市の認定歴史的建造物 「杉沢堰(せき)」に新たな案内看板 古(いにしえ)の「農」 伝える遺構
新治小学校のほど近くに位置する横浜市認定歴史的建造物の「杉沢堰」(三保町1427の1)について、多くの人に一層理解を深めてもらおうと、横浜市は3月18日、その歴史を解説する案内看板を同堰のそばに設置した。地域住民による維持管理の取組も伝えているほか、40年ほど前の杉沢堰の写真なども見ることができる。
市は、江戸時代からの農業の営みや、明治以降の農業の近代化を示す貴重な遺構として、2023年2月17日付で杉沢堰を横浜市認定歴史的建造物とした。市によると、現在までに認定済みの全104件のうち、市内の堰としては初で唯一の認定という。
市河川企画課によると、付近にはもともと別の案内看板が設置されていたが、老朽化が進んでいた。そこで23年の認定を機に、新たな案内看板の設置準備が行われた。
有志が保存に結束
近隣を流れる梅田川は、江戸時代から、稲作が盛んな地域にとって重要な水資源だった。当時、水田に水を引くために複数の堰が造られており、杉沢堰もその一つだという。市によると当初は木製だったが、貯水量や耐久性の向上を目的に、1933年頃にコンクリート製に造り替えられた。
現在は水を引くという役目を終えているものの、稼働当時の様子を今に伝える貴重な存在として、2017年には緑区遺産に登録された。「緑区遺産三保町保存会」の会長のほか、三保町自治会の会長も務める黒沢長二さんによると、近年では同保存会のメンバーが2〜3カ月に1度ほど、杉沢堰周辺の草刈りや清掃などを続けている。
黒沢さんは「杉沢堰は先人たちが生きるために造ったもの。この案内看板の設置を機に、多くの人が史跡巡りに訪れてくれれば」と話している。
杉沢堰は、新治市民の森の東側にある「D―1」地点から東に進んだ場所に架かる「お滝橋」のそばに位置している。