関メディベースボール学院中等部が軟式野球部を新設、「部活廃止・地域移行」の受け皿に
教員の働き方改革や少子化のため全国的に増えている部活廃止
兵庫県西宮市の野球専門校・関メディベースボール学院中等部に軟式野球部が新設されることが1日、分かった。
硬式の関メディ中等部は2023年4月にヤングリーグからポニーリーグに転籍し、いきなり全国優勝するなど中学野球を席巻。全国の強豪高校に選手を送り込んでおり、今秋ドラフトではOBの今朝丸裕喜投手(報徳学園高)が阪神から2位指名され、初のプロ野球選手が誕生した。
そんな硬式の強豪チームがなぜ軟式野球部を作るのか。そこには昨今の深刻な教育事情がある。
教員の働き方改革のため、2022年にスポーツ庁が公立中学校の「運動部活動の地域移行」を提言して以来、全国の中学校では部活の廃止や、地域のスポーツクラブなどに任せる例が増えている。
取り組みのおかげで教員の負担が軽減するだけでなく、少子化のため試合に出場できないクラブが減り、逆にレベルの高い専門的な指導を受けられるなどメリットは多いが、現状は受け入れるスポーツクラブの対応が追いついていない。
校外の活動でケガした場合の保障、送迎やお茶当番といった親の負担の増加などトラブルにつながりかねない懸念材料もある。
関メディの井戸伸年総監督にも軟式野球部の新設を希望する保護者や学校関係者の声が届いており、受け皿として新設することを決めたという。
1学年20人、12月1日から選手の募集開始
12月1日から選手の募集を開始し、定員は1学年20人。2025年4月1日から始動する。
練習は土日祝日のみのため月会費は硬式より低く抑えるが、硬式野球部が使用しているトレーニング施設なども併用する予定。元プロの佐藤義則氏、伊藤敦規氏、坂口智隆氏、上田剛史氏らが指導するコーチ陣も、軟式野球部新設にあたってさらに増やす方向という。
井戸総監督は「硬式までは必要ないが、軟式野球をやりたいという子供は意外に多い。同じやるなら専門的な指導を受けさせて、体のケアもきちんとやった方が子供のためになります。関メディにはトレーナーもたくさんいるし、親のお茶当番はありません。野球界の発展や地域貢献という意味でも軟式の新設には大きな意義があります」と力説する。
関メディの軟式野球部が成功すれば、ロールモデルとして他の地域に波及する可能性もある。中学野球界に革命をもたらす関メディの新たな取り組みに注目だ。
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記事:SPAIA編集部