「日常忘れ没頭」繊細な竹あんどん 名張の島内さん
「繊細な作業だが、日常を忘れて没頭できる」。三重県名張市東田原の島内健さん(71)が5年ほど前から制作に打ち込んでいる竹あんどんは、直径1ミリ以下の細い電動ドリルを使い、光の効果を計算しながら風景や人物などを彫っていくもので、これまでに20点以上を完成させている。
友人と一緒に竹あんどん作りの教室に参加したのをきっかけにのめり込んだ。1つの作品を仕上げるのに約1か月かけるといい、時には置くための台も自作するそうで、「完成した時の達成感が素晴らしい」と語る。
材料にはモウソウチクを使用し、サイズも色も同じものは2つとないため、彫り方や絵の写し方には一つひとつ調整が必要。わずかに竹の皮を残す「透かし彫り」で濃淡をつけたり、色紙を裏向きに貼ってあんどんの光で色付けしたりと、光の効果を加えて独自の表現ができるのが竹あんどんの魅力だそうだ。
これまでの作品では、扇を持った舞妓や雪の積もった銀閣寺がお気に入りで、今後は元絵もオリジナルの竹あんどんを作りたいとのこと。島内さんは「じかに作品を見て、それらが作り出す癒やしの空間を体験してほしい。ぜひ竹あんどんの魅力に触れてもらい、興味を持つ人が増えてくれたらうれしい」と語った。