森戸大明神 龍神宮遥拝所を新造営 神木のビャクシン鳥居に
葉山町堀内の森戸大明神は、神社裏手の磯辺から沖合い700メートルに浮かぶ名島の祠に祭られる龍神を拝むための遥拝所(ようはいじょ)を新たに造営した。2基の鳥居の奥に、海の中に立つ赤い鳥居や富士山を望むことができる。
遥拝所の完成は昨年末。同神社禰宜の守屋隆広さんによれば、昨年は辰年ということもあり「(名島の)龍神様にお参りできないか」という声が多くあったという。龍神信仰の始まりは定かではないが古くからあり、海の神で『潮の満ち引き』を司ることから『導きの神様』という考え方がある。名島にはかつて桟橋があり10年ほど前までは渡し舟も出ていたが、今はそれもなくなり、竜神宮に行けないため、参拝できる場所を造営することにした。
守屋さんは「遥拝所というのは遥かにあるものを拝む場所のこと。お社ではないですが、ここを通して龍神様を拝んでくださいという、その場所を示す意味で鳥居を造営した。両脇には狛犬ではなく、一対の龍の像を置きました」と話した。
鳥居に使われた木は、10年以上前に台風で倒れた同神社の神木だったビャクシン。倒れたとはいえ、神木のためぞんざいな扱いはできず保管していたもの。守屋さんは「折れても奇跡的にどの建物にもかからないという、神様のご支援をいただいた木を使わせていただくというのはありがたいこと」と語った。
その鳥居の前には石の鳥居も新設された。これは近隣の医療機関から奉納されたものだ。
同神社では参拝しやすくするために1989年に社の移設を行ったが、新しく造営した建造物は「しばらくは記憶にない」ほど久しぶりのことだという。
同神社は鎌倉幕府を開いた源頼朝により1180年に創建された。