なぜリーダーが育たない? 3分の2以上の企業が実感 人手不足以上に深刻な人材育成
■リーダー人材の不足 一番の課題は「意欲」
人材不足以上にリーダーが足りない。3分の2以上の企業が将来を担うリーダー人材の不足に直面している。背景にある課題とは。
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民間の調査会社・帝国データバンクによると、管理職相当以上のリーダー人材の不足を感じている企業は67.8%に上った。正社員の人手不足の割合53.0%を大きく上回っている。
帝国データバンクの調査では、人材育成に時間を確保できない実情が浮き彫りになっている。企業から「現リーダー層もプレイングマネジャーで、自身の業務と中途採用者や部下の育成・勤怠管理などに追われ、リーダーに必要なノウハウを養う育成時間が取れない」、「過去の採用抑制によって、育成の前にそもそものリーダー人材不足が最も深 刻な課題」といった声が上がっているという。
リーダー人材の不足を感じている企業には様々な課題に直面している。中でも、育成の課題として最も多くの企業が吐露するのは「リーダー職への意欲」だ。複数回答によるアンケートでは、全体の約6割が課題に挙げている。「30代以下の社員の中には、責任のある立場になりたくないという人も増えており、どのように意欲を持たせたらいいのか」などの切実な声も漏れてくる。
リーダー職への意欲に続いて多かったのは「リーダーシップ」で57.5%。「部下の育成能力」を回答した企業も半数を超えた。上位10項目は以下の通りとなっている。
【リーダー人材の育成課題】
①リーダー職への意欲 59.8%
②リーダーシップ 57.5%
⓷部下の育成能力 55.6%
④責任感 47.4%
⑤主体性 46.8%
⑥コミュニケーション能力 40.8%
⑦計画力 39.1%
⑧決断力 38.0%
⑨中長期的な戦略立案 30.0%
⑩業務向上への意識 29.9%
リーダー人材が不足している現状について、帝国データバンクは「リーダー職のやりがいや存在価値、給与など魅力を明確に示すことで、意欲の醸成につなげる必要がある。『人手不足によって管理職も現場業務を進める必要があり、育成どころではない』のような声があり、業務の遂行を最優先にせざるを得ず、リーダー育成に手が回っていないというケースも多い。未来を見据えた 教育体制を整備し、中長期的な視点に立った育成が求められている」とまとめている。
今回の調査は全国2万6815社を対象に、2月14日から28日まで実施された。有効回答は1万835社(回答率40.4%)で、静岡県を含む東海エリアの企業は1159社が回答している。
(SHIZUOKA Life編集部)