PARAMENA“Wacken Open Air 2024”インタビュー feat. Saya、zima、皇
巨大メタル・フェス“Wacken Open Air”(以下WOA)によるワールドワイドな新人発掘バンド・コンテスト“Metal Battle”(以下MB)。今年、その日本代表に選出されたPARAMENAについては、以前に紹介済み(下記)だが──何と彼等、WOA現地にてオーディエンスから熱狂的に迎えられ、MB史上でもそうそうない騒乱級の盛り上がりを引き出し、堂々“メタルの聖地”に強固な爪痕を残してきた。
INTERVIEW
ドイツでMetal Battle決勝に臨む日本代表PARAMENAを紹介!
ただコンテストの結果としては、残念ながら5位以内入賞は果たせず…。今年の栄えある優勝はデンマーク代表がかっさらった。とはいえ、ウルトラ・ヘヴィでテクニカルかつエモーショナルなそのパフォーマンスは、多くの観客の記憶に強く強く残ったに違いあるまい。
“ジェント極道”を自称する、将来有望過ぎる驚異の30弦バンド──そのトリプル8弦ギターの担い手達:Saya、zima、皇に、初海外遠征となったWOA出演について、ここにガッツリ振り返ってもらった…! 尚、既報の通り皇は8月24日の帰国凱旋ライヴをもって脱退してしまったが、本インタビューはその直前に行なわれたものである…。
アンコールが鳴り止まなくて、驚くと同時に感激しました
YG:“W:O:A Metal Battle”日本代表として、世界最大のメタル・フェスで演奏してみていかがでしたか?
Saya:本当に最高の景色でした!
zima:楽し過ぎました! 今までのバンド人生の中でも最大のステージで、コンテストというプレッシャーがかかる中でも、実力以上の力を発揮することが出来たと思います。
皇:野外ステージもあの規模のライヴも、海外遠征も全部初めてだったけど、あんだけステージ広くてイの一番に思ったのは、「どう動き回ってやろうかな」でした。無論、最高のパフォーマンスをカマせたと思ってます!
Saya:お客さんをどれだけ沸かせられるか…を大切に、みんなで「楽しもう!」って決めていました。そしたら、予想よりもずっと大きな反応を頂いて、めちゃくちゃ嬉しかったです。想像以上の景色と最高のパフォーマンスで演奏出来ました。
Saya(g)
zima:ホント、夢のような経験をさせてもらい、本当に感謝しかありませんね!
zima(g)
YG:現地のオーディエンスの反応など、日本との違いは感じましたか?
皇:あ〜もう、違い過ぎて度肝を抜かれましたわ。
皇(g)
Saya:隣のステージで他の国のMB代表が演奏してる中で、沢山の人が集まってきてくれて、まずそれにビックリしました。音出しの時点で、デヴィル・ホーンをずっと掲げてくれる人もいたし。私達の演奏が始まってからは、とにかく最初から最後までお客さんのテンションが高く、ずっと盛り上がりっ放しで、日本よりもメタルに対する熱量やテンションが凄いな…と感じました。
zima:日本の観客以上に、「良いものは良い!」と分かってくれたら、最大限に「いいね!!」と表現してくれる人達が多かったような。コンテスト・バンドなのにもかかわらず、アンコールをもらえたのも嬉しかった! 大きな爪痕を残せた証だと思っています。
Saya:しかも、アンコールが鳴り止まなくて、驚くと同時に感激しました。演奏が終わったあとも沢山の人から話し掛けてもらって、「写真撮って!」とみんなから言われて、しばらく動けなかったのを憶えています。
皇:俺もとんでもない数の人達から「一緒に写真撮ろう!」って言われて、PARAMENAの作曲とギターやってて良かったぁ…って、ホントに思えた瞬間でした。予想外も予想外でしたね。
zima:全代表バンドの中で、グッズが一番最初に完売したというのも嬉しかったなぁ。
yu-to(vo L.)
フータ(b、L.)
皇
Shunya(dr)
YG:残念ながら優勝は逃してしまいましたが、バンドにとって、またそれぞれ個人にとって、今回の渡独はどんな経験になったと思いますか?
Saya:メンバーもスタッフもみんな「絶対に優勝だ!」と確信していたので、結果には正直びっくりしましたが、それぐらい手応えのあるライヴが出来たのは事実で、より自信が付きましたね。
zima:うん。海外のオーディエンスからあれだけ好評を頂けたことは、メンバー全員の揺るぎない自信につながったと思います。
皇:PARAMENAを脱退することが決まっていた自分にとっては、最初で最後の大舞台であり、それだけに優勝を逃したのはとても悔しかったです…。でも、それ以上に自分の価値観すべてを変える経験ばかりでしたね。
zima:今後の活動のエリアについて、海外を視野に入れてミーティングするようになったしね。
Saya:あと今回、ライヴ遠征に限らず初海外のメンバーが殆どで、現地ではキャンプに近い生活をしていた中で、100%以上のコンディションでみんな一丸となって演奏出来たことは、これからも国内外問わずすべてのライヴに活かすことが出来ると思ってます。結果はどうであれ、今回みんなで大舞台を乗り越えたことで、「このメンバーとなら、どこへ行っても最高のライヴが出来る!」と私は思いました。
YG:MBでの演目はどのようにして決めましたか? WOAの客層は意識しましたか?
zima:僕らはプログレッシヴで数学的なジェントというよりは、デスコア寄りのノリ易い曲が多いバンドなので、持ち曲の中でもより明確で、お酒を飲みながらでも頭を振れるような選曲を意識しましたね。
Saya:MBジャパン国内決勝の時点で、もうセトリだけで何時間も話し合ったんです。そもそも、確実に20分に収めなきゃいけないのですが、これギリギリでして…。当日テンション上がっちゃって、掻き回しで盛り上げるパートを加えたら長くなっちゃって、「時間…怖くない?」「1曲減らす?」「でも、全部やりたいなぁ」…みたいに(笑)、みんなで本当に長い間ずっと考えてました。そういった時間も最高に楽しかったです!
PARAMENA Metal Battle 2024 セットリスト
1. Anima
2. Oxcuras
3. Exodia
4. 0cide
5. Oblivision
本番直前に機材が見つからない…という大ピンチ!!
YG:ドイツにはギター以外にどんな機材を持ち込みましたか? アンプは現地で用意されたモノを使ったのでしょうか?
Saya:みんなギターとエフェクターは持ち込みました。アンプは現地で用意してもらったんですが、サウンド・チェックで急に壊れて「音出ない!」ってなって…(苦笑)。「ああ…これがWOAか」と思いましたよ!
zima:アンプはBlack Starで、中音に関しては…正直最高の環境ではなかったけど(苦笑)、何とか問題なくやれるレベルで調整してもらいました。
皇:俺はNeural DSP“QuadCortex”の電源が何でかつかなくて、しかも帰国後に確認したらちょっとバグってるし…って感じで、これは散々な結果でした。ギターは傷ひとつなく無事に届いたのですが…。今後は同期周り含めて対策していかないとっすわ!
Saya:私は毎回アンプのリターンに刺して、プリアンプ側は使わないんですが、当日そうしたら、「NO! Sorry…」と言われてしまって(苦笑)。それで、プリアンプを通す形になったので中音がめちゃくちゃ歪んでしまい、仕方なく外音を信じて、頭の中でいつも通りの音を想像しながら演奏してましたね。
YG:機材を伴っての飛行機移動は色々心配が尽きませんよね…?
Saya:ハンブルクまでの直行便がなく、乗り継ぎがあったので、とにかくロスト・バゲージが怖かったです…。追加料金を払って機内に持ち込むことも可能だったけど、それだとかなり高額になってしまい諦めました。あと、預け荷物だと傷が付くんじゃないか…といった心配もあり、めちゃくちゃ梱包して預けましたね。結果的に機材関係では全員がトラブルなく、帰国まで無事だったんですが。
YG:聞いたところによると、現地でzimaさんのエフェクターが行方不明になったとか?
zima:そうなんですよ! まさに本番直前に見つからない…という大ピンチで!!
Saya:トートバッグの中に入れてたから機材だと認識されなくて、楽屋まで届けてもらえなかったんじゃないか…ということで、MBジャパンの現地(ドイツ人)スタッフが、機材を保管してもらってたコンテナまでダッシュで取りに行ってくれて、本当にギリギリ5分とか10分前に何とか到着したという。
zima:いや〜、ドラマでしたね!(笑) 彼がいなければ、僕らのあのライヴはありませんでした!!
Saya:もし自分だったら絶対パニクって、演奏に集中出来なかったかも…。
YG:ライヴ・ステージ以外でも、オーディエンスと交流したり、現地関係者とミーティングしたり…といったことは?
皇:そりゃもう、とんでもないくらいコミュ力爆発させて話し掛けまくりましたよ。名刺配って、酒飲みながら勢いの英語を駆使して(笑)。最初、翻訳アプリを使ってたんですけど、すぐに必要ないと思いましたね。
zima:ライヴが好評だっただけに、かなり多くのオーディエンスから声を掛けてもらいました。一緒に写真を撮ったり、有名人になった気分で最高でしたね(笑)。あと勿論、関係者にバンドの名刺を配りまくったり、CDを渡したりと、出来る限り精力的にプロモ活動もやりました。
Saya:現地のプロモーターさんなど色んな方にアポを取って、アドヴァイスを頂いたり、次につながるような話もさせてもらいました。
▲終演直後、PARAMENAの演奏に感激し走り込んできた在欧エージェントから、「5分だけでイイからインタビューさせてくれ!」と言われ、ステージ裏で急遽の取材に応じる…の図。
Saya:あと、最終日にドラゴンフォースのマーク(ハドソン:vo)さんとバックステージで会って、一緒にお酒を飲んだりして、こんなに身近で会えるんだ…と、夢のような世界にいた気分も味わいましたね(笑)。
zima:僕はベースのフータくんと2人で“ハーマン・リ調査隊”を結成し、半日ぐらいアーティスト・エリアで張り続けていたら、ハーマン以外のメンバーとは一緒に写真を撮ることが出来ました。結局ハーマンと会うのはあきらめてテントへ戻ってしまったら、ヴォーカルのyu-toくんから「ハーマンに会えた!」とあとから聞き、すげ〜悔しかったです!(苦笑)
YG:WOAではどんなバンドを観ましたか? 注目したギタリストというと?
zima:一番印象に残ったのは、もう日本には来ないのでは…と噂されているモーションレス・イン・ホワイトですね! それからオーペス! この2バンドがあまりにもカッコ良過ぎた!!
皇:モーションレス・イン・ホワイトを生で観れたのは本当に最高でしたね。「Another Life」でガチ泣きして、「Slaughterhouse」でハードコア・モッシュして、「Sign Of Life」でダイヴして…!!
zima:ギタリストだと、やっぱりドラゴンフォースのハーマン・リですね! 初めて生で観て、あまりのギターの巧さに感激しました。
Saya:私も感動! ドラフォの他には、メイン・ステージではKORNとかSPRITBOXも観て、個人的には後者の音が凄くタイトで「凄い!」と思い、演奏技術も高く、ヴォーカルさんの動きやパフォーマンスなどもめっちゃカッコ良かったです。
YG:他国のMB代表で気になったバンドはいましたか?
Saya:他の国のバンドさんも実際に観て、勉強したいな…と思っていたので、時間が合う時はしっかり観に行きました。優勝したデンマーク代表(THUS)もステージ袖で観させてもらいましたよ。凄くカッコ良くて、みんなとも「凄いね〜」と話していたので……優勝も納得? いや、自分達の演奏にも勿論、自信は持っていましたけどね。
皇:俺は、フィリピン代表のSHVRIKENと、南アフリカ代表のSUNKEN STATEと、ウクライナ代表のKARABINERとめっちゃ仲良くなりました! 会って即、意気投合レベルでもう楽しくて。みんなめっちゃ素敵なライヴしてくれたと思います。いつかワールド・ツアー廻るなら、アイツらと対バンしたいっす。
今後はヴォーカルとして必ずこのバンドに追いつくよう頑張ろう…
YG:ところで、皇さんが8月24日のライヴをもって脱退してしまうそうで…。既にステートメントが出されていますが、改めてここでも経緯などについて話して頂けませんか…?
皇:ポジティヴな理由もネガティヴな理由もいっぱいあります。元々18歳の時、とあるメタル・ヴォーカリストに憧れて、そこからずっとヴォーカルをやっていて、自分は飽くまで「本業ヴォーカリスト」と思っていたんですけど、ギタリストとして有名になってしまって──みんなからのイメージが“ギタリストの皇”になってしまったのが、本当に辛くて悔しくて…。
ただ、PARAMENAのギタリストとして世界に出て、ギターを始めるキッカケになった伝説のギタリスト達の仲間入りが果たせて満足したと同時に、もっと“本業”でそれ以上の結果を残したくなったんす。今後はヴォーカルとして必ずこのバンドに追いつくよう頑張ろう…と本気で思っています。
zima:僕は最後まで止めましたよ。でも、本業であるヴォーカルとして「翔たきたい」という願いは止められないし、僕らとしても「皇くんから卒業しなければならない」との思いもありました。
Saya:そう、WOAに出る1ヵ月ぐらい前から、優勝してもしなくても、彼の脱退は決まっていて…。ライヴを観てもらえたら分かると思うのですが、彼は圧倒的にフロントマンなんですよ(笑)。
皇:脱退を発表した時は、みんな本当にびっくりしたと思うし、ショックだったと思います。でも、こっからPARAMENAがどんな道を歩もうとも、微力ながら出来ることはサポートしていくつもりです。PARAMENAの楽曲は、“皇Djentの魂”の一部だから…。
Saya:今回、WOAで演奏出来たことでギタリストとしての夢が叶い、彼の中で「ギタリストとしての人生はこの最高のまま終わる」という決断に到ったようですが、「次はヴォーカリストとして大きなステージに立つ」という新たな夢に向け、みんなで背中を押して、彼の今後の人生を応援しようと送り出しました。
YG:今後のライヴはどうされますか? 後任ギタリストは決まっているのでしょうか?
Saya:年内のライヴは色んなサポート・ギターを迎え、その中から正規メンバーを決めたいな…とみんなで考えています。
zima:お互いに完全に納得した状態で、フル・メンバーを揃えることが出来たら最高ですね。
Saya:皇くんがヴィジュアル含め凄く個性的なので、やっぱり個性的な見た目やキャラクター性を持つ8弦ギタリストさんをメンバーに迎えたいな…と。とにかく、ライヴ自体は可能なので、今後も休止することなくどんどん活動を続けていくつもりです。
皇:俺よりすげぇヤツがいるなら是非挑戦して欲しいす。伝説に挑める大チャンスだからな。俺を超えられるもんなら超えてみろ…!!
YG:では最後に、今後の活動について教えてください。音源制作やアルバムのレコーディング予定はありますか?
zima:皇くん作曲のラスト・ソングをリリースする予定です。PARAMENAとしての皇くんの卒業作品、是非ともチェックして頂けたら嬉しいです。
Saya:ただ、コンポーザーである皇くんが脱けたあとも、私とzimaさんで曲を作っていきたいな…と思ってて、現在鋭意制作中です。
YG:新しいPV撮影も行なったそうですが…?
Saya:まだライヴ披露していない未発表の新曲をPV撮影しました。それは皇くんの“遺作”として、皇くんメインのPVが今後公開される予定です。
皇:これまでの人生の中で最も難しく、かつギネス記録狙えるスーパー・ロー・チューニングで日本沈没させる曲です。みんな絶対、1人あたり1万回再生するように…!!
YG:直近のライヴ予定はありますか?
Saya:10月20日(日)に東京の渋谷サイクロンでSEVER BLACK PARANOIA主催イベントに出演します。PARAMENAは休止することなく、今後もどんどんライヴを行なっていくので、是非チェックして頂けると嬉しいです!!
PARAMENA ライヴ情報
タイトル:SEVER BLACK PARANOIA 主催 『SBP fest vol.13』ー Anti-Zionist ー
日程:2024年10月20日(日)
会場:渋谷サイクロン
公式インフォメーション
PARAMENA
(インタビュー&写真●奥村裕司 Yuzi Okumura)