【滋賀県・大津市】叶 匠壽庵が拓いた自然豊かな近江の里山「寿長生の郷」
今回は初めての滋賀編です。滋賀県にも魅力のあるスポットは数多いですが、なかでも私が何度も訪れている「寿長生の郷(すないのさと)」をご紹介します。菓匠「叶 匠壽庵」の本社がある場所と言った方がごぞんじの方が多いでしょうか。自然豊かな里山で菓子づくりに込める想いや魅力をたどってみたいと思います。
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忠臣蔵・大石内蔵助ゆかりの地にある菓子づくりの里山
いきなり余談ですが「寿長生の郷」の住所には大石龍門という地名があります。実は忠臣蔵でおなじみの大石家発祥の地であり、ここからほど近い浄土寺は大石家の菩提寺で、大石家代々の墓があります。歴史好きには見逃せないポイントです。
それではさっそく「寿長生の郷」を訪れてみましょう。いきなり右手に現れたのは江戸時代末期に建てられた茅葺きの古民家。なんとこちらの建物も大石良雄(内蔵助)にゆかりのある家なんです。総合案内所でもある建物には、苑内の工場で作られた銘菓の売場と甘味処があります。
私のいちおしは「選べるあもセット」(440円)。また、日光天然氷「氷室守(ひむろもり)」と自社で育てた城州白梅が味わえる「氷室守 城州白梅」(1430円)もこれからの季節におすすめ。ちなみに工場は見学不可ですのでご了承を。
和菓子屋がつくるパンとサイフォンで淹れた珈琲を味わう
次に訪れたのは2017年11月にオープンした「Bakery&Café 野坐(のざ)」。1階は和菓子屋自慢の餡をより身近に味わってもらえるようにと開店したベーカリーで、4種類の国産小麦をパンの種類ごとにブレンドを変え、天然酵母で生地を仕上げて焼き上げます。
和菓子屋がつくるパンだけあって、自慢の餡を使った「匠のあんぱん」(苑内飲食275円/お持ち帰り270円)が一番人気。2階は里山の眺望が楽しめるカフェスペースになっており、サイフォンで淹れたスペシャルティコーヒーやデザート、モーニングが楽しめます。
ほかにも和菓子の素材を使用したジェラートが味わえる「里山館」(不定期営業)や上質な料理が楽しめる「梅窓庵」「山寿亭」(予約制)、「茶室」などなど紹介しきれないほどの見どころがあります。私も何度も訪れていますが、その度に新しい魅力に出会える奥深さがあります。
6万3000坪の里山の原風景とともに受け継がれるこころ
そんな施設が点在している「寿長生の郷」ですが、苑内のほとんどが自然豊かな里山の原風景です。1958年創業の「叶 匠壽庵」が本社工場を移転し「寿長生の郷」を拓いたのが1985年と40年も前のこと。以来、里山の実りをいただきながら自然に寄り添う菓子を創案する「農工ひとつの菓子づくり」を実践しています。和菓子で使用する梅や柚子の畑を見ながら、苑内を散策すると菓子づくりに込める想いを随所に体感することができます。
散策を満喫したら、最後は菓子売場に戻ってお土産を。どれも目移りしそうですが、本日は2025年6月15日に発売された「西川三方餅」(1箱6個入1620円)。T.M.Revolutionの30周年を祝したコラボ商品第3弾で、西川貴教さんの三方よし 芸・体・心 になぞらえて、3つのお餅に仕上げています。蓬(よもぎ)をふんだんに練り込んだ滋賀羽二重もちに、体づくりに役立つ香ばしいきな粉をたっぷりと。のどに良いとされる黒蜜をかけて、まろやかにどうぞ。にしかわめんこ1枚入りですよ!
■寿長生の郷(叶 匠壽庵) 住所:滋賀県大津市大石龍門4丁目2-1 電話番号:077-546-3131 アクセス:JR琵琶湖線「石山駅」下車、シャトルバスで30分 営業時間:10:00~17:00 ※各施設により営業時間が異なります 定休日:水曜日 入園料:無料 URL:https://kanou.com/gnaviplus/sunainosato/ ※価格表示は全て税込です
とうもろこしを存分に味わう『とうもろこしまつり2025』
「寿長生の郷」では季節ごとにさまざまなイベントが行われていますが、8月は夏季恒例の催し『とうもろこしまつり』が開催されます。メロンよりも甘いといわれる「八ヶ岳生とうもろこし」の販売は毎年大人気ですが、オンライン事前受注もあるのでご安心を(現地にてお渡し)。さらに、毎年大好評の『第4回 とうもろこし早むきグランプリ』やとうもろこしの収穫体験、陶芸体験、笹舟流しといったイベントも。各施設にて限定メニュー(郷のコーンパンや焼きとうもろこしなど)や限定商品(水無月や蓬葛餅など)もあるので、一風変わった“祭”にぜひ訪れてみたいですね。
■『とうもろこしまつり2025』 期間:2025年8月2日(土)・3日(日)・9日(土)~17日(日) ※水曜定休、但し8月13日(水)は営業 ※8月19日(火)・8月21日(木)は臨時休業 駐車料金:1台につき1000円(苑内の施設で使える1000円分の金券と引換)
まとめ
今回の「乙な京都」はいかがだったでしょうか。京都にも伝統ある銘菓が数多くありますが「寿長生の郷」のような菓子づくりの精神を見える化しているブランドは少ないのではないでしょうか。今でこそブランドのテーマパーク化は珍しくありませんが、40年も前から実践されている「寿長生の郷」はまだまだ私たちを楽しませてくれそうです。
TEXT by 乙な京都™