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カヤックフィッシング入門前に知っておくべき【5つのポイント】徹底解説 「海ゼミ」後編

TSURINEWS

カヤックフィッシングの様子(提供:HOBIE JAPAN)

今回は、ボートショー2024「海ゼミ」講義の後編「カヤックフィッシング入門時のポイント」をまとめたものをご紹介します。今まで筆者が執筆したカヤックの解説記事をまとめた内容にもなっていますので、最後まで読んでいただければうれしいです。

前編「初めてのカヤック購入時に知っておくべき【5つのポイント】徹底解説」から読む。

カヤックフィッシング特集ページを見る。

1.カヤックの運搬方法

ボートとの比較でも触れましたが、カヤックを運搬する一般的な方法は、車の屋根に載せるカートップ方式です。そのほかは、ワンボックスカーの車内に積んだり、けん引するトレーラーに載せたりする方法もあります。

車載時の注意点

カートップ時の注意事項にも触れておきましょう。

まずは、カヤックを載せるキャリアが必要です。そして、しっかりとベルトで固定することが大切。走行中に落下すると大惨事になってしまうので念入りにチェックしましょう。

また、自動車の長さの1.2倍以上のカヤックを積むことは道交法的に違反になるので、とくに軽自動車ユーザーは気をつけてください。

カートップにも法規あり(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

2.カヤックは危険?安全?

カヤックで海に出て釣りをするというと、多くの方がカヤックフィッシングの危険性が気になることでしょう。

カヤックは転覆したり、漂流してしまう可能性がある以上、100%安全とはいえない乗り物。それでは、すごく危険なものかと問われると……それも違います。
結局のところ、カヤックは乗り手の判断と、周囲の状況次第で危険にも安全にもなります。

カヤックフィッシングを登山に例えてみましょう。恵まれた天候の日に、整備されたコースを歩き、非常食まで用意している……そんな状況の登山で、事故や遭難が起こることはなかなか考えにくいですよね。カヤックでいえば、ベタ凪の日に準備万端で出艇するようなものです。

しかし同じ山でも、雪が積もっている時期、コースから外れた未開のルートを選び、スパイクシューズすら履いていない……これでは命に関わる危機に陥ることも十分あり得るでしょう。カヤックでいえば、真冬の大荒れの海にライフジャケット無しで出艇するようなものです。

常に天候に気を配り、ルールを守って無理せず気をつけて楽しんでいれば、カヤックフィッシングは決して危険なレジャーではありません。

艇の安定性

前項の危険性ともつながりますが、「カヤックってひっくり返らないの?」これは本当によくある質問です。

そんな時は、「滅多なことではひっくり返らない」と答えています。フィッシングカヤックは全般的に幅が広く安定感のあるモデルが多いため、浮かんでいる間中、常にバランスをとる必要があるほど不安定ではありません。船の曳き波が来た時などに、多少意識してバランスをとるくらいです。

目安として、おおむね全幅80cm以上であれば、安定性が高く釣りをしやすいカヤック。全幅70cm台のカヤックは、スピードを出しやすい反面、多少グラッとする感じを受けることが多くなります。

もちろん、モデルごとに性格は異なり、安定性とスピードを両立したモデルもありますよ。

最低限のスキル

カヤックフィッシングにおける危険を回避するためには、最低限身につけておくべきスキルが存在します。

1つは安全に出艇・着岸できること。波が打ち寄せる岸際で、スムーズに手順をこなせないと、カヤックがひっくり返りロッドが折れたり、タックル類を失ってしまったりします。

2つめは、波や風などの気象条件を把握し、出艇可能がどうかを判断できること。風向きや雲の形状を見て1時間後の天気を予測……とまでは言いませんが、天気予報や海況サイトをできるだけ活用し、海上でも周囲の変化に気を配っておくことが必要です。

目安としては、白波が立つような風速4〜5kmの風になると、釣行はあきらめた方が無難。安全面はもちろんですが、転覆はしないまでも、糸フケが出すぎてアタリがわからなかったり、流されてばかりだったりで釣りになりません。

3つめは再乗艇の練習をしておくことです。滅多に転覆しないとはいえ油断は禁物。再乗艇の練習は必ずしておいてください。さすがに冬場は厳しいので、水温が高い時期に2人以上で、欲を言えばカヤックに慣れた経験者といっしょに行なうことをおすすめします。

3.カヤックは体力勝負?

カヤックは人力で進む乗り物。当然、ある程度の体力が必要です。

どのくらい疲れる?

カヤックフィッシングでどのくらい疲れるかは、2つの要素によって大きく変わります。

1つめは天候です。風が強く常にカヤックが流される時は、ポイント上で漕いでは戻りを繰り返したり、全力で岸まで漕いで戻ったり……。休むタイミングも無く、漕いでもなかなか前へ進まないので、人によっては筋肉痛になるほど疲れることもあるでしょう。

一方、ベタ凪でプカプカ浮いていられる場合は本当にラクです。軽く散歩した程度の疲れで、もちろん筋肉痛にはなりません。

2つめの要素は陸上での移動です。柔らかい砂浜や斜面をカヤックを引いて移動するのは結構な重労働。いくら海上でゆったりできても、行き帰りがキツいと疲労度がグッと上がってしまいます。

疲労がたまる部位

カヤックフィッシングで疲労がたまる部位は、手漕ぎならば肩や腕を中心に上半身、足漕ぎならば太ももやふくらはぎです。

ただし、足漕ぎカヤックで使う脚部の筋肉は身体の中で最も大きな部位なので、パワー・持久力ともに腕や肩を上回ります。ハードな釣行でない限り疲労は感じにくいですよ。

ダイエット効果も?

一日中カヤックフィッシングを楽しんだ後、体重を測ると2〜3kg減っていることもあります。しかし、カヤックフィッシングだけでダイエットできるかといえば微妙なところ。

週に何度も出艇して、食事にも気をつければ効果はあるのでしょうが、これがなかなか難しいものです。実際には、それほど頻繁に釣りに出かけられないことが多く、さらに釣行後の空腹時に低カロリーの食事で我慢できなければ、すぐに体重は戻ってしまいます。

もちろん、カヤックを漕ぐのは有酸素運動であり、漕ぐことで筋肉の量が増えて代謝がアップすればダイエット効果はあります。痩せるかどうかは、カヤックに乗る頻度と自分の自制心次第といえますね。

ダイエットの効果は?(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

4.最低限必要&あると便利なもの

カヤックフィッシングではカヤック以外にも必要な装備がありますのでご紹介します。

ライフジャケット

まずは、いわゆるライフジャケット。カヤックフィッシングでは、桜マーク付きの「救命胴衣」は必要ありませんが、PFD(パーソナル・フローティング・デバイス)やフローティングベストなどと呼ばれる浮力体内蔵のベストが必須。海に落ちた時の安全性を考えて絶対に着用してください。

また、カヤック用のライフジャケットの特徴として、パドリングしやすいように肩まわりの自由度が高いことや、シートの背もたれと干渉しないように背中部分が薄く作ってあることなどが挙げられます。

カヤック用PFD(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

ドーリー

これまでも何度か触れたように、カヤックを陸上で移動させるのはなかなか大変です。それを助けてくれる必須アイテムがドーリー。

もしも、釣り場に着いた後にドーリーを忘れたことに気づいたら、潔くあきらめて帰るくらいに重要です。

ごく軽量のカヤックで海岸まで100m未満のような場合なら、ドーリー無しで担いで済ませることもできるでしょうが、基本的にドーリーは絶対にあった方が良いです。

ドーリー選びのコツは、タイヤの大は小を兼ねるということ。径が大きなバルーンタイヤであれば、砂浜でもアスファルトでも、重いカヤックでも対応できます。これが小径で細いタイヤのドーリーだと、アスファルト上では良いとしても、砂浜でトラウマレベルの大変な思いをすることになります。

アイキャッチ(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

セーフティフラッグ

法律上の義務があるかは別にして、セーフティフラッグの装着はもはや常識であり最低限のマナーともいえます。波間に漂うカヤックは、他の船舶から簡単に見えなくなってしまうからです。

それほど高価なものではありませんし、自作も簡単なアイテムなので必ず装備しましょう。

フラッグ装備はカヤック大会でも義務になっている(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

魚探(魚群探知機)

カヤックフィッシングを楽しむ上で、魚探があるのと無いのでは天と地ほどの差が生じます。魚探があれば、地形の変化やベイトフィッシュの有無などがわかり、ある程度予測を立てられるので、運任せの釣りから脱却できます。

また、GPSでカヤックの移動(流されている)スピードがわかったり、濃霧の中でも戻るべき方向がわかったりと、安全性の面からも魚探の装備をおすすめします。

魚探と濃霧の海上(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

携帯電話

日常生活でいつも持ち歩いている携帯電話は、海の上でも必需品。万が一転覆した時に、海上保安庁の救助を要請するためです。海上保安庁緊急通報用電話番号は【118番】です。

また、こまめに天気予報をチェックし、強風や雷雲の発生にいち早く気づくことにも役立ちます。

もちろん、大きな魚を釣った時に自慢用の写真を撮ることもできますからね。カヤックに乗る際は、携帯電話を防水ケースに入れ、いつでも取り出せるようにライフジャケットのポケットに入れておきます。

熱中症予防や漂流時の命綱として、最低でも2リットルほどの水を積んでいきましょう。コンビニも自販機も無い海の上では、真水がとても貴重なことをお忘れなく。海水をかぶってしまったリールやサングラスを洗うのにも使えます。

5.あると便利なもの

ここからは、あると便利なアイテムについて説明します。

クーラーボックス

魚が釣れたら必ず持って帰る釣り人には、必須アイテムともいえるクーラーボックスですが、リリース前提であれば積んでいかないこともあります。

もちろん、暑い時期に冷たい飲み物を飲むことができ、不意に美味しい魚が釣れた時に持ち帰ることもできるので、毎回積んでも損はないアイテムです。

カヤックにクーラーボックスを積む(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

ナイフ

釣れた魚を締める用途はもちろん、転覆時に体に絡んだラインやリーシュコードを切断したり、クーラーボックスに入りきらない大物の尻尾を落としたりと、何かと役に立つのがナイフです。

偏光グラス&日焼け止め

海上では、何も遮るものが無く海面のギラつきもあるため、偏光グラスや日焼け止めは持っておきましょう。偏光グラスは、波しぶきや飛んできたルアーから目を守る役目も果たします。

最後に

以上、長文になりましたが、読んだ方のカヤックフィッシングを始める際の手助けになったら幸いです。そして、来年のボートショーにぜひ足を運んでみてくださいね。

さらに詳しく知りたい場合は、カヤックフィッシング特集ページをご覧ください。

<福永正博/TSURINEWSライター>

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