清川村 44年ぶり重文指定へ 二ホンオオカミ頭骨など
清川村は、村内で見つかったニホンオオカミの頭骨などについて、近く村の指定重要文化財に指定すると発表した。2年ほど前にニホンオオカミの骨がまとまって見つかり、専門家に依頼してDNA解析などを進めていた。指定に向け、村の担当者は「清川村周辺にニホンオオカミが生息していたという歴史的な価値を、村内外の人たちに知ってもらう機会にしたい」と期待を膨らませている。
村の重文に指定されるのは、ニホンオオカミの頭骨5個と下顎1個、前肢1個の計7個。いずれも村内の民家で保存されていた。100年以上前に絶滅したとされるニホンオオカミの遺物は国内外で100個程度しか確認されておらず、1つの地域にこれだけ密集して現存していたケースは珍しいという。
頭骨などが見つかったきっかけは、オオカミ信仰が伝わる武蔵御嶽神社(東京都青梅市)の依頼を受け、2023年に村文化財保護委員長の飯塚利行さんが調査を行ったことだった。村内の民家数戸で複数のニホンオオカミの骨が保存されていることが分かり、総合研究大学院大学(葉山町)の協力でDNA解析などを進めていた。
解析の結果、頭骨4個と下顎1個はニホンオオカミのものと分かり、残りの骨も形状などの特徴からニホンオオカミであると鑑定された。
村生涯学習課の中澤志伸さんは「骨が伝わる家々では、削って薬のように飲んだり、病人の枕元に置いたりといった風習があったと聞いている」と話す。地域によっては所有していることを口外しない風潮もあったというが、「清川村では近所で骨を貸し借りすることもあったようだ」(中澤さん)。
村によると、新たな重文指定は44年ぶり。骨は個人所有のまま、村が定期的に状態などの確認を行うという。頭骨のレプリカや復元画の作成などにも取り組むとし、ニホンオオカミとのゆかりなどについて村を挙げてPRしていく。
3月30日(日)には、飯塚さんがニホンオオカミの紹介や頭骨などに関する民間伝承などについて講演する。村生涯学習センターせせらぎ館で午後2時から3時30分。問い合わせは同課【電話】046・288・3733へ。