「非喫煙者向け時間休」導入で社内喫煙率の低下目指す 健康経営に関するユニークな取り組み
不動産業のサンセイランディック(東京都千代田区)は、2025年1月1日から「非喫煙者向け時間休」制度を導入すると発表した。昨今の健康に対する意識の高まりを受けて、社内喫煙率の低下を目標に掲げたもの。
たばこを吸わない人に月4時間の時間休を導入 喫煙者の禁煙外来には費用負担
非喫煙者には毎月4時間の時間休を付与することで、原則月に4日、勤務時間を1時間短縮できるようにしたもの。また、喫煙者が禁煙外来を受診する場合は2万円を上限として同社が費用負担する。
同社では、人的資本への取り組みの一環として「働きやすい環境の整備」を取り上げ、健康経営に積極的に取り組んでいる。同社の健康経営の取り組みに関しては、次の認定を受けている。
・健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定
・健康保険組合(協会けんぽ)連合会東京連合会の健康優良企業で「銀」の認定
・次世代企業認定「くるみん」を取得
また同社では、通常勤務時間(9:30~18:30)の前後1時間程度の幅で、就業時間を変更できる「時差Biz」という制度を導入。多様な働き方の実現を推進する取り組みも積極的に行っている。
喫煙者が仕事中にたばこを吸うのは業務時間? 「集中できない」の声も
喫煙者が職務中に離席することで生まれる禁煙者との差を、制度に反映させた事例はほかにも見られる。マーケティング支援を行うピアラ(東京都渋谷区)は2017年、非喫煙者に対して年間最大6日の有給を与える「スモ休」を開始した。喫煙者は通常の休憩時間以外にも1日数回、業務を離れることがあり、非喫煙者との業務時間の差が問題であるという社員からの発案を基に制度化された。
福利厚生サービスを提供する心幸サービス(兵庫県尼崎市)が8月に発表した、非喫煙者とともに働く喫煙者111人を対象に行ったアンケート調査では、約7割が「勤務中に、ニコチンが切れたと思う瞬間がある」と回答。(「かなりある」と「ややある」の合計)
約6割が「勤務時間中にたばこを吸うことに罪悪感がある」と回答しているものの、ニコチンが切れたときの心情として「集中できない」、「イライラ」といった回答が寄せられ、回答者の約3割が「たばこを吸う時間」も「仕事の一部だと思う」と回答していることが明らかになった。
また、回答者のうち「たばこを辞めたい」と考える人に、会社にあったらよいと思う支援をたずねたところ、福利厚生として禁煙のサポートを求める声が35.9%で最も多かった。ほかの回答は以下の通り。(複数回答)
・企業の福利厚生として禁煙をサポート:35.9%
・第三者機関による禁煙のサポート:26.6%
・たばこを吸いたくなったときの対処法などの情報提供:25.0%
・禁煙の動画講習プログラム:23.4%
・禁煙のカウンセリングや指導:21.9%
・禁煙製品の提供:17.2%
・その他:1.6%
・わからない/答えられない:17.2%
従業員の禁煙化に向けた取り組みは各社で進められている。当メディアでも、これまでに大鵬薬品工業(東京都千代田区)や愛三工業(愛知県大府市)、レオパレス21(東京都中野区)、業務時間内の喫煙を禁止し、社内の喫煙所を撤去すると発表した損害保険ジャパン(東京都新宿区)の取り組みなどを紹介している。
サンセイランディックの発表の詳細は、同社公式ウェブサイトで確認できる。