【東京レトロゲームさんぽ】ドラゴンクエスト~未知の世界への冒険は今からでも始められる
RPG(ロールプレイングゲーム)とはなにか? 定義は難しいが、物語があり、主人公が成長していくゲームだと言われている。明確ではなくとも、感覚的に理解されている言葉だろう。RPGというジャンルをメジャーにした『ドラゴンクエスト』(以下ドラクエ)のすごさは、徹底的に「親しみやすく、遊びやすくした」ところに集約される。マニアしか知らない、もっと言えばマニアしか理解できないと思われていたものを、『ドラクエ』は面白さの本質を柔軟に伝えてくれたのだ。それゆえ世界的な支持を獲得し、最新作のナンバリングは11を数えるほどだ。さらに、多くのリメイクや派生作品まで生み出している。ゲーム専用機だけでなくPC、スマホも含めて、実に多くのプラットホームで遊べるようになっているのだ。
駿河屋 秋葉原店ゲーム館(するがや あきはばらてんゲームかん)
ドラゴンクエストとは?
1作目の発売は1986年。RPGという当時未知のジャンルながらたちまち大ヒットとなり、8カ月後には「Ⅱ」が、その1年後には「Ⅲ」が発売となった。Ⅱ・Ⅲ・Ⅳは冬の深い時期発売だったため、受験生殺しなどとささやかれた。現在ナンバリングタイトルだけで11作を数えている。さらに2024年11月に「Ⅲ」の最新リメイク版が発売され、また『ドラクエ』が話題になっているのである。
ドラゴンクエストが買えるのはここ!
駿河屋 秋葉原店ゲーム館(するがや あきはばらてんゲームかん)
住所:東京都千代田区外神田3-9-8 東洋ビル1F/営業時間:11:00~21:00(土・日・祝は10:00~)/定休日:無/アクセス:JR・地下鉄・つくばエクスプレス秋葉原駅から徒歩4分
それぞれのドラクエ、それぞれの物語
さて、ファンに「どのドラクエが好き?」と聞いたなら、大体は個々人が初めて触れた作品を挙げるのでは。
1作目は本格RPG というジャンルそのものに驚き、「Ⅱ」では1作目に対する「面白かったけど、もっとやりたかったなあ……」という、いい意味での不満に応える広がりを見せた。シリーズ最難と今でも言われるハードさに誰もが悶絶したことだろう。そして「Ⅲ」で最終盤、ある場所にたどり着いてある音楽を聞いた時、これは前2作を総括する物語なのだと悟り、震えたファンは多いはずだ。
以降、「Ⅳ」~「Ⅵ」では“天空シリーズ”と呼ばれる新たな三部作が生まれた。その後も新世代機、携帯機、オンラインRPG とさまざまな展開を見せ、「Ⅺ」ではシリーズの総括となる“時”の行き来によって紡ぎ出される物語に驚かされた。
リメイク版も手軽に遊べる時代ではあるものの、当時版でなければ存在しない仕様や味、そして感動がある。今では互換機と呼ばれる、さまざまなハードのゲームをプレイできるゲーム機があるし、世界的メジャータイトルだけに、攻略本・設定本・アンソロジーなどの本やグッズも百花繚乱。専門店はもちろん、通常のユーズドショップにも置いてあることが多い。それぞれのドラクエの記憶を探しに、冒険に出かけてはいかがだろう。
1980~90年代を席巻(せっけん)したRPGの系譜
RPGというジャンルは昔からあった。しかし『ドラゴンクエスト』の成功によって認知度が爆発したため『ドラクエ』がRPGの祖という文脈で語られることが多い。ドラクエのフォロワーは数多く、その筆頭は『ファイナルファンタジー』シリーズだろう。ドラクエより少しモダンな世界観を提供したことでRPGファン層を更に広げた。
『桃太郎伝説』はのちに『桃太郎電鉄』につながる人気作で、『ミネルバトン・サーガ』は世界観・システムの独自性が評価され、今でも傑作として名前が挙がる作品の一つだ。
現在、過去の名作もPS(プレイステーション)やスイッチ、スマホなどの現行機に移植・リメイクされている。リメイク作品は画面が綺麗(きれい)になっているだけでなく、隠しダンジョンなどの追加要素で楽しませてくれることも(まれに改悪されているのもあるが……)。
取材・文=来栖美憂 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2024年12月号より
来栖美憂
フリーライター
雑誌・新聞・ネットなどメディアを問わず、記事の取材・執筆を中心に活躍。著書多数。ゲーム関係では雑誌『月刊アルカディア』『闘劇魂』『GAME JAPAN』など各誌で執筆。近著に『サムライスピリッツネオジオコレクション対戦攻略ガイド』(スタンダーズ)。