佐野川茶 県品評会に4点入賞 後継者不足も「追い風を味方に」
茶生産意欲の高揚と活力ある茶業経営を目指し開かれている「第57回神奈川県茶業振興大会」が1月28日、清川村生涯学習センターで行われ、今年度の県茶品評会および茶園共進会の上位入賞者が表彰された。
相模原市内からは荒茶の形状や色沢を評価する品評会で藤野茶業部と宮本透さん(67・日連)が二等に、茶園の管理などを審査する共進会でも宮本さんが二等に選ばれるなど、好成績を収めた。茶業部部長も務める宮本さんは「今年度の佐野川茶は一番良い出来だった。入賞してうれしい」と笑顔を見せた。
佐野川地区の急斜面に広がる茶園で栽培される「佐野川茶」。この辺では古くから畦畔や至る所で茶木が自生していた。まだ藤野が町だった1966年、国の山村振興事業を誘致。翌年に事業が開始され、同地区の茶樹栽培が本格始動する。
当時を知る藤野茶業部の大河原頼忠さん(83・佐野川)は「茶農家が約150軒ぐらいあって、面積も多い時は36ヘクタールくらいあったかな」と語る。しかし、急傾斜地での厳しい作業や生産者の高齢化、後継者不足に加え、2011年の東日本大震災、14年の積雪被害、15年の佐野川荒茶工場閉鎖などにより茶農家が激減。現在は3軒だけとなった。
相模原ブランドとして
そんな中、メンバーは「茶畑の景観を守り後世に残そう」と一念発起。県内で生産された荒茶は通常、県農協茶業センターに一元集荷され「足柄茶」として販売されるが、収穫した一部を独自に製品加工するブランド化に取り組んだ。18年10月、「佐野川茶」が誕生。「香りが良くて甘味が高いのが特長」と、宮本さんは太鼓判を押す。
製品化から6年が経ち、少しずつ認知されてきた「佐野川茶」。今年度は市老人クラブ連合会のお祝い品として88歳以上の会員に進呈されることも決まっている。宮本さんは「後継者不足など問題はたくさんある。伝統を守り若い人に伝えることが私の使命。この追い風を味方に、佐野川茶と里山を守るため諦めず進んでいく」と話した。
品評会、共進会の市内入賞者は次のとおり(敬称略)。【品評会】▽二等・県農業会議会長賞/藤野茶業部▽二等・神奈川つくい農業協同組合代表理事組合長賞/宮本透▽三等/大河原頼忠、佐野川茶【共進会】▽二等・全国農業協同組合連合会神奈川県本部運営委員会会長賞/宮本透▽三等/落合孝二