ロシアに雇われた”ハニトラ美女スパイ”ほか一斉逮捕 おもちゃにスパイ機材仕込む映画顔負けの仕事ぶり
ロシアに雇われた美女スパイが英国で暗躍
英国でスパイ活動を行ったかどで逮捕されたヴァーニャ・ガベロヴァ(30)について今年10月、再び同国メディアが報じている。ロンドン西部で美容サロンを営んでいたガベロヴァはロシアの軍事情報機関GRUのために諜報活動を行っていたとされ、2023年に彼女を含む一味が逮捕されたことで英国で最も注目されるスパイ事件となった。
彼女は同じくスパイ容疑で逮捕されたビゼル・ジャンバゾフ(43)とスペイン・バレンシアでの任務中に恋愛関係に陥ったとされ、「彼がインターポール職員だと信じていた」と裁判で証言。弁護側は「彼女は恋愛と金銭に操られていた」と主張したが、陪審はこれを退けている。
ガベロヴァともう一人の女性スパイは、調査報道メディアの著名なジャーナリストら欧州各地のターゲットに「“性的な餌”として接触するよう指示されていた」と裁判で証言。とくにガベロヴァは複数メディアで「ハニートラップ美女スパイ」などと仰々しく紹介されてきたが、実際その諜報活動には「スパイラブ三角関係(※意訳)」「隠しカメラ付きメガネ」などなど、まるで映画のような仕掛けや機材が登場していたようだ。
2023年の逮捕~異色の経歴を持つ容疑者たちと巧妙なスパイ機材
事件の発端は2023年2月、ロンドン警察が複数の容疑者宅を一斉捜索し、隠しカメラ付きメガネ、偽造ID、スパイ機材などを押収したことに始まる。逮捕されたのは、元水泳選手、ラボ技師、ペンキ職人など異色の経歴を持つブルガリア人6人。彼らはGRUの指示で、英国や欧州各地でジャーナリストや外交官を監視し、偽装抗議活動や拉致計画に関与していたとされている。
首謀者とされるオルリン・ルセフ(47)は、英グレート・ヤーマスの元ゲストハウスを拠点に活動。Telegram(※高度なセキュリティ機能を持つメッセージアプリ)で20万件以上のメッセージを交わし、スパイ機材をコーラ瓶やネクタイ、ミニオンズの玩具などに偽装していた。ジャンバゾフは「Mad Max」、ルセフは「Jackie Chan」と名乗り、仲間を“ミニオンズ”と呼んでいたという。
さらに、逃亡中のオーストリア人実業家ヤン・マルサレク(※ドイツ企業による巨額の会計不正が発覚したWirecard事件の中心人物)がGRUとの仲介役だった可能性も報じられており、国際的なスパイ網の存在が浮き彫りになった。
最新報道では新たな展開なし? スパイたちに合計50年以上の懲役刑
2025年5月、ロンドンのオールド・ベイリー裁判所は6人に対し、合計50年以上の懲役刑を言い渡した。ガベロヴァには6年8か月、ジャンバゾフには10年2か月、ルセフには10年8か月の刑が科されている。裁判官は「ガベロヴァは金銭と恋愛に動機づけられていた」と指摘し、弁護側の「彼女は操られていた」という主張は退けられた。
今年10月の最新報道では事件の新展開はなく、判決内容や関係者の証言、スパイ活動の手口などが再確認される形となった。ロシアの影響力が欧州に及ぶ実態を示す事例として注目を集め続けており、今後も定期的に進捗が報道されると思われる。
今すぐ配信で観られる<女性スパイ>を描いた映画4選
『レッド・スパロー』(2018年/ディズニープラスほか)
ジェニファー・ローレンス主演。 ロシアのスパイ養成学校で訓練を受けた女性が、CIAとの心理戦に巻き込まれる。性的接近を任務に含む“スパロー”制度がサスペンスフルかつエロチックに描かれる。
『ANNA/アナ』(2019年/U-NEXTほか)
リュック・ベッソン監督作。モスクワ出身のモデルが実はKGBの暗殺者だったという設定。二重スパイ、偽装任務、恋愛と任務の交錯などを経て、“KGB長官暗殺作戦”への参加と実行を迫られる緊迫した展開が見もの。
『アトミック・ブロンド』(2017年/Huluほか)
シャーリーズ・セロン主演。デヴィッド・リーチ監督作。冷戦末期のベルリンを舞台に、MI6の女性諜報員ロレイン・ブロートンが、二重スパイの正体を追う任務に挑む。スタイリッシュなアクションと、誰が味方か分からない心理戦が展開され、女性スパイ映画の中でも屈指の完成度を誇る。
『バック・イン・アクション』(2025年/Netflix)
キャメロン・ディアス、ジェイミー・フォックス主演。元CIAの夫婦がスパイの世界に舞い戻るアクション・コメディ。女性スパイとして復帰したディアスの演技が話題に。