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こっそり増える不気味な外来魚『ダントウボウ』 なぜ日本にいるの?

TSURINEWS

(提供:茸本朗)

近年突如目立つようになった外来魚ダントウボウ。不明なことの多い謎魚です。

日本第二の湖で爆増中の外来魚

茨城県が誇る、日本第2の面積を誇る湖・霞ヶ浦。豊かな生態系を誇る一方で、アメリカナマズやブラックバス、ブルーギル、ソウギョ、ハクレンなどといった外来生物も多く棲息し問題となっています。

霞ヶ浦(提供:PhotoAC)

湖で漁をしても、ワカサギやシラウオといった漁業価値のある魚の漁獲は減る一方なのに対し、上記の魚たちは価値が低いのに大量に獲れてしまうこともあるほどです。

そんな外来生物天国となりつつある霞ヶ浦で近年、とある新顔の外来魚が増えています。その魚とは「ダントウボウ」。

ダントウボウってどういうサカナ?

ダントウボウという名前を聞いても字面が全く想像できないと思いますが、漢字では団頭魴と書きます。中国原産の魚で当地でこのように呼ばれており、和名はシンプルに音読みをしたものとなっています。

ダントウボウ(提供:茸本朗)

ダントウボウは最大60cmほどになる中型の淡水魚で、背中が大きく出っ張る、いわゆる「背っぱり」体型をしているのが特徴です。

霞ヶ浦でも釣りものとして人気の高いヘラブナにシルエットが似ていますが、ヘラブナよりも側扁が強く、また背鰭の形状が大きく異なります。ヘラブナ釣りの外道で釣れてくることが多く、両者は生態の上でも似ているようです。

Youはなぜ日本に?

アメリカナマズやブラックバスは食用として、ソウギョやハクレンはプランクトンの除去を目指して導入されており、日本にいる理由がハッキリしています。しかしダントウボウはなぜ日本の野生環境下に定着しているのか、その理由がハッキリしていません。

ダントウボウの清蒸(提供:茸本朗)

中国では人気の食用魚であり、茨城県の水産試験場で養殖研究が試みられたこともあったようですが、そこから逸出したという記録もないようです。また研究が行われていたころはさほど増えておらず、近年急激に増えていることから人為的な放流の可能性も指摘されています。

口や腸の形状から植物食性が強いことが想像されますが、釣りではタンパク質性の餌でもよく釣れてくるため、在来生物を食害し生態系へ被害をもたらしている可能性も指摘されています。今後は駆除も含めた対処も検討されるようになるかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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