新型コロナ「レプリコンワクチン」とは!? 正しく理解して感染を予防しよう
リスクや安全性、副反応など...。知っておきたい従来との違い
65歳以上と60〜64歳までの、基礎疾患があり重症化リスクが高い人を対象とした新型コロナウイルスワクチンの定期接種が10月から始まりました。同時に新たに採用された「レプリコンワクチン」を巡ってさまざまなデマや噂が飛び交っています。美容院、医療機関など接種した人の来店や受診拒否などの騒動が起き、厚労大臣が安全性を訴えるなど混乱は続いています。
一連の流れについてSBSアナウンサー影島亜美が、薬剤師で医療ジャーナリストの吉澤エリーさんに話を聞きました。
影島:今までのワクチンとの違いは。
吉澤:従来のメッセンジャーRNAワクチンは体内にウイルスのたんぱく質を作ることで抗体を作り免疫を獲得していました。その後、時間とともにたんぱく質は消耗し抗体も減少します。それに対しレプリコンワクチンは、メッセンジャーRNAを体内で増やします。常時たんぱく質を作っていくので、今までより長く効果が期待できるのです。
騒がれている理由として、世界に先駆けて日本で初めて使われるので不安が間違った情報となって広がっていることが多いです。
ワクチンの効果はどれくらい期待できる?
影島:ワクチンの効果はどのくらいの期間続きますか。
吉澤:従来のワクチンは約3カ月と言われていますが、レプリコンワクチンは人によって差があり、それが半年なのか1年なのか期間がはっきりしていません。従来のワクチンより長く効果があることは分かっています。
影島:効き目が従来より長く期待できるのであれば歓迎されそうですが、なぜ懐疑的な意見が拡散されているのでしょうか。
吉澤:ワクチンが体内で増幅されるので、増えたたんぱく質が排出されてほかの人に移るのではないかという理由で入店を断られる事態があるようです。
影島:他人の意見に流されずに自分できちんと調べることが大切ですね。
吉澤:臨床試験の前にマウスを使った実験をしていますが、筋肉内で大体1週間くらい増殖、時間の経過とともに3週間ぐらいでほとんど消失することが分かっています。その結果からもどんどん増えて人に伝播することや、たんぱく質が排出されて感染することもほとんど起きません。
影島:医療機関での受診拒否もそういった懸念からでしょうか。
吉澤:今までのインフルエンザや新型コロナウイルスのワクチンでもたんぱく質の排出が多少なりともありますが、実際にそれで感染が広がることはありません。ですので、医療機関の認識不足だと思います。
気になる副反応は軽減される!?
影島:日本で初めて認可されましたが、開発から認可までの期間が短いから不安だという人もいますよね。
吉澤:過去にもインフルエンザ治療薬など緊急需要に合わせて研究開発を急ぎ、早く承認されたケースがあります。レプリコンワクチンもベトナムで8000人、日本で400人以上が治験接種をしているので問題ありません。
影島:副反応はありますか。
吉澤:接種した場所の痛みや頭痛はあると思います。以前より打つ量が少なくなるので、副反応は軽減されると言われています。
影島:いろいろな意見がありますが、正しい知識を身に着け、自分で納得してワクチン接種を検討してください。
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免責事項
※2024年10月22日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。今回お話をうかがったのは……吉澤エリーさん
薬剤師、医療ジャーナリスト。1969年12月25日福島県生まれ、1992年東北薬科大学(現・東北医科薬科大学)卒業。医療記事を中心に多数メディアに執筆。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」ニュース(Business Journal)