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滑る理由を、またひとつ思い出した──32回目の冬の入り口で。「SNOW LIFE IS BEAUTIFUL Vol.1」

Backside

BACKSIDE 編集部

本連載「SNOW LIFE IS BEAUTIFUL」は、編集者でありスノーボーダーでもある僕(編集長)が、24-25シーズンを通じて感じたことを綴る全4回のコラム。滑り続ける意味、伝えるという仕事、仲間とのつながり──そして、人生そのものとしてのスノーボーディングについて。

 
2024年11月20日。読者コミュニティ「BACKSIDE CREW」の有料会員であるFRESHFISHのメンバーたちとともに、長野・軽井沢プリンスホテルで今シーズンの初滑りを迎えた。言わずと知れたスノーボード界の父、ジェイク・バートンの命日にあたるこの日に雪上に立てたことにも、何かしらの意味や縁を感じていた。

東京でも気温がひと桁だったその朝、空気はピリッと張りつめており、コース幅は狭く人工雪が敷き詰められたバーンとはいえ、コンディションは上々。これまで訪れる機会がなかった軽プリでの初滑りで、32回目のシーズンが静かに始まった。

初体験となったBURTON(バートン)のSTEP ON ESTにも驚かされた。2012年に左ヒザを粉砕骨折して以降、万全の状態ではなかった僕にとって、その軽さと衝撃吸収性は想像以上に“やさしい”フィーリング。足裏感覚のダイレクトさはESTならではの魅力であり、それが滑る楽しさを後押ししてくれるようだった。

そして何より、FRESHFISHとの関係性の変化に心が温まった。かつては“お客さん扱い”してしまっていた自分がいたのだが、いまでは彼らは同志であり、スノーボードをともに楽しむ仲間になっている。その事実だけでも、この日の初滑りには十分すぎる価値があった。

その週末、「COWDAY STREET」の取材で大阪へ。クルマ移動で渋滞に巻き込まれながら片道9時間、家族を巻き込んでのハードトリップだったが、相澤亮が決めたトランスファー・バックサイド270オン270オフを目の前で見たとき、「現場にいてよかった」と心から思えた。

12月になると、本格的にFIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)がスタート。北京で開催されたW杯ビッグエア第2戦では、コンテスト史上初となる6回転スピン=2160が繰り出され、新時代の扉が開かれた。ハーフパイプでは、北京五輪金メダリストの平野歩夢と15歳の新星・清水さらがともに優勝し、日本人5名が表彰台を占めるという快挙も。これらの様子をリモート解説で伝える立場として、来年に控えるミラノ・コルティナ五輪への期待が大きく膨らんだ。

いちスノーボーダーとしては、新潟・奥只見丸山で今シーズン初パウダーに恵まれた。年末には同じく新潟の妙高エリアでパウダー三昧。人工雪から始まり、日本人ライダーたちの強さを再確認し、本州が降雪に恵まれたシーズンの入り口として、このとき「冬が始まった」と強く実感した。


この冬が、自分にとってどんな意味を持つのか──少しずつ、だが確実に、その輪郭が見えはじめていた。

つづく

text:Daisuke Nogami(Chief Editor)
riding photo:ZIZO=KAZU

 
【次回予告】「滑って」「書いて」「伝えて」──雪の上にいる時間が、僕にとってのリアル。「SNOW LIFE IS BEAUTIFUL Vol.2」

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