戦争のない世界へ 上越日豪協会「平和の集い」 捕虜らの鎮魂祈る
太平洋戦争下に直江津捕虜収容所で命を落とした兵士らの鎮魂を祈る「平和の集い」が2025年8月11日、新潟県上越市中央1のレインボーセンターで開かれた。終戦から80年を迎える中、世界の平和を願い祈りを捧げた。
《画像:約90人が参加した平和の集い》
同収容所では、オーストラリア兵300人が収容され、過酷な労働や寒さにより60人が亡くなったほか、戦犯として日本人職員8人が戦後に処刑された。同市川原町の収容所跡地には平和記念公園が整備され、公園の運営を担う上越日豪協会が、この悲劇を語り継ごうと平和の集いを毎年開いている。
《画像:黙祷する参加者》
集いには市民ら約90人が参加し、犠牲者への黙祷や献花のほか、同市の児童文学作家、杉みき子さんの詩「鎮魂」の朗読などが行われた。在日オーストラリア大使館から参加したアンドリュー・フィッシャ空軍中佐は、戦後に元捕虜と上越市民らが平和に向け交流を続けてきたことをたたえ、「上越の人たちの努力でこの場所(平和記念公園)は平和のシンボルになった。平和とは、私達が守り続けていくもの」と述べた。
《画像:平和への思いを語る中学生》
市内の小中学生3人も平和への思いを話し、県立直江津中等教育学校の男子生徒(15)は「戦争は今までの日常を一変させ、多くの人の命を巻き込み奪っていく。争いをしないために、生活の中で相手を思いやる気持ちを大切にしたい」と話した。
《画像:収容所職員が処刑前夜に歌ったとされる「佐渡おけさ」などが披露され、参加者全員で民踊を踊る場面も》
会場には、「世界中が笑顔であふれますように」などと地元小学生らがメッセージやイラストを描いた灯ろうが並び、一つ一つに収容所で犠牲となった捕虜らの名前も記された。上越日豪協会の関勝代表(83)は「戦争が終わり80年たつが、まだ世界で戦争が起きていて非常に残念」と語り、「(直江津捕虜収容所の)悲劇を乗り越え、戦争のない平和な世界になるよう努力したい」と話した。