ワーママの転職活動のリアル #いい育児の日 に読みたい転職のヒント
11月19日は「いい育児の日」。
語呂合わせから生まれたこの記念日は、「育児をもっと前向きに、もっと自分らしく」という思いを込めて制定されたそうです。そんな日にこそ、育児と仕事の両立に悩むワーママのリアルな声に耳を傾けてみませんか?
「子どもが生まれて復職しましたが、休みづらい環境や子育て経験者がいなく、肩身が狭いです。この先もずっと働くのは難しいように感じ、転職した方がいいのではと考えるようになりました。
しかし、子どものお世話をしながら転職活動をできるのか、そもそも雇ってくれるところがあるのか、いろいろ不安です。面接の日に子どもが熱を出してしまったり、入社直後に欠勤が続くなどになったら……。
できればパートではなく、正社員としてのキャリアを続けたいと考えていますが、どこの職場でも正社員は同じでは、という気もしています。
このような状況でも、転職活動はすべきでしょうか? ワーママの転職活動はどんな点が大変で、どのようにするとスムーズにできるのでしょうか。」
「このままずっと働き続けられるのだろうか」──復職後、職場で肩身の狭さを感じながらも、正社員としてキャリアを諦めたくない。そんな思いを抱えるワーママは、決して少なくありません。
実際、マイナビ転職が行った「育児離職と育休の男女差実態調査(2025)*1」では、子育て中の正社員のうち、育児との兼ね合いで退職したり退職を検討したりした人は35%という結果が出ています。
育児と仕事の両立は、想像以上に体力も気力も必要で、特に子育て経験者が少ない職場では、理解を得るのが難しく、孤独を感じることもあるでしょう。転職を考え始めても、「子どもが熱を出したら面接はどうする?」「入社後に休んだらどう思われる?」といった不安が次々に押し寄せてきます。
今回の記事では、自身も小学生二児を育てるキャリアコンサルタントの林先生に、悩みの整理の仕方や転職活動をスムーズに進めるための工夫を解説いただきます。
育児もキャリアも諦めたくないあなたへ、少しでもヒントになりますように。
キャリア・コンサルタント
林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級、両立支援コーディネーター。
企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算4000件以上の個別面談実績、年100件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、人材コンサルティングも実施。日経Xwomanアンバサダー。小学生2児の母。
•ワーママならではの葛藤に共感を寄せて
•不安を整理することから始めよう
•苦しさの原因、まずは現職で解決できることはないか?
•正社員での転職は可能か?
•転職活動のリアルな難しさ
•子どもがいても転職を進めるための5つの工夫
•① 情報収集は広く
•② 面接では「不安+工夫」をセットで伝える
•③ 活動時間の工夫
•④ 家庭のサポート体制を整える
•⑤ 外部の支援を活用する
•まとめ──諦めなくていい
ワーママならではの葛藤に共感を寄せて今回のご相談は、復職を果たしたばかりのワーママさんからのお悩みです。
私自身も二児を育てながら仕事をしており、第二子出産後の育休明けに転職を経験しました。いただいた内容は、他人事とは思えません。
まずはご相談者さま、仕事復帰してここまで、本当によく頑張ってこられましたね。「休みづらい」「肩身が狭い」といった言葉の裏には、何度も葛藤を乗り越えてきた日々があったことと思います。
子育てをしながら仕事を続けるなかで、「本当にこのまま働き続けられるのだろうか」と不安になるのは自然なことです。急な子どもの体調不良への対応、周囲に子育て経験者がいない孤独感、そして「自分だけが特別扱いをお願いしているのでは」という後ろめたさ──。
実際、復職後の数年は仕事と育児の両立が最も大変な時期とも言われています。キャリアを積みたい思いはあるのに、日々の調整に追われ「転職」という選択肢すら重たく感じられる…。だからこそ突破口が必要になるのです。
不安を整理することから始めようワーママは特に日々に余裕がなく、「不安だ」「辛い」と感じながらも、その思いを言葉にする時間すら取れないことも多いでしょう。
だからこそ、まずは一度立ち止まり、自分の不安を書き出してみることをおすすめします。
今回のご相談者さんの場合、
●休みづらい環境や子育て経験者がいないことで肩身が狭い
●それでも「正社員として働き続けたい」という希望を持っている
その一方で、
●転職活動そのものを子育てと両立できるのか
●面接の日に子どもが熱を出したらどうしようという心配
●入社直後に欠勤が続き、信頼を失ってしまわないかという恐れ
といった不安が、迷いを深める要因になっているようです。
不安をこのように整理してみると、「自分が何に悩んでいるのか」「どんな未来を望んでいるのか」が少しずつ見えてきます。
次に、その原因と対処法を冷静に考えていきましょう。
苦しさの原因、まずは現職で解決できることはないか?転職は環境を変える有効な手段ですが、同時にリスクも伴います。新しい職場に移れば、人間関係をゼロから築き直し、新しい業務を覚える必要があり、体力も気力も消耗します。
だからこそまずは、現職で解決できることはないかを検討してみましょう。
●人間関係の改善余地
苦しさの原因が特定の上司や一部の部署に限られているなら、異動や配置転換で改善できる可能性もあります。
●制度の活用
表向きには制度がなくても、上司との相談で柔軟に対応してくれるケースもあります。勇気を出して声をあげることで道が開ける場合も。
●仕事の進め方の工夫
突発休暇に備え、業務をチームでシェアできる仕組みを自ら提案するのも一つの方法です。
もちろん「それができないから苦しい」という現実もあるでしょう。
ただ「できる工夫を試したうえで転職を決断する」ことは、結果的に自分の判断への納得感につながります。
正社員での転職は可能か?結論から言えば、正社員での転職は十分可能です。
実際に「子育て経験者が多い」「突発的なお休みに理解がある」など、制度や文化が整った企業は増えてきています。
例えば同じ「土日休み」の会社でも、
●有給をどれだけ取りやすいか
●子どもの体調不良に理解があるか
●在宅勤務や時短勤務の制度が実際に運用されているか
といった点で、働きやすさは大きく変わります。
一方で忘れてはいけないのは、正社員として採用される以上、成果や責任は他の社員と同じように求められるという現実です。
制度があるからといって「休んでも大丈夫」ではなく、制度と自分の成果をどう両立させるかを常に考えておく必要があります。
例えば、
●限られた時間のなかで効率的に成果を出せる工夫をしているか
●チームと連携し、突発的なお休みがあっても仕事を止めない仕組みをつくれているか
●自分が会社にどんな価値を提供できるかを、具体的に語れるか
といった点は、選考時にも必ず見られるポイントです。
キャリアを続けられている人は、「休みやすさ」と「成果をきちんと出せる仕組み」を両方持っているケースが多いのです。
転職活動のリアルな難しさその一方で、ワーママの転職活動には、独身時代にはなかった現実的な壁がいくつもあります。
●時間の制約
育児・家事に追われ、求人検索や応募書類作成の時間を確保するのが難しい。
●面接調整の難しさ
「平日14時に来てください」と言われても、保育園のお迎えや子どもの習い事と重なりやすい。オンライン面接が広がったとはいえ、子どもが横で泣いてしまう場面も。
●子どもの体調不良
特に入社直後の3か月は信頼を築く大事な時期。「この時期に休んだらどう思われるか」という強い不安を抱えやすいのも現実です。
●心理的な負担
「子どもがいるから採用されないのでは」「病気で休んだら申し訳ない」という周囲への気持ちは心理的負荷になりやすいです。
こうした不安を抱えたまま活動すること自体が、大きなストレスになります。つまりワーママの転職は「通常の転職活動の負荷+家庭事情にまつわる不安」が二重にのしかかるのです。
だからこそ、不安を不安のままにせず、具体的な備えを整えることが欠かせません。
子どもがいても転職を進めるための5つの工夫
① 情報収集は広く
求人票の条件だけで判断せず、口コミやOB訪問、実際に働くママ社員の声も拾いましょう。
「制度はあるけれど使えない会社」と「制度を実際に使える会社」は全く別物です。厚生労働省の「両立支援ひろば」などの公的情報も参考になります。
② 面接では「不安+工夫」をセットで伝える
「子どもが熱を出すこともあります」と伝えるだけでは懸念点となりますが、「家庭でサポート体制を整え、病児保育も登録しています」と補足すれば安心感を与えられます。
弱みを隠すのではなく「どう補ってきたか」を語ることが信頼につながります。
③ 活動時間の工夫
「子どもが寝た後に30分だけ求人を探す」「通勤中に企業研究」など、生活に合わせて小刻みに時間を確保しましょう。
パートナーと「週に2時間だけ転職活動に集中させてほしい」と話し合い、合意しておくのも大切です。
④ 家庭のサポート体制を整える
入社直後は特に休みづらいため、病児保育やベビーシッターを「予備的に」でも登録しておくと安心感が違います。
実家や友人など頼れる人をリスト化し、いざという時に動けるよう準備しておきましょう。
⑤ 外部の支援を活用する
転職エージェントの中には「子育て層に強い担当者」もいます。
また「マザーズハローワーク」など子育て世代に特化した窓口も存在します
。
キャリアコンサルタントに相談し、求人票だけでは見えない「企業文化の見極め方」を学ぶのも有効です。
まとめ──諦めなくていい「どの会社でも同じ」と思ってしまうのは、今の職場がそう感じさせているだけかもしれません。実際には、子育てとキャリアを両立しやすい環境を整えている会社は確実にあります。
転職は簡単ではありません。
でも、不安を整理し、現職でできる工夫を試し、それでも難しいときは「環境を変える」選択肢を持ってよいのです。
キャリアを諦めなくても、あなたに合う働き方はきっと見つかります。どうか「諦めなければ道はある」と信じて、一歩を踏み出してみてください。
制作:マイナビ転職編集部
マイナビ転職では、子育てとキャリアの両立を目指すワーキングマザーを応援しています。「女性の転職特集」では、数多くの求人を掲載中。ぜひチェックしてみてください。
( https://mynavi-carehome.jp/about/concierge/?src=mtc )
*1:【育児離職と育休の男女差実態調査(2025)】子育て中の正社員のうち、育児との兼ね合いで退職または退職を検討した人は35.0%。約9割の女性が子育て中も正社員としてのキャリア継続を希望( https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/22/ )