日本が支援したベトナム初の地下鉄、ホーチミン市に開業 車両や信号システムは日立製
人口約890万人のベトナム最大都市・ホーチミン市に2024年12月22日、日本の技術支援を受けた同国初めての地下鉄が開業した。
ホーチミン・メトロ1号線は、市内中心部のベンタイン駅から北東部のスオイティエン駅まで、地上区間を含め19.7キロの1路線。駅数14駅。道路渋滞が激しさを増すホーチミン、同区間の移動にクルマでは1時間程度かかるが、地下鉄は半分の29分に短縮できる。
建設にはJICA(国際協力機構)の円借款を活用、建設工事には多くの日本企業が携わった。JICAによると、総事業費約2120億円。日本は政府開発援助(ODA)として建設費を供与した。
当初は2015年の開業を予定。しかし、土地収用問題、計画段階の土地価格の急騰などの発生を受けて、実際はほぼ10年遅れた。
車両は日立製作所製で架線式。日本で製作後、ベトナムに運ばれた。日立は車両17編成(51両)のほか、最新の無線列車制御方式(CBTC)による信号システム、列車無線などの通信システム、受変電設備、ホームドア、券売機・改札機、架線・軌道工事、車両基地設備などを納入した。
ベトナムでは、経済成長に伴う道路交通量急増が深刻な都市問題を引き起こす。ホーチミン・メトロは今後、都市鉄道や路面電⾞、モノレールの整備を予定しており、日立やJICAは引き続き日本の鉄道システムの技術輸出に力を入れる。
記事:上里夏生