誰かと新しい何かをチャレンジするのはいいことだと思うんですよね。
──それを象徴する楽曲が“VS YUMA”のテーマソングでもある「Chemi-story」だと思いますし、上松さんやバルーンさんといった初めてご一緒する方たちとの化学反応によって生まれた今回の2作品なのかもしれません。
内田:実際そうだと思います。なおかつ「Chemi-story」を作ってくださったSHOWさんとDirty Orangeさんは内田雄馬のデビュー曲「NEW WORLD」を作ってくださった方たちでもあるので、その意味では“これまで”も“これから”も含めて新しい形を提示できるシングルになったと思います。
自分の中に「こういうことを届けたい」「内田雄馬はこうであってほしい」という想いがあるなかで、3rdアルバム『Y』の次になるCDが今回のシングルだったので、その意味でもいろんなことを詰め込めて良かったです。
──今回はお話を聞けて良かったです。内田さんがアーティスト活動を通して届けたいもの、ポジティブなエネルギーの真意に触れられた気がしたので。
内田:ありがとうございます。やっぱり役者であることを大事にしたくて。たくさんの人を演じてきた中で、彼らからもらった生きる力をちゃんと内田雄馬の音楽活動にも活かしたい。内田雄馬が音楽で表現するものが、演じることの説得力に繋がるものにしていきたいと思っています。
そうすることで、内田の音楽もより力強く、パワーを届けられるものにできると感じているんです。世の中ってキラキラしているばかりじゃないけれど、泥塗れでも必死に生きて前に進もうと足掻くその姿が、何よりも尊いと自分は思います。そういった人の力になる音楽を届けられるように、自分も精一杯、考えて進んでいきたいです。
[文・北野創]