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これがサブスク時代のシティポップの聴き方だ!ギターレジェンド・Charのセンスにも要注目

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2025年07月23日 ライトメロウ・プレゼンツ「アーバン・クロスポインツ」発売日

元々ハッキリした定義やボーダーラインがなかったシティポップ


2010年代後半になって、にわかに世界中で注目を浴びるようになったシティポップ。1970年代半ばから1980年代にかけて生み出されたニューミュージックの中でも、ロックやジャズ、ソウルなど洋楽の影響が極めて強く、洗練度が高い都市型ポップスをそう呼んできたワケだが、それがあまりに大きなブームになってしまったがために、お国柄やエリア、世代、時間軸を飛び越えて錯綜してしまい、シティポップの何たるかが曖昧になってしまった。

元々シティポップにハッキリした定義やボーダーラインはなかったが、誤解、曲解、拡大解釈などが入り乱れ、何にでもシティポップという看板を貼り付けて注目を誘うことが顕著に。早くからその魅力を説いてきた筆者でさえも、傍観するしかなくなってしまった。

でも、そうした混沌とした状況から、当時はほとんど理解されなかった実験的サウンドや、匿名性の高いBGM的スタイルが新しい感性で受け入れられたり、ネット上でバズったりしている。ここ1〜2年でグングン注目度を上げ、続々とコンピレーションが組まれるようになった和製フュージョン再評価も、いわばシティポップ・ブームの副産物。ジャズ寄りではなく、ボーカルがなくてもシティポップに近い感覚で捉えられるポップ&グルーヴィーなナンバーが人気を集めているのだ。

より多彩な音楽エレメントを引き出したジャズ出身のミュージシャン


シティポップの成り立ちを考えれば、フュージョンと相性が良いのは当然のこと。自作自演のフォークや黎明期の和製ロックを演っていたアーティストたちが、より多彩な音楽エレメントを取り込もうとした時に、それを手引きしたり、実際に演奏してくれたのはバックボーンにジャズや、そこから派生したフュージョンの感覚を身につけたミュージシャンたちが多かった。

例えば、女性シンガーソングライターの先駆的存在だった五輪真弓のライブをサポートしたミュージシャンは、フォークグループ “赤い鳥”を飛び出した大村憲司や村上 “ポンタ” 秀一が組んだバンドだったし、ソロになって海外レコーディングから戻った山下達郎が最初にバックに集めたのも、村上ポンタに松木恒秀、岡沢章といったジャズ出身者たち。それはもう相性が良いというレベルではなく、シティポップを都会的たらしめる重要な構成要素のひとつが、従来の歌謡曲や和製ポップスにはなかったジャズ的コードのハーモニーや16ビートのグルーヴだったのだ。

そしてそれが、“歌ものかインストゥルメンタルか” に大別されてきたのが、これまでの流れだった。でも、近年のハイブリッドなセンスや何でもアリの自由でシームレスな感覚に照らせば、差別化よりも、むしろうまく混在させた方が今のリスナーにはフレッシュに響くのではないか。それがこのコンピレーションの根底にある。

心地良い音楽を形容するひとつのスタイル、ライトメロウ


筆者が監修している、この “ライトメロウ”(Light Mellow)は、自分が20年以上に渡って提唱してきたシリーズだが、その真意は、“洗練” をキーワードにジャンルやカテゴリーを飛び越え、様々な香りを溶かし込んでナチュラルに聴いたいただくこと。

ジャンル用語でも専門用語でもなく、心地良い音楽を形容するひとつのスタイルといえる。それこそ洋楽と邦楽の壁を取っ払い、街のリズムやリゾート地の風景に同化していくことを目指しているのだ。つまり、都市生活者のライフスタイルに寄り添うようなサウンドトラック、それがコンセプトである。

最初は洋楽AORを形容し、総括するカタチで生まれたライトメロウ。これまでは “リスナーに分かりやすいコンピ盤” を標榜し、ジャンルやスタイル別にセグメントしてきたが、今こそライトメロウの原点に戻り、リアルなクロスオーバー・サウンドの真髄をご堪能いただきたい。それをご提案するのが、本作、ライトメロウ・プレゼンツ『アーバン・クロスポインツ』である。まさに音楽の交差点、出会い頭の嬉しい邂逅に繋がるガイダンスなのだ。

ジャンク フジヤマのシティソウルからCharのAORナンバーまで


だからココには、「Funkin' For Jamaica」で有名なニューヨークのファンク / フュージョン系トランペット奏者トム・ブラウンがいれば、和製フュージョンの人気ギタリスト兼プロデューサーの鳥山雄司が仲良く同居するし、ジャンク フジヤマのシティソウルと、デイヴィッド・フォスターやTOTO一派がバックを務める尾崎亜美のグルーヴチューン、そしてギターレジェンドCharのAORナンバーが、世代もジャンルも超越して並んでいる。

ジャコ・パストリアスの下で活躍したサックス奏者ボブ・ミンツァー、あるいはスティーリー・ダンのツアーに参加したヴィブラフォン奏者のビル・ウェアあたりは、知る人ぞ知る実力派で、USミュージックシーンの層の厚さを思い知らされる。一方、ジャズの大御所ハービー・ハンコックがヒップホップ・シーンに影響を与えた「ロックイット」の世界観を、日本のサックス奏者、沢井原兒が表現するあたり、衝撃を受ける人も多いのではないか。

レコーディングされた時期には45年以上のタイムラグがありながら、楽曲の新旧はまったく意識させず、音楽的クオリティの高さに反してサラリと聴きやすい。それでいて対峙するように聴けば、新たな発見や学びがある。加えて各曲の音質や曲間も、このコンピレーション用にフロウを重視してカスタマイズしているので、とびきりスムーズで味わい深い仕上がりに。是非、貴方のお好みのリスニングスタイルで、気軽に楽しんでいただければ幸いだ。

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