民間アイススケート場 厳しい条件浮き彫り 中間報告まとまる
銀河アリーナ(淵野辺公園内)の閉鎖に伴い、民間アイススケート場の設置・運営の可能性を検討している相模原市は2月3日、中間報告を発表した。民間の調査委託事業者が取りまとめたもので、敷地規模の条件や法令上の制約の課題に加え、独立採算型の事業として実現性のハードルが高いことが示された。
中間報告は同市が調査を委託した事業者「PwCアドバイザリー合同会社」が取りまとめた。
同アリーナは夏はプール、冬はスケートが楽しめる運動施設として1991年に開設した。ただ30年以上が経過し、運営費用に加え、老朽化によって施設の維持のために多額の改修費用を要することが課題にある。運営を巡っては2021年4月に策定した「行財政構造改革プラン」で、廃止を含めた施設の在り方を検討すると発表した。市民や団体から存続を求める声が上がる中、市は23年3月、当初は24年3月末で終了するとしていた計画を27年3月末まで継続すると発表した。
事例やヒアリング
今回の中間報告を取りまとめるにあたり、他の民間アイススケート場の事例の調査や民間事業者へのヒアリングのほか、銀河アリーナの利用者や競技団体へのアンケートも実施した。
他の民間アイススケート場の立地をみると、鉄道駅からアクセスしやすい「交通結節点型」と大型商業施設やレジャー施設に隣接する「商業レジャー型」のパターンに分類できるという。また収入面のビジネスモデルでは、利用料収入を中心とする「練習中心型」と大会やアイスショーなどの興行を核とする「興行併用型」に分類できるという。
民間事業者5者に実施したヒアリング調査では、2者が地代減免などの条件が揃えば参画の可能性があるとする意向を示したものの、1者が「条件次第で参画の可能性が考えられる」とし、2者は「自ら事業を行う可能性は低い」「参画するハードルは高い」と答えた。
幅広い視点が必要
中間報告のまとめでは「民間アイススケート場に適した敷地の条件」と「独立採算型の事業スキームの視点」から課題を整理している。
敷地面では▽交通利便性や商業・レジャー施設との近接性などの立地条件や駐車場の確保など敷地規模の条件に合致する必要がある▽条件に適した敷地は限られ、今後、法令上の制約に関する課題分析や関係者との合意形成が必要である--の2点を指摘。
事業スキームの実現性では▽他の事業との相乗効果を期待して実現した場合など、それぞれの背景があって成立している▽アイススケート場単体で、独立採算型の事業スキームを成立させるにはハードルが高い▽事業が成立するための条件を幅広い視点から検討していく必要がある--としている。
3月下旬に最終報告
調査は今後、新たな事業者と参画の意向がある事業者を対象とした2回目のヒアリングを実施する。3月下旬に最終報告を取りまとめる計画。
相模原市は最終報告を踏まえ、対応方針を検討するとしている。
相模原市スポーツ施設課の担当者は「現状としては調査の結果を事実として受け止めている。市の対応としては3月の最終報告を踏まえて示していきたい」と話す。