梨の実も、枝も、まるごと愛される社会に 山本弥生さん(鎌ケ谷市在住)
幸水や豊水など代表的な梨の産地として知られる鎌ケ谷市で、梨の枝を通して人とつながり、新しい価値を生み出そうと取り組む山本弥生さん。「剪定(せんてい)枝が通学路に置かれていて危険」という地域住民の声をきっかけに、梨の枝に着目しました。
回収・処分される枝に価値と役割を
剪定は、甘く形の良い梨を実らせるために不可欠ですが、切り落とされた枝は一部が堆肥や土壌改良材として活用される以外、年間約300トンが廃棄処分されています。
「太陽を目指し懸命に伸びていた枝が疎まれて、ただ捨てられるのは悲しい」。
山本さんは仕事の合間を縫って枝の堆積場を訪れ、より有効な活用法を探りながら援農講座を受講するなど、農業についての学びも深めていきました。
私たちの地球資源価値を共有したい
折しも、木の食糧転換をテーマにした本を読んでいた山本さんは、日頃家族で楽しむキャンプ料理にヒントを得て、剪定枝のチップを使い、燻製(くんせい)コーヒー作りに乗り出しました。
どこか親しみある香りの燻製コーヒーは、風味の良さと物語性が耳目を集め、地域で支持を広げています。
選別される枝に「命の在り方」を重ね、「梨の実も枝も、人も、まるごと受け入れ愛される社会を」と思いを語る山本さん。
より魅力的な価値の創出と商品展開を目指し、「梨農家さんに還元し、応援したい」とも。
おいしい梨という、身近に誇れる存在があるこの町で山本さんの挑戦は続きます。
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