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ドキュメンタリー映画『丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部』が恵比寿『東京都写真美術館』で8月6~23日上映

さんたつ

①沖縄戦の図メインビジュアル

広島・長崎の核爆発の凄絶さを『原爆の図』に描きつづけた丸木位里(まるきいり)・丸木俊(まるきとし)夫妻。彼らが晩年に取り組んだのが地上戦を体験した沖縄戦だった。その軌跡を収めたドキュメンタリー映画『丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部』が、2024年8月6日(火)~23日(金)、東京都目黒区の『東京都写真美術館』にて上映される。

丸木位里・丸木俊が沖縄戦を描いた全14部の連作の軌跡をたどる

『沖縄戦の図』を制作中の丸木位里と丸木俊(写真:石川文洋)。

「沖縄はどう考えても今度の戦争で一番大変なことがおこっとる。原爆をかき、南京大虐殺をかき、アウシュビッツをかいたが、沖縄を描くことが一番戦争を描いたことになる」(丸木位里)

「戦争というものを、簡単に考えてはいけないのです。一番大事なことがかくされて来た、このことを知り深く掘り下げて考えなければなりません」(丸木俊)

1982~87年、丸木夫妻は沖縄に通い続け、地上戦の「現場」に足を運び、沖縄戦を連作14部に描いた。ふたりは、沖縄島や近隣諸島をめぐり、体験者の話に全身全霊を傾け、沖縄に関連する160冊以上の本を読み、研究者を訪ねた。戦争の心の傷から絞り出すように語られた証言の数々をひとつひとつ紡ぎ、それは「沖縄戦の図」という「かたち」に昇華されていった。

『沖縄戦の図』を収蔵・常設展示する沖縄県宜野湾市の『佐喜眞美術館』学芸員の上間さんは、「世界を巡回した『原爆の図』の画家、丸木位里・丸木俊が最晩年に遺言のように取組んだ『沖縄戦の図』14部。その全作品を残らず紹介する初の試みであり、画家の思考の軌跡をたどるアートドキュメンタリー映画です」と、作品の重要性を語る。

「生活の場が戦場となる地上戦を体験しなかった日本人は、地上戦を体験した沖縄の人びとから学ばねばならない」と考え、描き続けたふたりの姿と作品が、改めて今を生きる我々に問いかける。

『沖縄戦の図』1984年。
『沖縄戦の図』1984年(部分)。
読谷村三部作『チビチリガマ』1983年(部分)。

河邑厚徳監督による舞台挨拶も実施

6月29日(土)・30日(日)13:00の回、8月6日(火)・10日(土)~12日(月)・17日(土)の上映では、本作の監督・河邑厚徳(かわむらあつのり)氏による舞台挨拶が行われる。

開催概要

『丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部』

上映期間:2024年6月18日(火)~30日(日)・8月6日(火)~23日(金)
上映時間: ~6月30日(日)13:00/15:10
8月6日(火)~8月23日(金)10:30
会場:東京都写真美術館 1Fホール(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
アクセス:JR恵比寿駅から徒歩7分、地下鉄恵比寿駅から徒歩10分
入場料:一般1800円、学生1500円、60歳以上・3歳~中学生・障害者手帳を持つ人1200円
※全席指定(各回定員入替制、立ち見不可、事前予約不可)

【問い合わせ先】
東京都写真美術館☎03-3280-0099
公式HP https://topmuseum.jp/contents/exhibition/movie-4898.html

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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