片瀬こま大会あす開催 職人に聞く魅力
片瀬地区で生産されている「片瀬こま」の大会があす3月22日(土)に、片瀬漁港内芝生広場で開催される。
片瀬こまは、椿の幹でできた本体と樫の心棒からなり、麻の縄を巻いて回す。他の木ごまよりも重量があり、「ガツン」と迫力のある対決が行われることから「喧嘩ごま」とも呼ばれる。伊豆大島から採れた椿、樫は船のオール、麻は漁師の網と、漁村ならではの素材で作られる片瀬こま。「海の方から採れるもので作るこまは世界的にも珍しいのでは」と大会を主催する片瀬こま保存会の杉下由輝会長は話す。
大会ははたき禁止の長回しによるトーナメント戦。保存会が用意したこまや「マイ片瀬こま」で競い合う。未就学児と80代が火花を散らすこともあり、「地域や世代の異なる人をつなぐことが片瀬こまの最大の魅力」という。
杉下会長は、現在唯一の片瀬こま職人だ。故・熊野安正さんに弟子入りし、こまの生産に携わってきた。今でも伊豆大島に通い、まっすぐな幹の椿を探してこまの材料とする。こまの生産は、削ることだけでなく材料の確保も含めた時間と労力が必要だ。山から担ぎ降ろし、2か月ほど置き、輪切りにして自然乾燥させ、持って帰る。1個作るのに半年から1年かかる。現在は新規注文の受付を停止している。「大会を通じ、作る方にも関心を持ってもらえればうれしい」と話す。
勝利のコツは、「紐を濡らし、こまを強く巻き取ること。放った際に勢いが出る」。雨天時は片瀬しおさいセンター体育室。優勝者には特製の金の片瀬こまが贈られる。当日受付9時半から。定員200人で年齢制限なし。参加費300円。