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THE CAMP BOOK 2024、家族で楽しめる音楽とフードとキャンプの祭典の仕掛け人がスケールアップを続けるその裏側を語る

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THE CAMP BOOK

長野県・富士見高原リゾートを舞台にした音楽とフードとキャンプの祭典『THE CAMP BOOK 2024』が、今年も6月8日と9日に開催されることが決まった。出演者はロック、ヒップホップ、伝統音楽からお笑いまで何でもあり、フードは地元店舗を中心にした独自メニュー、そして観客はファミリー層を含む幅広い年齢層が集うピースフルな空間。2019年から現地開催、コロナ禍の休止をはさんで復活3年目の今年は、ホスピタリティ面でさらなる進化を遂げ、ニューモードのフェスが楽しめそうだ。フェスの主催・制作を担うプロデューサー・樋口大貴氏に語ってもらおう。

――まだ知らない方は、ぜひ写真や動画でチェックしてほしいんですが、富士見高原リゾート、素晴らしい場所ですね。

ありがとうございます。本当にロケーションは最高ですね。ただ標高が1500メートルぐらいあるので、眺望はもちろんいいんですけど、夜はめっちゃ寒いです。逆に気温が下がると焚き火もできるので、キャンプも楽しむお客さんにも、そのへんはけっこう喜んでいただいていますね。

――子供が遊べる遊具やエリアがあったり、あと温泉もある。いいですね、あれ。

もともと富士見高原リゾートには、温泉も完備されている大きい宿泊施設があるんですよ。そこも当日貸し切りをさせていただいているので、『THE CAMP BOOK』のお客様はリストバンドを見せれば、というか、『THE CAMP BOOK』のお客さんしかいないので、割引で自由に利用できますね。家族連れのキャンパーさんとかには、めちゃくちゃ喜ばれています。

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――そのへんも含めて、現地のホスピタリティのお薦めだったり、自慢したい部分があればぜひ。

富士見高原リゾートのスキー場をお借りして開催しているんですけど、スキー場のリフトが、『THE CAMP BOOK』の開催中も動くんですよ。スキー場なので、坂道を登ったり降りたりするのが大変なんですけど、リフトに乗って下から上がって来れるのがすごく好評で、子供たちから「リフトに乗りたい」「楽しい」という声をたくさんいただいています。そういう、ホスピタリティにもなりつつコンテンツにもなっているところが、会場的には大きいのかなと思います。

――夏のリフト、楽しいですよね。あと、今年はフードはどうですか。

フードも例年通り、いろんな出店者さんに出ていただいているんですが、メニュー被りがないように調整はしています。ラーメンがあったり、スイーツがあったり、長野という土地柄も含めて、ジビエのお店に入っていただいたりとか、石釜で焼くピザ屋さんとか、いろんな出品者さんがいろんな料理をご提供していただいている感じでね。

――ほかのフェスと差別化を図るために、特に考えていることはありますか。

ここは珍しいところだと思うんですが、実は、うちって出店公募はしていないんですよ。

――あ、そうなんですね。それは珍しい。

フードも含めて、出店の公募は基本的にはしていなくて、こちらで独自に「『THE CAMP BOOK』に合いそうだな」という知り合いのお店や、地元で頑張ってらっしゃるお店にむしろ「出てください」と交渉させていただいたり、そういった取り組みをしているので、他のイベントでよく見る顔ぶれだなみたいな出店者さんは、あんまりいないんですよね。地元でフライヤーとかポスターを撒く時に見つけたお店に、直接「出店してくれないですか」という話をしたりとか、偶然の出会いで出店してくれた店舗さんもいるので、意外と珍しいイベントかもしれないですね。

――すごくローカリティーというか、個性が出ますよね。そうなると。

やっぱり地元の協力がないと絶対に、大きいイベントは続けていけないと思うので、そこは大事にしている部分ではあります。

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――そしてアーティストの顔触れも、おなじみの方も増えてきたり。歴史が積み重なって、『THE CAMP BOOK』のカラーがどんどん色濃くなってきているように見えます。

アーティストのラインナップと出店のラインナップが、『THE CAMP BOOK』の色の部分なのは間違いないですし、集客の大きいコンテンツの二つなので、そこはもちろんこだわっています。ただ逆に、それが縛りになったりもしちゃうんですよね。

――縛りですか。

「このアーティストは『THE CAMP BOOK』っぽいのか?」みたいな自問自答をしていくと、いわゆるどメジャーな人たちは呼びづらいみたいな感じもあって、集客も含めて、どういった方を呼びつつ、『THE CAMP BOOK』の良さや、他のイベントとの差別化というところで、どうしていこうかな?というのは毎回悩みますね。

――その「『THE CAMP BOOK』っぽい音楽」というのは、なかなか言葉にしづらいとは思うんですけど、どういうものだと思っていますか。

まずは、ライブが面白いアーティスト。面白いという言い方が正解なのかわからないですけど、とにかくライブを見てほしい、ライブで見たいのが大前提ですね。私以外にも、ラインナップを考える人間はいるんですけど、誰一人ライブを見たことがないアーティストは、基本的に呼ばないです。私が見たことなくても、誰かが見ていて、じゃあYouTubeでみんなでチェックしようかみたいな、そこは一個のこだわりというか、勝手にそうなっていった感じですね。

――ジャンルでくくれないんですよね。パンクあり、ヒップホップあり、あとお笑いの方とか、トラディショナルな音楽とか、本当にジャンルではくくれない。

そうなんですよ。だからロックフェスでもなく、ヒップホップでもなく、とにかく我々が「これも『THE CAMP BOOK』で見れたらいいよね」というところと、あとはやっぱりファミリー層も多いので、子供に喜ばれるアーティストは誰なんだろう?みたいなところは、意識している部分ですね。

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――今年に関しては、どんなラインナップが揃ったという印象がありますか。

今年に関しては、お笑い色が強いなという印象ですね(笑)。芸人さん枠が多いかなという感じになっています。COURTステージというステージがあるんですけど、そこのラインナップには芸能やお笑いの方々がいっぱいますね。小島よしおさん、まねだ聖子さん、梅垣義明さん、DJダイノジとか。お笑いではないですが浅野忠信さん、気志團の綾小路さんもそのステージですけど(笑)。そこは飲食出店の中にあるステージで、そもそも人がたくさんいるエリアなので、すごいことになりそうだなと思って期待しています。

――あまり他の音楽フェスにはないですね。エンタメに特化したステージというの。

あと、去年までステージが3つだったんですけれど、もう一つ増えます。FORESTステージという、森の中のステージができるので、そこはアコースティックの弾き語りみたいな方々が出られるステージですね。もう一つは、MOUNTAINステージというのが野外にあったんですけど、今回はHOUSEステージと名前を変えて、室内になります。去年から復活した「TCB DISCO」という深夜のDJ帯に関しても、近隣の騒音対策も考えて、室内のHOUSEステージでやります。

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――それも進化ですよね。毎年の。

変化があるとお客さんも楽しいし、俺らは大変だけど(笑)、どんどんバージョンアップしていきたいなと思っています。

――お薦めのアーティストというと、もう全員ということになると思うんですけど、あえて言うなら、今年はどのアーティストに注目していますか。

『THE CAMP BOOK』では、アジアのアーティストを見れるんですよ。イルカポリス海豚刑警というバンドは去年も台湾から来てもらっていて、2年連続なんですけど、今回初めてタイのFOLK9(フォークナイン)というバンドを呼びます。アジアのバンドは今すごく注目されているので、『THE CAMP BOOK』がアジアのバンドをみなさんに知ってもらえる橋渡しのフェスになっていったらいいなと思いつつ、今年は3組来ていただけるので、お客さんの反応が気になりますね。

――あと一人は、DJのSEESEAさんですか。

韓国ではかなり有名なDJですよね。FOLK9もタイ国内でめちゃくちゃ人気あるし、イルカポリスも台湾でめちゃくちゃ人気あるので、まだ日本ではそこまで名前は知られていないと思うんですけど、「こんなバンドがいるんだ」ということを知ってもらえたらうれしいです。

――日本のアーティストでは、パンクやオルタナ、ヒップホップ系の充実が目立ちます。樋口さんが個人的にそのあたりが好きだということもあると思うんですが。

そのへんはもう基本的に大好きなんで(笑)。毎年出てくれているeastern youthとか。あと今年は、なんでそこ呼ぶの?ってみんなに言われるんですけど、fOULですね。fOULって、フェスに初めて出るんですよ。これだけ長年やっているバンドなんですけど。

――そうでしたか。それはすごく意外。

そこを目をつけるか?みたいなことは言われました。eastern youthやHUSKING BEEにも出てもらうので、「極東最前線」の匂いがするというか、個人的にfOULはすごく楽しみです。もしかして、知らない人もいるかもしれないですけど。

――僕らの世代のバンド好きで、知らない人はいないですよ。すごく楽しみです。しかもそういうバンドが、子供たちの前でやったりするのがいいですね。

そうですよね。すごく楽しみです、そこは。

――そういうギャップというか、子供たちや家族連れにパンクやヒップホップを聴いてもらうとか、攻めた感じもTHE CAMP BOOKの特長だと思いますね。そこって意識していることですか。

意識はしますね。全然知らなかったけど、THE CAMP BOOKで知って聴くようになったとか、めちゃくちゃ良かったとか、子供がハマったとか、気志團を呼んだ時は、どハマりして楽しんだお子さんがめちゃくちゃ多かったりして。そこは別に狙ってなかったけど、そういう声を聞くとうれしいしいですね。

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――それと、さっきもお話に出た深夜のDJイベント「TCB DISCO」。これについても、推しポイントをぜひ。

今の会場になって初めて室内でやってみようというチャレンジと、今まで4組のDJに出ていただいていたんですけど、今年は鎮座DOPENESSとゆるふわギャングのライブがあってからの、SEESEAと石野卓球さんという流れになります。ヒップホップのフェスも今すごい盛り上がっているので、そこからのアーティストも呼びつつ、今の若い子たちも、テクノ好きのお父さんお母さんも遊べるようなラインナップに、今回初めてしてみたという感じですね。

――卓球さんも、すっかり常連になりました。

2018年から、ずっと出てくれているんですよね。卓球さんは、いつもは1時間セットなんですけど、今年は90分のロングセットなので、好きな人にはすごくうれしいタイムテーブルかなと思います。

――という、朝から夜まで、見どころ満載の、今年の『THE CAMP BOOK 2024』。あらためて、お客さんにはどんな楽しみ方をしてほしいですか。

もちろんアーティストのライブを見るのもいいですし、キャンプ好きはキャンプ好きで楽しんでもらえると思いますし、子供が遊べるエリアも非常に多いので、家族旅行みたいな感覚で来てもらえたら、それだけでも楽しいのかなとは思いますね。今年はステージのレイアウトを大きく転換したのと、インフラに関しても、今年は駅(JR小淵沢駅)からのシャトルバスが出たり、荷物を事前に送れるサービスを始めたり、新たな取り組みが増えたので、オペレーション全体をまずは定着させていきたい、そして動員を増やしていきたい、という目標がありますね。今後に向けて。

――進化していくフェス。

そうですね。『THE CAMP BOOK』という名前なんですけど、日帰りでも来れますし、外で宿泊してもらってもいいですし、テントもレンタルできるので。お客さんにとって、フェスにテントを持って行ってキャンプすることが一個のハードルになっているのであれば、そのハードルを取り除いてあげたいなということで、今は参加のハードルをどんどん下げているところです。手ぶらで来て手ぶらで帰れる、キャンプもできる、車がなくても電車とバスで来れるというのは、お客さんにとっても魅力だと思いますし、ぜひ安心して来ていただけたらいいなと思います。

取材・文=宮本英夫

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