宮内庁がSNS解禁。公式インスタで情報発信を開始した理由とは？取材歴36年の皇室コメンテーターに聞きました。
開設から16日でフォロワー92.9万人
宮内庁は2024年4月1日からSNSのインスタグラムを活用した情報発信を始めました。公務や皇居・宮殿の様子を伝える写真や動画などを投稿し、4月16日現在のフォロワー数は92.9万人に達しています。宮内庁や皇室のSNS活用について、皇室専門家・皇室コメンテーターの高清水有子さんにSBSアナウンサー新城健太が話を聞きました。
新城：宮内庁のSNS活用に関するニュースはインパクトがありました。
高清水：そうですね。時代に即してタイムリーに皇室の情報を発信するのは必要なことですから、期待したいですね。天皇陛下や皇嗣殿下は近年、お誕生日の会見で皇室の情報発信について言及されていました。
フォロワー数は90万を超え、多くの国民が関心を寄せていることが分かります。私は皇室と関わって36年目になりますが、大変うれしい反響だと受け止めています。
アカウントは宮内庁広報室が運営
新城：私の周りでもフォローしている人が多く、老若男女問わず関心を持っているんだなと感じています。素朴な質問ですが、宮内庁のインスタグラムはどなたが更新しているんですか？
高清水：2023年4月1日に新設された「宮内庁広報室」が主体となって発信しています。メンバーは約10名で、インスタグラムは2名ほどが担当しているようです。
恒例行事や特別な行事などの中から関心が寄せられているニュース、これから関心が高まりそうな内容をピックアップしていると聞いています。一般公開されていない貴重な映像や画像も紹介されているんですよ。
新城：そうですよね。
高清水：例えば、外国の新任大使が天皇陛下に信任状を持ってご挨拶をする「信任状捧呈式」という儀式では、東京駅から皇居まで馬車で大使を送迎するんです。馬車の準備や美しい馬車列、黄金の金具、漆黒の馬具、えび茶色の車体などが紹介されていました。全て公開されるのは初めてです。
新城：すごいですね。
高清水：それから、国事行為や宮中行事など、天皇陛下が公務をお務めになる「宮殿」は一般公開されていません。シンプルでありながら品格あふれる内装、調度品、回廊から見える美しい日本庭園、それぞれの部屋にあつらえられた絵画や照明の開放感や重厚感。宮殿を訪れたような感覚になる動画もアップされているんですよ。
新城：各国の皇太子などさまざまな方との記念写真がインスタに上がっていますね。こんなに多くの方々が訪れているとは意外でした。
高清水：日本の皇室は世界に約200カ国ある中で世界最古の皇室で、唯一のエンペラーにお目にかかる貴重な機会ということで、外国の皆さんも襟を正して緊張感を持ち、楽しみに皇居を訪れているようです。
春と秋に一般公開される「皇居乾通り」
新城：桜の写真もきれいですよね。
高清水：皇居乾通りは春の桜と秋の紅葉の時期に一般公開されるんです。今年はソメイヨシノの開花前にも関わらず10万人以上が訪れました。
一般公開や一般参賀では多くの皆さんが来場するので立ち止まらないようにアナウンスが流れます。ゆっくり写真撮影ができないんですよ。インスタグラムで美しい画像をゆっくり拝見できるのはとても良いと思います。
新城：そもそもSNS導入に至ったのはなぜですか？
高清水：ここ数年の皇室報道、特に秋篠宮皇嗣家に関して、週刊誌やSNSで根も葉もない情報が流布されている現状がありました。皇室の方々は反論や名誉毀損の裁判を起こすことができないんですね。天皇陛下や皇嗣殿下のお誕生日の記者会見でもお心を痛めていらっしゃることが伝わってきました。
そんな状況から、宮内庁広報室は「皇室の正しい情報をタイムリーに発信」することを目指し、1年間準備をしてきました。若い世代にも皇室の活動や現状を分かりやすく伝えられるように、工夫を凝らして良い情報が発信されると期待しています。
英国王室のインスタはフォロワー1300万人
新城：海外の王室はSNSを活用していますか？
高清水：英国王室は2007年からYouTubeやX（旧Twitter）、2010年にFacebook、2013年にはInstagramも始めました。インスタグラムのフォロワーは現在、1300万人を超えています。
新城：すごいですね。
高清水：デンマーク王室やスペイン王室もSNSを活用しています。オランダ王室は、宮内庁のアカウントと相互フォローになったことがニュースになっていましたね。
新城：今のところ、天皇皇后両陛下や愛子さまの活動に関する投稿が中心なのかなと思います。今後は秋篠宮ご夫妻や皇族の皆さまに関する投稿も増えていくのでしょうか。
高清水：秋篠宮皇嗣家、常陸宮家、三笠宮家、高円宮家、それぞれの活動についても投稿されると思われます。夏から秋にかけて恒例行事がいくつもあり、お出ましの機会が多くなるんです。
4月23日には「春の園遊会」が開かれます。春は女性皇族の皆さま方のお召し物が着物というケースが多いんですね。華やかな赤坂御苑の様子を拝見するのを楽しみにしていいと思いますよ。
新城：高清水さんが楽しみにしていることはありますか？
高清水：正しい情報を正しく発信するのは大事なことだと思います。実際に足を運びながら皇室の方々の様子を長く取材をしていますが、インスタグラムを通じて多くの人に皇室や日本の素晴らしさが広まればと感じています。
新城：皇室を身近に感じられる素敵なツールかもしれませんね。
高清水：秋篠宮皇嗣妃殿下、紀子さまは静岡市の済生会病院でご誕生なさったご縁があります。静岡の皆さんは、紀子さまの情報も楽しみにご覧いただきたいと思います。
新城：高清水さん、ありがとうございました。
※2024年4月15日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。今回お話をうかがったのは……高清水有子さん
青森市出身。平成元年より秋篠宮家を中心に日本テレビで皇室取材を担当。元「日本テレビ皇室プロジェクト」メンバー。秋篠宮皇嗣同妃両殿下からの信頼も厚く、宮家と交流のあるマスコミ人として有名。故三笠宮寛仁殿下からは直々に「本来の皇室の在り方」の教えを賜り現在に至る。
皇室専門家・皇室コメンテーターとして、皇室特番の解説、監修を担当。