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ちょっと早いけど【クリスマスソング TOP10】発売から65年後に全米1位を獲得した曲は?

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2023年12月05日 ブレンダ・リーのシングル「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」全米シングルチャート(Billboard Hot 100)1位獲得日

連載【教養としてのポップミュージック】vol.15 / ちょっと早いけど【クリスマスソング TOP10】発売から65年後に全米1位を獲得した曲は?

クリスマスのムードを高める上で欠かせないクリスマスソング


恵比寿ガーデンプレイスでは、2025年11月8日から2026年1月12日までの約2ヵ月間、フランスの高級クリスタルメーカー、バカラ(Baccarat)製の世界最大級のシャンデリアの点灯が催される。今年で26回目となるこのイベントが始まると一気にクリスマスの雰囲気が出てくるのだが、日本国内各地においても、クリスマスの飾りつけやイルミネーションを目にする季節になってきた。

そして、クリスマスのムードを高める上で欠かせないのが、クリスマスソングだ。今回は、米英の主要音楽メディアが発表しているクリスマスソング・ランキングを参考にTOP10を選んでみたので、まずはそれをご覧いただきたい。

【第10位】2000マイルズ / プリテンダーズ
1984年のアルバム『ラーニング・トゥ・クロール』からのリカットシングル。曲名の2,000マイル(約3,200km)は、おそらく “物凄く遠くにいる=この世にはいない” の比喩だろう。というのも、本作制作前にバンドのメンバー、ジェイムズ・ハニーマン・スコット(ギター)とピート・ファーンドン(ベース)が相次いで急逝しているからだ。このようにレクイエム(鎮魂歌)的な色彩を帯びた楽曲ではあるが、美しいクリスマスのバラードとして多くのファンに愛されている。

【第9位】ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス? / バンド・エイド
この曲はエチオピア飢餓救済の資金を集めるため、1984年11月25日にロンドンでレコーディングされ、わずか8日後にリリースされた。発起人のボブ・ゲルドフ(ブームタウン・ラッツ)に加え、ドラムスがフィル・コリンズ(ジェネシス)、ベースはジョン・テイラー(デュラン・デュラン)、キーボードはミッジ・ユーロ(ウルトラヴォックス)、ボーカルはボーイ・ジョージ(カルチャー・クラブ)、ジョージ・マイケル(ワム!)、サイモン・ル・ボン(デュラン・デュラン)、スティング(ポリス)、ボノ(U2)など、当時の英国音楽シーンのオールスターが集結した。

【第8位】ワンダフル・クリスマスタイム / ポール・マッカートニー
1979年にシングル盤としてリリース。2枚目のソロアルバム『マッカートニーⅡ』のセッションの際に彼が1人で全パートを演奏して録音されたが、アルバムには収録されていない。それまでの彼の作品にはなかったテクノポップ調の楽曲で、歌詞にメッセージ性が全くないことから、当時はメディアに批判されることが多かった。それにしても、淡々としたサウンドに乗せて「♪Simply having a wonderful Christmastime」(ただ楽しもう、素敵なクリスマスのひと時を)と歌う様が何だか寂しそうに感じるのは、気のせいか。

【第7位】アンダーニース・ザ・トゥリー / ケリー・クラークソン
初のクリスマスアルバム『ラップト・イン・レッド』からのファーストシングルとして2013年にリリース。とにかくパワフルな楽曲で、マライア・キャリーの曲と比較されることも少なくないが、フィル・スペクター流 ウォール・オブ・サウンド(音の壁のような分厚く迫力あるサウンド)の影響が強く感じられる。このミュージックビデオは、リリースの翌月に米NBCで放送されたクリスマス特番でのライブパフォーマンスを中心に制作されていて、彼女の迫力あるボーカルをこれでもかと味わうことができる。

【第6位】ハッピー・クリスマス(戦争は終った)/ ジョン&ヨーコ/プラスティック・オノ・バンド
ジョン・レノンとヨーコ・オノの共作により1971年にシングル発売。英国では契約上の問題で翌1972年にリリースされた。この作品はベトナム戦争の真っ只中に書かれ、曲の後半に「♪War is over, if you want it」(あなたが望めば、戦争は終わる)の大合唱が繰り返されることから判るように、完全な “反戦歌” である。しかし、そもそも単純に良い曲だったこともあり、時間が経つにつれて多くの人々がそのことを意識せずに味わってきたような気がする。それは、天国のジョンにとって本意だったかどうか…。

【第5位】ニューヨークの夢(Fairytale Of New York)/ ザ・ポーグス
1987年にシングルリリースされ、アルバム『堕ちた天使』(If I Should Fall From Grace With God)にも収録。この曲は、夢を抱いてニューヨークへやってきたアイルランド移民の夫婦の物語だが、特に英国ではクリスマスソングとして人気が高い。ただ、後半の掛け合いは汚い言葉の応酬で、冴えない現実をお互いのせいにして罵り合う。そのせいか、米国の音楽誌『ビルボード』はこの曲を “Christmas Music for People Who Hate Christmas Music”(クリスマスミュージックが嫌いな人のためのクリスマスミュージック)の1つに選んだ。

【第4位】サンタ・テル・ミー / アリアナ・グランデ
2014年にシングルのみでリリース。21世紀に発表されたクリスマスソングの中で最もストリーミングされた楽曲と言われており、まさに新世代のクリスマス・スタンダードと言える。ただ、この曲は何故か日本において独自の展開を見せてきた。日本独自の企画盤『クリスマス・キス』だけに収録されていたり、2023年にはフジテレビ系情報番組『めざましテレビ』の公式YouTubeチャンネルで、サンタクロースの格好をした “ちいかわ” とのコラボレーション動画が公開され、大きな話題となったりもしている。

【第3位】ラスト・クリスマス / ワム!
1984年にシングル盤がリリース、後に12インチバージョンがアルバム『エッジ・オブ・ヘヴン』(Music From The Edge Of Heaven)に収録された(日米のみで発売)。一応、ワム!名義にはなっているが、実際にはジョージ・マイケルが1人で作詞・作曲し、トラックを制作・録音した。それから32年後の2016年12月25日、この曲が世界中で流れる中で彼の訃報が伝えられたのは、はたして運命だろうか。ちなみに、このタイトルは “去年のクリスマス” という意味で、決して “最後のクリスマス” ではないので、念のため。

【第2位】ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー / ブレンダ・リー
“ロックの殿堂” 入りシンガーであるブレンダ・リーが、まだ13歳だった1958年にリリースした曲。当時はそれほどヒットしなかったが、30年ほど経った1990年、映画『ホーム・アローン』の劇中で流されたことで新世代にも一気に浸透していく。そして2023年、全米シングルチャート(Billboard Hot 100)で1位を獲得。発売から65年が経っていた。既に78歳の彼女は、全米1位に輝いた史上最高齢のアーティストになった。なお、このミュージックビデオは、今の彼女が少女時代の声を口パクする形で制作されている。

【第1位】恋人たちのクリスマス(All I Want For Christmas Is You)/ マライア・キャリー
4枚目のアルバム『メリー・クリスマス』のリードシングルとして1994年にリリースされ、25年後の2019年に全米シングルチャートで遂に1位を獲得した。まさにクリスマスソングの現代版スタンダードである。日本では1994年秋放送のTVドラマ『29歳のクリスマス』(フジテレビ系)の主題歌に起用されたことでも知られている。当時、僕はちょうど29歳になったばかりのタイミングだったので、同年代の友人たちとドラマの展開を毎週かかさず話題にしていたのだが、今思い出すとちょっと恥ずかしい。

世界中の非キリスト教徒の多くにとっても年中行事になっているクリスマス


さて、改めて言うまでもないが、クリスマス(Christmas)という単語は、キリスト(Christ)とミサ(mass)の2つが組み合わさってできている。つまり、クリスマスとは “イエス・キリストの降誕を記念する祭” のことなので、明らかにキリスト教の宗教的イベントだ。実際、先ほど紹介したアーティストたちの多くが、程度の違いこそあれ、クリスチャンの親の元でキリスト教の教育を受けて育っている。

ところが、そんな彼ら彼女らは、クリスマスソングを歌っているからといって、一生敬虔なクリスチャンであり続けるかというと、実は全くそんなことはない。むしろ、大人になってからの宗教観は割とバラバラだ。よく知られているように、ジョン・レノンはザ・ビートルズ時代に “We're more popular than Jesus”(僕たちはキリストより人気がある)と発言して物議を醸したし、ソロになってからは 「♪I don't believe in Jesus」(キリストなんて信じない)、 「♪Imagine there's no religion」(想像してごらん、宗教なんて無いんだと)と歌った。アリアナ・グランデは、元々はカトリック教徒だったが、現在は神秘主義的なユダヤ教の一派である “カバラ”(Kabbalah)の教えを信仰しているという。

そんな感じなので、クリスマスというイベントやクリスマスソングが、キリスト教の布教とか、キリスト教的世界観の押し付けとかを意図している訳では必ずしもなさそうである。それよりもクリスマスの凄いところは、宗教的イベントでありながら、世界中の非キリスト教徒の多くにとっても年中行事になっている点だ。

僕が過去に長期滞在したアジア各国では、カトリック教徒が大半を占めるフィリピンはもちろん、クリスチャンが少数派の国・地域においても、少なくとも大都市ではどこも東京と同じように、年末が近づくにつれてクリスマスのデコレーションが街を彩っていた。実際、クリスマスは多くの人々のライフスタイルの一部に組み込まれている。

このように、もはや地球レベルのイベントとなったクリスマス。僕たちは宗教的な意味を考えてもいいし、考えなくてもいい。ポール・マッカートニーも歌っているように、とにかくクリスマスのひと時をただ楽しんでいいのだと思う。その際、先ほど紹介した楽曲たちを皆さんのクリスマスのセットリストに加えていただけたら、それだけで十分にハッピーだ。

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