「いよいよおやすみだね」の意味…“夏休み”に特別な体験を!意気込む私にこうちゃんが教えてくれた本当にスペシャルな日【室谷香菜子のいっくじ日記#8】
HBCアナウンサーの室谷香菜子(むろや・かなこ)が、息子「こうちゃん」の“一言”と、一緒にしたためる一句で、小学校入学までの1年間を”一句”(育)児日記につづります!
「夏休み」とは…
暑さが和らいだな、と思っていたのもつかの間、あっという間に秋が深まりましたね。
今年は特に1年が早く感じる!!
というのも今年の夏、私はとっても意気込んでいました。そして少し息切れしてしまいました。
「6歳の夏は一度きり!少しでも記憶に残る遊びや体験をさせてあげないと!」
そんな風に力がこもったのには、もう1つ理由があります。
来年から始まる「夏休み」。
今まで保育園通いのため、初めての、本物(?)の夏休みがやってきます(しかも今は猛暑の影響で北海道の夏休みも長くなっていますよね)。
実はこの「夏休み」に、少し私はプレッシャーを感じています。
子どもの夏休みも、変わらず仕事はあるけれど、色々な思い出を作ってあげたい。
新学期、周りのお友だちが次々に素敵な思い出を話す中、息子だけ話すエピソードがあまりなかったらかわいそう…
だから、今のうちから休みは充実させたい!特に夏は!
夏だからこその思い出をたくさん作ってあげるんだ!
そんな思いでスケジュールを詰め込んだ8月でした。
「世の中の夏休み」を体感…!
8月下旬には、「会社の夏休み」をいただき、家族旅行に出かけました。
青森に暮らす両親や、姉ファミリーも一緒に。
「会社の夏休み」はいつもちょっと混みあう時期を外してとっていたので、世の中が「まさに夏休み」という時期に遠出することは、実は今までありませんでした。
だから、この時期の旅行がこんなに高いなんて…旅行代金を見てびっくり!!!
「世の中の夏休み」って…すごい…!
でも、私の記憶の中にも、子どものころの「夏休み」に家族で出かけた旅行の思い出がしっかりと刻まれています。
だからこうちゃんにも、旅先では普段できないことをたくさん経験してほしい。
そんな思いから、スケジュールはパンパンに!
シュノーケリング(私も人生初!)、プール遊び、白い砂浜での貝殻取りやヤドカリ観察、
絵付け体験やお友だちへのお土産選び(自分のお小遣いの範囲内でお金の勉強も)…
こうちゃんが楽しそうに過ごす顔を想像しながらそれはもう、思いつく限りに詰め込んだのです。
さあ楽しい「夏休み」の始まり…。とはスムーズにはいかないのが子どもとの旅のあるあるです…!
旅行間近で体調崩れてハラハラって…あるあるですよね!?
そもそも…という話になりますが。
子どもとの旅は、親子で体調を万全にして出発することが理想ですが、それがいつもなかなか難しい。
出来れば、旅の一週間前から家にこもって家族以外とは誰にも会わず感染のリスクを下げて生活したいくらい。ですが、そんなの無理。
今回も、旅の少し前からこうちゃんが鼻水を垂らし始め、それが私にもうつり、万全の状態では出発できませんでした(※PCR検査は済ませてから出発しています)。
目的地へ向かう飛行機は満席とのアナウンス。
搭乗口に着いてびっくり。
ここは、テーマパーク?
子ども、子ども、子ども、子ども…
これまで何度も飛行機に乗っていますが、こんなに子どもの多いフライトは初めてでした。
はしゃぐ声、泣きわめく声、叱るお母さんの声、そしてもう疲れた顔をしているお父さんたち。
そんな特別な雰囲気に、こうちゃんも“おだって”走り回ります。
目的地へ着くとうだるような暑さ。
移動だけで疲れてしまうのは、年齢を重ねたからでしょうか…。
期待した反応とはいつも違って
一方の6歳児は超元気。少しも黙っていません。
風邪気味だったのも、どこかへ飛んで行ってしまったようです。
旅のスケジュールに追われているのは大人だけ。
子どもたちはどこでも出来るポケモンカードを片手に車内でも盛り上がります。
「ほら!!きれいな海が見えてきたよ~~~!」と言っても、「へえ」と興味がなさそう。
海に沈む夕日を見てうっとり…なんて出来ず、「ヤドカリがいる!!ママ~!!ヤドカリがいるよ!!!」と大騒ぎ。
何十品目も並ぶ豪華なディナービュッフェに行っても、喜んで食べてくれるのはいつもと同じもの。フライドポテトに唐揚げです。
「もうお部屋に帰りたいよ~」と、そんな声はレストランのあちこちから聞こえてきます。
旅のメインでも…
旅のメイン、シュノーケリング体験でのこうちゃんは、始まる前からずっと無口。
「魚が好きだから、間近でカラフルな魚に会えたら嬉しすぎてどうなっちゃうんだろう…!」と期待してわくわく予約した私。
だけど、後から写真を見るとどれもひきつった笑顔…
ちょっと怖かったんだね、楽しさより怖さが勝ってしまったか。
「こうちゃん、アイスが食べたかった」
海から上がってアイスクリームを食べながらも、ちょっと疲れた表情。
なんでもいい。
旅行に来て毎日楽しい!と思ってくれたらそれでいい。
そんな風に思っていた旅の2日目夜。
私のスマートフォンが予期せぬハプニングにより水没しました。
「いい顔してる!この瞬間を残しておきたい!」そんな時にもスマホはなく、写真も撮れないし、メールのチェックもできない…
旅にハプニングはつきもの。
ハプニングも全てひっくるめて時間がたった今は全ていい思い出ですが、旅の最後、新千歳空港から札幌駅に着いてすぐ向かったのはヨドバシカメラ。
「ママ、諦めちゃダメ。諦めたらダメなんだよ」
6歳児にそう励まされるくらい私は疲れ切った顔をしていたのでしょう。
最後までこうちゃんも振り回してしまったな。
楽しかったけどクタクタになったのは言うまでもありません。
旅のあと、こうちゃんの「おやすみ」は
旅の余韻に浸る間もなく、日常はすぐに戻ってくる。
数日ぶりに保育園に登園すると、見たことのない水槽が園内にありました。
「あれ!!!水槽あるよ!!!」
魚が好きなこうちゃんは大興奮!
聞くと、園長先生がグッピーをもらってきたそうで、その水槽が旅行中に設置されていたのです。
「かわいい!グッピーかわいい!家でも飼いたいよ~!」
数日ぶりの保育園。
「保育園行きたくない!こうちゃんず~~~っと休みがいい!」と言っていたのに、着くと先生やクラスのお友達1人1人とハグをしてにっこにこ。
ほっとする瞬間です。
その日の帰り道、手をつないで歩きながら「こうちゃん、旅行楽しかったね。何が一番楽しかった~?」と聞くと…
「グッピー!」
「グッピーじゃなくて、旅行の話!いろいろやったよね、何が楽しかったの?」
「グッピー!!!!!!」
4日間の濃厚な旅の記憶が、グッピー一色になってしまったのか…
そして次の日の朝、こうちゃんは「お手紙どうぞ」とメモ紙を渡してくれました。
最近、ひらがなを少しずつ読むだけではなく書けるようになってきました。
それを開くと…
『ままへ いよいよおやすみだね』
「こうちゃん、今週ずっとお休みだったよね?」
「違うよ、日曜日のお休み!!!」
“おやすみ”は、夏休みのことではなく、いつも通りの週末の休みのことだったんです。
改めてその手紙を読んで私はハッとして、なんだか、力が抜けました。
そうだよね。
特別な場所へ行き、特別なことをすることが最高なわけじゃない。
日常の中のちょっとしか変化だって十分スペシャルだし、子供もハードスケジュールには疲弊する。
夏休み。
どこかへ出かけるのもいいけど、家の中で好きなことをしてゆっくり過ごす日があったっていいのだ。
それが痛いほど分かった今回の旅。
これもまた、母6年目に得た貴重な経験と学びです。
ここで一句!
「拍子抜け 遠くへ行くより いつもがいい」
「連載|室谷香菜子の「いっくじ」日記」
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文|HBCアナウンサー 室谷香菜子
青森県出身。2009年HBC入社。HBCラジオ「アフタービート」、「美香と香菜子のおさんぽ土曜日」などを担当。2018年第1子(男の子)を出産。趣味は寝かしつけ後のドラマ鑑賞と、美味しいお酒。息子(こうちゃん)との日常はInstagramでも発信中。
編集:Sitakke編集部あい