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発売から45年!五輪真弓「恋人よ」昭和を代表する名曲はトロットにも影響を与えていた?

Re:minder

1980年08月21日 五輪真弓のシングル「恋人よ」発売日

1972年デビュー、女性心がソングライターの草分け的存在の五輪真弓


五輪真弓は1972年にシングル「少女」と同名のアルバムでデビュー。女性シンガーソングライターの草分け的存在としても広く知られているアーティストだ。2022年にデビュー50周年を迎え、4枚組の記念アルバム『Mayumi Itsuwa Premium best -HISTORY-』をリリースした時に『デビュー50周年!五輪真弓という女性アーティストが日本音楽史に刻んできた功績』というコラムをRe:minderで書かせていただいた。

五輪真弓のデビューアルバム『少女』は、キャロル・キング、チャールズ・ラーキー、デヴィッド・キャンベルらが参加、さらには五輪のための新レーベルが設立されるなど、当時新人としては異例とも言える鮮烈なデビューが大きな話題となった。1977年にはフランスのCBSから仏語のアルバムをリリースしており、日本人としてかなり異色な活動をしていた。

昭和を代表する1曲と言っても過言ではない「恋人よ」


海外でレコーディングをすることが多かった五輪だが、ある時、母国語の持つ響きの美しさに開眼し、日本人の琴線に触れる楽曲「さよならだけは言わないで」をレコーディングしている。この曲が発売された1978年は空前のニューミュージックブームだったこともあり、瞬く間に約30万枚の売り上げを記録。この曲のヒットで新境地を開拓した五輪は、「残り火」「合鍵」などを続けて発表し、1980年についに “あの曲” をリリースすることになる。

“あの曲“ というのはもちろん五輪の代表曲でもあり、昭和を代表する1曲と言っても過言ではない「恋人よ」のことである。五輪のデビュー当時のプロデューサーであった木田高介が交通事故により亡くなったことがきっかけで生まれたこの曲は、葬儀からの帰り道で歌詞を思いついたのだという。曲に関しては自宅で掃除機をかけていた時に、掃除機の音の中に埋もれていた音があったように聞こえ、そこからサビのメロディーが生まれた。

もともと、B面曲として収録される予定だったが、レコーディング中に感動のあまりレコーディングスタジオがシーンと静まりかえったというエピソードが残されている。A面曲として制作された曲ではないためイントロはなんと48秒もあるが、船山基紀のアレンジに関して五輪は “まるで映画音楽のようなストリングスの壮大かつ表現力豊かな音色が聴こえてきて、それまで聴いたことがない、魂が震えるような感覚を覚えました” とコメントしている。レコーディングの時の仮歌の出来が良かったので、そのままリリースされたそうだが、もしかすると、感情の赴くままに表現するより淡々と歌った方が聴く側は感情移入しやすいのかもしれない。

最愛の人を失くした悲しみを歌ったバラード


1980年8月21日にリリースされた「恋人よ」はオリコン1位を獲得する大ヒットになり、瞬く間にミリオンセラーを記録。この曲で “賞獲り宣言” をし、見事『日本レコード大賞』の金賞を受賞している。この年、五木ひろしと八代亜紀がレコード大賞の候補になっており、その戦いは “五八戦争” と呼ばれ世間をにぎわせていた。しかし、この “五” の中には五輪真弓の “五” も含まれていたという説もある。惜しくも大賞は逃したものの『第31回NHK紅白歌合戦』への出場も果たしており、名実ともに国民的スターへと躍り出ることになった。

最愛の人を失くした悲しみを歌ったこのバラードは、美空ひばりや淡谷のり子らが好んでレパートリーに加えていたが、この曲がきっかけとなり、五輪は淡谷のり子にシングル「雨の日の別離 / ラストソング」を書き下ろしている。国内だけでも80以上のカバーが存在し、さらには中国、韓国、インドネシアやマレーシアなどでも数多くのアーティストによって歌われている「恋人よ」。この曲の発売からちょうど45年になる2025年、五輪真弓の誕生日である1月24日に初の公式映像としてリリックビデオが公開された。

「恋人よ」のイメージ通りの素晴らしいリリックビデオ


五輪自身も日常生活でYouTubeを楽しんでいるそうで

「普段からYouTubeを見ますが、素晴らしいアーティストの方やいい歌、感動する歌がたくさんありますね。若い人の曲作りや発信の変化には驚きます。また、アニメ主題歌がこれほど世界に広まるとは思いもしませんでした。日本の個性ともいえる漫画やアニメの価値が認められ、新しいメディアを通じて世界に広まったという事だと思います。今後時代がどのように変化するか、予測がつかないですね」


と公式にコメントしている。さらに今回公開されたリリックビデオに関しても

「今回の映像は『恋人よ』のイメージ通りの素晴らしいリリックビデオになったと感じています。ドラマチック過ぎず、淡々と表現していただいた色使いも楽曲の不変的な部分にマッチしており、長く聞いていただいた楽曲のように、この映像も広い世代の方々に色々な思いを感じていただければ幸いです。」


とコメントしている。

韓国の大衆音楽、トロットにも大きな影響を与えていた「恋人よ」


以前、五輪さんにインタビューをさせていただいた時に “韓国でも私の曲が知られていたんですが、自国(韓国)の歌だと思われたみたいです。「恋人よ」がきっかけになって、韓国でもこういうタイプの曲が増えていったという話も聞いたことがあります” ということを教えてくださった。つまり、この曲は韓国の大衆音楽、トロットにも大きな影響を与えていたということになる。

当然のことだが、この曲が発売された1980年にはミュージックビデオですら一般的ではなかった。今やYouTubeなどで好きな時に楽しめるので、当時からのファンはもとより、世界中のリスナーがこの名曲に出会える新しい機会になるだろう。昨今のシティポップブームは、海外のリスナーが動画サイトを通じて世界中に広めたが、「恋人よ」も新たなリスナーに広がってくれることを願ってやまない。

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