介護職の転職理由とは?面接で聞かれた際の答え方も解説!
執筆者
ささえるラボ編集部
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転職時の面接で必ずと言っていいほど聞かれるのが、「転職理由」です。面接で転職理由を伝える際は、本当のことであったとしても伝え方によっては担当者にマイナスなイメージを与えてしまうことがあります。自分自身の転職理由を客観的に分析し、できる限りポジティブな表現で伝えることが大切です。
また、転職理由の背景には前職の退職理由を伴う場合がほとんどです。
この記事では、すでに介護業界で働いていて他の事業所に転職をしたい人と、他業種から介護業界に転職したい人の2つに分けて気をつけたいポイントを解説します。
面接官が転職理由を聞くのは長く働いてくれるかどうか見極めるため
そもそもなぜ、面接官は転職理由を聞くのでしょうか。
転職理由を尋ねる意図は、主に4つです。
1.長く働いてくれそうか見るため
2.入職後のミスマッチを減らすため
3.仕事に対する姿勢を見るため
4.職場の雰囲気とマッチするか確認するため
もちろん、転職はする側にとっても「失敗はしたくない」と思いますが、採用する側もミスマッチをできる限り避け、長く一緒に働きたい仲間を探す機会でもあるのです。
1.介護業界内での転職を検討している人
ポジティブに表現できない転職理由は要注意
現在の職場に不満があり転職を考える人は少なくないでしょう。しかし、不満をそのまま伝えてしまうと、「転職後も同じ不満を抱えるのではないか」「周囲とうまくやっていけるのだろうか」と担当者にマイナスなイメージを与えてしまう可能性もあります。
特に注意したほうがよい理由をおさえておきましょう。
■人間関係がうまくいかなかった
介護労働安定センターの調査によると、介護業界において前職を辞めた理由で最も多いのが「人間関係」です。※
もちろん、介護職は人と関わる機会も他職種に比べて多いため、避けることができない理由ではありますが、それをそのまま面接で伝えるのは相手にマイナスに捉えられる可能性があるため危険です。
周囲に原因のある人間関係の悩みであっても、面接官はその背景を知らないため、転職しても人間関係で悩んでしまうのではないかと不安視されてしまいます。
面接時に人間関係の悩みを伝えるのであれば、その職場を選んだ理由や志望動機と絡めて説明するとよいでしょう。
例えば、「現職は個人で動くことが多かったので、今回の転職ではチーム連携を大切にしている職場に転職をしたいと考えていました。施設見学ではその様子が見られたため、転職を決めました。」であったり、「経営層だけでなく、現場で働く人も意見を述べられる風通しのよい環境で働きたいと考えており、そのような社風に共感しました。」などです。
現職への不満ではなく、転職後に実現したいことや志望動機を軸に話すよう工夫してみましょう。
出典:介護労働安定センター令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について
■待遇や働き方への不満
入職する前は働き先が決まった安心感や、これから業務に携わることへのわくわく感であまり気にならなかったことも、長く働くにつれて不満に思うようになってくることがあります。
例えば、「給与があがらない」「残業が多い」「休みがとれない」などの待遇や働き方への不満の内容はさまざまに考えられます。
その場合採用担当は「就職前の調べが甘かったのではないか」であったり、「どの環境でも不満を感じるのではないか」など、マイナスな印象に捉えられる可能性があります。
給与が低いことに不満を持っているのであれば「キャリアパスや評価制度が整っており公平に評価してくれる職場で働きたい」や「夜勤にしっかり入れる職場で働きたい」などの伝え方が考えられます。
また残業時間が多い・休日が少ないなどに対して不満を持っているならば、「残業が○時間ほどあり(休日がなかなかとれず)スキルアップのために目標としている△△の資格を取得する勉強時間を確保できなかった」など前向きな表現に置きかえて伝えるようにしましょう。
その他の転職理由も前向きな気持ちを伝えよう!
上記の転職理由以外にも、転職をするきっかけや理由はあると思います。どの場合においても、面接官に対しポジティブな印象を与えられる発言をするよう心がけましょう。
ただし、ポジティブに伝えようとするあまり、自身の転職の軸から、ぶれることがないよう注意してください。
ここからは、各状況にあわせた転職理由の例文を紹介します。
1.前職では学ぶことができない知識や経験を身につけたい
学習意欲を示す転職理由は、基本的には向上心があると思ってもらえるため、好印象を与えやすいでしょう。しかし、学びたい内容が曖昧であったり、前職でも学ぶことができる内容の場合は、面接官にマイナスに伝わる可能性もあるでしょう。
基本的には、「前の職場ではこういう理由(環境面など)で学んだり経験したりすることが不可能で、志望する施設ではこういう環境があるから実現することができる」というように、前の職場では不可能だった理由と、志望先ではなぜ実現できるのかを明確に話すようにしましょう。
―医療やリハビリ職との連携をより深く学びたい
他職種とのチーム連携を学べる職場で働きたいと思い転職を決意しました。
前職ではデイサービスに勤めていましたが、専門の機能訓練指導員がおらず、介護スタッフが独自に考案した体操程度しか機能訓練を行えていませんでした。また、看護師も看護業務で忙しく、他の業務には手が回らない状況でした。当然、独自の方法で行う機能訓練の体操は効果が見えず、利用者様の身体機能も上がりませんでした。
もっと、他職種とも連携し利用者様に質の高い介護を提供したいと悩んでいたときに、御施設のことを知りました。御施設では、専門の機能訓練指導員はもちろんのこと、医師や看護師、さらには地域住民まで巻き込んで、リハビリの業務はもちろんのこと、在宅復帰に向けた支援をしています。御施設であればチーム連携について学ぶことができ、利用者様にとって質の高い介護を提供することができると考えております。
◆ポイント◆
・特定の技術や知識を学ぶにあたって、その環境が今までの職場にはなかったことを説明する
・志望施設ではそれらを実現できる環境であると伝える
→★しっかり調べておく必要がある!施設見学やホームページで事前リサーチを忘れずに!
ー臥床でのケアや看取りケアが対象の利用者に対する対応方法や知識を深めたい
要介護度が高い利用者様の対応について知識や経験を深めたいからです。
前の職場では要介護度1~2の利用者さんが多く、要介護度が高い利用者さんは少なかったため、ベッドでのケアの多い利用者さんへの対応や看取りケアが必要になると対応方法の難しさに頭を抱えていました。また、この悩みを解決しようと周囲の先輩に聞いても、経験数が少ないため、明確な知識を学ぶことはできませんでした。
しかし、介護業界で働き続けるにあたって、ベッドでのケアの多い利用者さんや看取りケアへの対応などは今後しっかりと対応できるようになっていたいと考えています。そこで転職を決意し、調べていた際に、御施設の看取りケアに関する記事が目に入り、「看取りケアはただ看取るのではなく、ご家族の気持ちを受け止める時間でもある」という○○施設長の言葉に感銘を受けました。そして、私も御施設で臥床でのケアや看取りケアが必要な利用者さんの対応や知識について学び、利用者さんはもちろんのこと、そのご家族にも適切なサポートができる介護職になりたいと考えています。
◆ポイント◆
・現在の施設でも経験できるが、なぜ転職をして学びたいのか述べる
・それらを学ぶことでどのようなメリットがあると考えているか伝える
2.引っ越しや出産など環境の変化
引っ越しや出産など、環境や状況によってどうしても転職せざるを得ない場合もあります。これらを転職理由として伝える場合マイナスな印象はほとんどないでしょう。
介護経験や、介護職での労働経験がある場合はそのエピソードもあわせて伝えると、より納得してもらえる内容になります。
ー引っ越しに伴う転職
家庭の事情で、東京に引っ越してきたため転職することになりました。以前住んでいた地域ではホームヘルパーとして勤めていましたが、今回はまだ、新しい土地に慣れていないこともあり、介護施設での勤務を希望しています。御施設は「地域に根づいた介護施設」を目指しているとホームページで拝見しました。新しい土地で慣れない私にとって、地域と連携し働ける環境が魅力的であると思っています。
◆ポイント◆
・引っ越しの転職は細かく理由を聞かれることは少ない
・一方で、新しい土地でなぜこの施設を選んだか問われる可能性はあるので志望理由とあわせて準備しておく
ー出産に伴う転職
出産以前は、特別養護老人ホームで働いていました。介護の仕事には非常にやりがいを感じていましたが、要介護度が高い利用者さんの対応と育児の両立が困難であると感じ、退職を決めました。
しかし、介護に対しては諦めたくないという気持ちがあるため、時間を区切って勤めることができるデイサービスの事業所に転職を決意しました。
◆ポイント◆
・出産や育児を理由とした転職は「どうして以前の職場で育休や産休をとらなかったのか」「時短勤務制度はなかったのか」などを問われる可能性がある
・前職で育児との両立が困難だった理由と、介護に対する思いを伝える
3.環境の変化でできる仕事の幅が広がった
子育てや親の介護、施設の立地などでやむを得ず、仕事内容や業務量を調整していた場合もあると思います。
環境の変化によって仕事の幅が広がり転職する場合の理由も確認しておきましょう。
ー子育て(家族の介護)が一段落した
今まで子どもが学生であったため、昼間のみの勤務で働けるデイサービスに勤めていました。昼間のみの勤務だと、夜間の状況を詳細に把握することができないため、利用者様の情報収集が難しく、ケアマネージャーと共に考えたケアプランが空振りに終わることも少なくありません。しかし子どもが就職したことにより、夜中も働けるようになりました。夜勤にも従事し、より効果的なケアの提供をしたいと考えていたところ、夜勤があるこちらの求人が目に留まり、応募いたしました。
◆ポイント◆
・単に子育てが終わったではなく、夜勤などこれから広がる業務内容に対して何を魅力に感じているか
はっきり伝える
・以前の施設では働く幅が広げられなかった理由も明らかにしておく
ー通える位置に経験してみたい施設ができた
以前からユニットケアのように、一度に対応する利用者様が少人数の施設で働きたいと考えていましたが、通勤できる場所には該当する施設がありませんでした。しかし最近になって自宅から通える場所にこちらの施設ができたことを知り、ユニットケアを実施していることもホームページ上で確認しました。調べているうちに求人が出ていることも分かったため、転職を決意した次第です。
◆ポイント◆
・通勤時間は長く働くうえで大切なポイントなので素直に伝えてよい
・ただし、近いだけが理由にはならないので「なぜその施設なのか」や「ここで何をしたいのか」をはっきり伝える必要がある
2.未経験・異業種から介護職へ転職の場合
スキルアップや手に職をつけるための転職
―時間的な制約はあるが学びながらスキルアップをしたい
子どもが小さい時期は働く機会を持てませんでしたが、就学し、子育ても一段落しましたので、家事で身についた対応力、段取りを考える力などを活かして、介護の仕事を始めたいと考えるようになりました。ただ、働ける時間として、子どもが学校へ行っている時間のみという制約があります。そのため、時間的に融通の利くパートから勤務をし、同時に介護の資格を取ることを目指しております。御施設では、パート職員の募集があることや、パート職員に対しても介護の資格を取るための支援体制があることをホームページで拝見しました。学びながら経験を積みたいと考えている私の求める環境とマッチすると考え、応募しました。
◆ポイント◆
・なぜ転職(入職)できるようになったのかを伝える
・未経験でも、今までの経験(家事など)で活かせるスキルがあれば伝える
・未経験の場合、将来的に介護の仕事に長く携わりたい旨や資格取得を目指したい旨を伝える
高齢者との関わりのなかで得たスキルを活かす
―接客業で培った対応力、コミュニケーション力を活かしたい
前職では、地域の人が通う施設体育館のスポーツインストラクターをしておりました。その中で、利用者様一人一人に応じた健康維持に関するアドバイスも行っておりました。高齢者の利用者も多くいたため、高齢者にとって日常的に体を動かすことの大切さや、少しの介助で体の動きを維持できる可能性が高くなることを実感していました。その気づきは、もっと高齢者の方に接する機会を増やし、心身ともに健康的な生活の援助につながる仕事をしたいという希望になり、今回、介護職への転職を志望いたしました。御施設の募集を拝見し、未経験者の応募が可能であること、また介護業界でキャリアアップなどに繋がる、資格取得のための支援体制があることなどをうかがい、働きながら成長し続けられるという点に魅力を感じ応募しました。
◆ポイント◆
・前職でどのようなスキルを身につけ、どのようなきっかけで介護職に転職したいと思ったのかをはっきり伝える
・介護職が専門的知識を要することを把握できていると伝えるため、資格取得などの目標も添える
最後に:辞めた理由とその施設を選んだ理由が矛盾しないように注意
転職理由を伝える際は、前の施設を辞めた理由、ブランクがある理由なども伝える必要があります。マイナスな表現になりがちですが、「今までできなかった○○がここでならできる!」という思いを伝えることを意識しましょう。
また、退職理由が志望している施設の条件と被ってしまっていると、「入職してもすぐに辞めてしまいそう」という印象を持たれがちなので、矛盾のないよう施設見学や、ホームページでのリサーチを丁寧に行いましょう。
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