献血、若年層離れ深刻 輸血不足、高齢化で拍車
2022年7月に厚木から海老名に移転した「海老名献血ルーム」(海老名市めぐみ町)の献血者数が、移転前の水準より3割増加したことが本紙の調べで分かった。一方で、輸血用の血液を確保する献血者数は全国的に伸び悩み、特に若年層の献血離れが深刻化している。
海老名献血ルームは、JR相模線「海老名駅」に隣接する地上10階建ての複合施設の8階にある。22年7月に小田急線「本厚木駅」前から同地へ移転した。
アクセスの良さや献血ベッドの増床(全14ベッド)などが功を奏し、23年度の献血者数は21年度比3割増の年間2万9004人。元日を除き毎日稼働する同献血ルームでは、1日平均で約80人が献血に協力している。
世代別では50代が35%で40代は21%、60代17%で中高年が全体の7割超を占める。献血ができるのは原則69歳までで、400ミリリットル献血は男性が17歳、女性は18歳からでき、200ミリリットルの献血であれば男女とも16歳からできる。一方で、10代の献血者は全体の3%、20代と30代はいずれも10%ほどにとどまっている。
15年間で43%減
日本赤十字社神奈川県赤十字血液センター(横浜市港北区)によると、献血による輸血用血液製剤を使用する患者の約85%は50歳以上とのデータもある。高齢化に伴い輸血を要する患者が増加する一方、10〜30代の献血者数は09年の約285万人から23年には約162万人に減り、15年間の減少率は約43%に及ぶ。
医療機関で輸血を必要とする患者が増加する一方で、このまま少子高齢化が進めば、献血が可能な人の数は全国で毎年約66万人ずつ減少するとの予測もあり、関係者は危機感を強めている。
同センターの担当者は、「血液は人工的につくることができず、長期保存もできないため1人でも多くの協力が不可欠」と述べ、継続的な献血を呼び掛けている。
冬場は特に献血者が減少するともいう。献血はウェブ会員サービス「ラブラッド」で事前予約もでき、所要時間は60分程度。海老名献血ルームでは、献血後に手元に届く検査結果をもとに、県央地域の協力薬局115店舗で健康相談が受けられる啓発イベントを11月にスタート。来年2月末まで実施している。
この取り組みで調整役を担う海老名市薬剤師会の小林弘忠会長(県薬剤師会常務理事)は、「献血後の血液検査の結果を用いた薬局での健康相談が複数回の献血に繋がれば」と話している。