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3MPFAS問題 「過去に試験散布」発表 市民の説明要求で明らかに

タウンニュース

3Mジャパンイノベーション相模原事業所=2月24日撮影

南橋本周辺の河川や地下水で国の指針値を大きく超えるPFAS(有機フッ素化合物)が検出された問題を巡り、スリーエム(3M)ジャパンイノベーション相模原事業所が工場敷地内でPFASを含む泡消火剤を過去に試験散布していたことがわかった。市民団体「相模川さがみ地域協議会」の求めで3Mジャパンが2月21日に開いた説明会で発表された。

有機フッ素化合物(PFAS)は水や油をはじき、熱や薬品に強いといった独特な性質があるため、撥水剤や表面処理剤、消火剤、コーティング剤などに用いられる化学物質。環境中で分解されにくく、生物の体内に蓄積するため、現在では国内外で製造・使用が規制されている。

日本国内では環境省が2020年に水道水や河川での水質管理上の暫定目標値をPFOSとPFOAの2つの物質の合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)と定めた。

相模原市は2021年度からPFASの一種であるPFOSとPFOAの調査結果を公表し始めた。道保川や中央区南橋本などで暫定指針値を超えており、24年度の調査では道保川公園上流水路で210ナノグラム、中央区南橋本の地下水で870ナノグラムが検出された。

敷地内で高濃度検出

市民団体「相模川さがみ地域協議会」が昨年3月、情報公開請求により3Mジャパンイノベーション相模原事業所の敷地内から高濃度のPFASが検出されたことを確認。同事業所への質問事項の送付や住民説明会の要求などを行ってきた。敷地内の雨水調整池の底にPFAS類が溜まっているのではないかとも懸念していた。

3Mジャパンはアメリカ3Mの日本法人で、相模原事業所では過去に泡消火剤などのPFOS、PFOA関連製品を製造していた。

口頭で回答

21日の説明会は3Mジャパンが協議会に対して行ったもの。協議会によると、9つの質問について口頭で回答があったという。およそ1時間30分、20人超の参加者との間で質疑応答も行われた。

同事業所のこれまでの説明によると、敷地内でPFOS、PFOA自体の製造をしたことはないが、原材料を輸入して関連製品を2000年まで作っていたという。今回の説明会では初めて、敷地内で泡消火剤の消火テストを過去に行っていたことを明らかにした。

敷地内の雨水調整池については今後底質を調査する計画があることが伝えられた。

原因究明申し入れ

同協議会の岡田一慶代表は「市民説明会に向けた第一歩が始まった。雨水調整池の調査計画もできた。(3Mに対して)反対運動をしているのではない。一緒に頑張ろうという気持ち」と話す。

同協議会は説明会の最後、相模原事業所で高濃度PFASが検出された原因の究明などを求める申し入れも行った。今後は申し入れへの回答や雨水調整池の調査計画の公開などを求めていく。

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