和出汁をベースにした担々麺一本で勝負する、福岡・裏六本松の専門店
今年も記録的な猛暑となり、まだまだうだるような残暑が続きそうです。あまりに暑いとついつい毎日のランチも冷たい蕎麦や素麺などになりがちですが、身体が求めるのか、たまに熱くて、辛いものが食べたくなるときはありませんか? そんな時にピッタリなのが、中国・四川がルーツの「担々麺」。タイムリーなことに、7月末に担々麺の専門店としてオープンしたのが、六本松の「お出汁」です。
場所は、最近話題の裏六本松エリア。「うどん日和」や「マツパン」といった人気店がある通りをさらに笹丘方面に歩いた「高橋寮」という古いアパートの2階です。ここはもともと病院の看護婦寮(当時)だったそうですが現在は住人はおらず、6室中4室が飲食店になっています。「お出汁」はオープンして間もないため、まだ店名のサインが付いておらず、仕入れている「製麺屋慶史」の木札が掲げられていました。
汗をかきかき階段を上ってドアを開けると、なんと厨房にいたのは「マツパン」の隣で居酒屋「ちーこば」を営む大将の小林博志さんでした。実は小林さん、以前から担々麺が大好きで、六本松に店を出す前には薬院の餃子屋を昼だけ間借りして担々麺を提供していたとか。今回、たまたま近くに空き物件が出たので、専門店をオープンしたそうです。基本メニューは「担々麺」と「汁なし担々麺」(各800円)のみという潔さからも、本気度が伝わってきます。
「お出汁」の店名は、スープのベースとなる出汁から。もともと和食の出身で、「ちーこば」でも毎日丁寧に和出汁を引いている小林さんですが、「こっちの出汁は、そんなに上品じゃありません(笑)」と、鰹節と昆布に、イワシ、アジ、サバなどの節を使って魚介をガッツリ利かせたパンチのある和出汁。それに自家製のラー油を加えてピリ辛のスープに仕上げたのが、自慢の「担々麺」です。
丼に張られたアツアツの真っ赤なスープに、麺は「製麺屋慶史」の中太麺を使用。まずは一口ズルズルッと啜り上げると、魚介と唐辛子が渾然一体となった香りが鼻孔を駆け抜けます。デフォルトは中辛ですが、よりホットな刺激が欲しい人は、辛さ増し(1辛50円〜)でも注文OK。卓上に用意された昆布酢を入れてスッキリとした酸味を加えれば、さらに食欲が湧いてきそうです。
白めしと温玉のセットはプラス200円で、残ったスープにご飯を投入すれば、中華おじや風にも。さらに、夏限定で冷水で締めた麺と冷たいスープの「冷やし担々麺」(800円)も用意されています。
続いては、本場・四川式の「汁なし担々麺」にチャレンジ。こちらは豚肉味噌のゴロゴロとした舌ざわりにナッツとフライドオニオンのクリスピーな食感が楽しめ、汁ありとは一線を画すおいしさ。うれしいことに瓶ビールやハイボールも用意されているので、「担々麺」をツマミに昼飲みといった楽しみ方も全然アリですね。
営業は月曜から木曜日の昼のみで営業時間も2時間半ほどと短めですが、夏が終わる前に六本松へ食べに行く価値は充分ありますよ。
お出汁
福岡市中央区六本松4-6-25高橋寮2F
070-4726-1873